わたくしは親も兄弟もおりません!自由にさせていただきます!……はぁぁ?今更何をおっしゃいますの?

刹那玻璃

文字の大きさ
2 / 68
始まりは多分お別れという意味なのですわ。

ルナは俺にとって、可愛い可愛い姪なんだよな……ちぃちゃん目線

しおりを挟む
 俺……千夜ちやはじい様から預かった設計図を置いていた私室に、姪のルナリアの手を引いて連れて行く。

 私室と言っても俺の寝室ではなく、俺の書斎兼書庫。
 隣は作業室がある。
 18歳の誕生日にと、大叔父が揃えてくれたものだったりする。

 一応俺は男だが、服飾デザインと装飾品のデザインを勉強し、最近は発表している。
 今は主に愛妻や子供達……ルナの分も含む……の服のみだが俺が手がけている。
 本職が忙しくなければ、そっちに集中したいが、俺は父さんやセイ兄に命令というか、頼まれて従兄の側に付いている。
 父さんは自分のしたいようにすればいいと言ってくれるが、セイ兄がなぁ……セイ兄は、従兄弟である俺の主人がめちゃくちゃ大好きだ。
 多分、従兄弟が女性だったら色々策略巡らせて囲い込んで、嫁にしていただろうと周囲がいうくらい、溺愛している。
 だから、一時期はセイ兄は結婚しないだろうと周囲は覚悟していたらしいが、義姉さんと出会い結婚できた。
 うん、義姉さんに感謝しかない。
 まぁ、セイ兄も従兄のことを除けばまともだ。
 今、セイ兄は、宰相補佐として忙しいらしい。



 貴重なものなので金庫に保管していた設計図を取り出し、ソファの前のテーブルに広げた。

「これがグランディアの水車の図面。こっちは小さい方だな。で、こっちは大規模になる」
「キャァァ! 素敵ですわ! モエモエしますわ!」

 きゃっきゃと水車の設計図を見て喜ぶルナ。

「素晴らしいですわ! あら、こっちは風車ふうしゃですの? それに、これは……まぁ! 低い土地から、水を汲み上げて高い場所に? 素敵!」

 目をキラキラさせて、何故かバッグから出した反故紙ほごがみの裏に数字を書き始める。

「……なにをしているんだ? ルナさんや?」
「えっ? これですか? ちぃちゃん。大きさを計算して、この大きさならどんな材料が必要か書き出しているのです。お金もかかりますし、でも、ケチってはすぐに壊れてしまうかもしれません。大おじいさまに確認して、これくらいの材料とお金が必要か計算して、OKをいただいたら、おじいさまやじーじに、お小遣いの前借りをお願いしなくてはなのです!」

 子猫のような大きく少しつり気味の目が、こちらを見る。

 普通、6歳の女の子がこんなものに喜ぶものか?
 お人形遊びとかおままごとはしないのか?
 それにまだ男なら、積み木とか知育玩具でも何かを組み立てるだろうが、ルナリアは積み木よりも一気に飛んで、水車と風車……。
 同じ漢字で風車かざぐるまとも違う。
 原理はほぼ一緒だと兄貴には言われたが、レベルや規模が違うだろう。
 それに、目の前のルナが手に持って遊んでくれるなら、俺は風車かざぐるまを作るぞ。
 うちの息子たちにも作ったが、それはそれは喜んでくれたもんだ。

 俺の息子の千夏ちな……そう、娘ではない。
 ルナより一つ上の第一子だから、俺の愛妻の一文字と俺の一文字を取ってつけた。
 下には、風深ふうか……またまた息子……本当は女の子が欲しいのだが、妻は子育てにてんてこまいでまだそこまで言い出せない……ちっ!
 まぁ、ルナが娘みたいなものかな……なんだかんだ言って、本当に可愛いんだ。
 どれくらい可愛いか、色々細かく説明したい!

 ま、まぁ、それはいいとして、俺の長男の千夏は正義感が強く、やんちゃ坊主。
 破壊活動に邁進まいしんしたい年頃のはずだが、騎士になるんだと竹刀しないを握って素振りをしている。
 えらいえらい、さすが俺と日向夏ひゅうかの息子だ。
 風深はまだ甘えん坊だが、兄とルナに懐いている。
 いいことだ!

 そういえば、千夏の一つ上のルナの兄のサディは、おっとりとした子(七聆ななき談)で読書や土いじりが大好き。
 破壊活動より、まだ庭で花を観察するのが楽しいらしい。
 4歳のミリアは、おしゃまだがおっとりしている(アンディール談)そうだ。
 一緒の館にすんでいるが、俺は仕事と私生活に忙しく、滅多に会うことはない。
 ……しかし、サディとミリアよ。
 二人のその言葉が本当なら、お前たちは誰に似た?
 絶対両親じゃないぞ?

 そしてもう一人の姪のルナは悪友というか、七聆の夫のアンディールに顔立ちだけは似ている。
 そう、正確には髪と瞳の色だけ、全体的にはアンディールのように性格の悪さの出た顔ではなく、品があり綺麗な顔立ちをしている。
 あぁ……本人が気にしている瞳は少々吊り目気味だが、気になったことはなんでも熱心に観察する様は、かえって子猫のようで可愛らしさすら覚える。
 本当は真面目で素直で、優しい子なんだ。
 今だって、目の前で嬉しそうにはしゃぐ姿は子供だと思う……持っているものは水車の図面だが。
 俺からしたらあの二人から生まれたにしては、良くできすぎた子供だ。
 兄貴に聞くと『とんびが鷹を産む』と言うことわざ通りだそうだ。
 なのに、どうして賭けをするのか……やっぱり父親が悪いんだな?
 くそっ! 変なことを教えたに決まってる!



 姪の将来を心配している叔父を尻目に、

「ねぇ、ちぃちゃん! これは、南の地域の開墾に使えませんか? 風車。ふーちゃんの旦那さんの地域は風が強いのでしょう? その風を利用するために作ってもらうのです! そうすれば生活が楽になると思うのですわ!」
「風車? 確か、あのスティアナのあたりは、風が強すぎて乾いた砂が吹き荒れて、無理だったとおもうんだが……」
「土の保水をすればいいのです。水を貯めておけるように風車で……」
「それが難しいらしいんだ。まず、川がないらしい。周りには木や草もほとんど生えない、乾いた土地だから。あぁ、俺はそういう知識には疎いから……説明したくても難しいんだ。だから、おおじいさまか、じい様たちに相談してみればいい。この設計図のこともお礼いわなきゃいけないだろう?」
「そうですわね! 行って参りますわ!」

嬉しそうに設計図の束を抱きしめ、くるくる回っていたルナは、右手の人差し指で、右耳に三つつけているピアスのうち、真ん中の黒い宝石部分を押し走り出した。
 普通の子供の速度ではない……大人の全速力である。
 
「ルナ! 廊下を走るな!」
「ごきげんよう! ちぃちゃ~ん。おーほほほ……」
「子供がオホホホなんて笑わないぞ!」

 ひらひらと手を振る姪を追いかけようかと思ったが、一緒に走れば自分が怒られる。
 ついでに言えば、ルナリアの本来の保護者は七聆とその夫。
 二人が怒られるべきだ……ため息をついた俺は、隣の居間から姿を見せた息子達に気がつき、順番に抱き上げたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。

ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。 俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。 そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。 こんな女とは婚約解消だ。 この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

いらない子のようなので、出ていきます。さようなら♪

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 魔力がないと決めつけられ、乳母アズメロウと共に彼女の嫁ぎ先に捨てられたラミュレン。だが乳母の夫は、想像以上の嫌な奴だった。  乳母の息子であるリュミアンもまた、実母のことを知らず、父とその愛人のいる冷たい家庭で生きていた。  そんなに邪魔なら、お望み通りに消えましょう。   (小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています)  

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

処理中です...