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五、楽器の魂
楽器の魂1
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九日後、はじめて想鳴者についての勉強するとき、かなではずっと気になっていたことを律に尋ねた。
「そういえば最初に言ってた想鳴者の素質ってなんなんですか?」
かなでの問いに律はきちんと教えてくれた。
「想鳴者になるための素質は四つ。まず一つは楽器を大切にしていること。想鳴者は曲をひけなければ思い出をこめることはできない。曲をひくためには楽器が必要。それを大切にできない人はだめ。二つ目は、音そのものから出ている感情も感じとれること」
「音から出る感情……?」
「ええ。音には楽器自身の感情が出てくるの。例えば演奏中に曲と演奏者からははげしい曲で迫力もあるように感じるのに、音そのものはなんとなく苦しそうに思えるときがあったりとか。反対にさみしい曲なのにとても楽しそうなふんいきが出ていたりだとか。それをわかる人はほんとうに少ないわ」
かなでは律の言うことに覚えがあった。例えば音楽番組で演奏している人の顔は無表情なのに音は笑い転げているように聞こえたことや、笑顔でひいているのに音が悲しそうだったこともあった。そんな音を聴いているとかなでまで悲しくなることもあった。
(あれって楽器の感情だったんだ)
律の説明は続いた。
「作られて百年経った楽器には魂が宿る。さらに百年経てば人の形をとるようにもなれる。でもその二百年間も大切にあつかわれ続けるのはむずかしいことよ。魂が抜けている状態の楽器は本来のような音色を出すことができなくなる。ふつうならわからないけれど」
「どんな楽器でもですか?」
「ええ。日本の楽器でもアフリカのものでも、ね」
律は首をたてにふってからそう答えた。かなでの頭の中で着物を来た人と、はだが黒くてはでなシャツを着ている笑顔の外国人の顔がうかんだ。
(どっちもいつか会ってみたいな)
そんな風に思いながら、かなでは次の質問を律にした。
「魂がある状態だと、音の感情が出てくるんですか?」
「そうね。それから音色もすばらしくなる。けれど魂が抜けてしまった楽器は、演奏はできても音の感情、音色のすばらしさがなくなってしまう。楽器としてすかすかな音しか出せなくなってしまう」
(じゃあそのバイオリンの魂は今どこにいるんだろう?)
律は三つ目の条件を話しはじめた。
「三つ目の条件は魂を持った楽器に好かれるような性格であること。人の幸せをねたんだり、だれかを傷つけることで自分をなぐさめたりするような人間は決して好かれない。楽器たちが好きなのはいっしょに音を楽しめる、音楽が好きな人間。そしてやさしい心を持つ人間」
かなではほめられたような気がして少しうれしくなった。
「四つ目、これが一番必要な素質。思い出の世界に入って、思い出の中の音を自分の中にとりこめること」
「思い出の……世界?」
「そう。語ってくれている人の思い出の世界をのぞく、と言ったらいいのかしら。その思い出の世界に入りこむことができるの」
かなではクリームのことを話しているときのことを思い出した。
(そうか、あのとき律さんを近く感じたのは、気のせいじゃなかったんだ)
律の説明は続いた。
「そしてその思い出の中には、いろんな音があるの。メロディーになっているものもあれば、単音もある。それらの音を自分の中にとりこむの。イメージでいえばそうね、自分が真っ白な楽ふになって、思い出の中の音がそこに書きこむ感じかしら。だから、音楽と一体化できる力も必要なの」
「じゃあ、わたしにもその音楽と一体化できる力があるんですか?」
「ええ。人はみんな持っているのだけれど、想鳴者は特にその力が強いの。生まれつきね」
かなではもう一つの疑問を口にした。
「楽器の魂は楽器の中にいないあいだ、魂はどこにいるんですか?」
「さあね。自分がいたい場所にいるわ。けれど体である楽器からはあまり遠くまではなれられない。そうね……この家の門までは動き回ることができるけれど、外に出ることはできない。わたしが体である楽器を持ち歩けば話は別だけれど」
かなではある思いがわいてきた。
「律さん、わたしクリームの思い出をこめてもらった楽器にお礼が言いたいです」
それを聞いた律がバイオリンを持ち出した。
「このバイオリンがその一つよ。でも多分今はこれから出てるわね。この子は楽器であることにとてもほこりを持っているけれど、それと同じくらい自由に動き回るのが好きだから」
「そうなんですか。残念」
(いつの日かきちんとお礼を言おう)
かなではそう決心した。
それから二週間後の修業のことだった。その日は少し早めに修想館に着いた。すると律ではなくイオが出た。
「やあ、カナデ」
「あれ? なんでイオが?」
「リツ、今電話中なんだ。だからボクが。ほら、上がって」
かなではイオの言うとおり中に入った。くつをぬいでいると、律の声が聞こえた。リビングでバイオリンをひく準備をしているとかなでに、イオが話しかけてきた。
「カナデ、バイオリンは楽しい?」
「うん。まだまだ難しいことばっかりだけどね」
「そっかそっか。それはよかったよ」
イオはなぜかうれしそうだった。
「そうだ、リツがくるまでのあいだボクがバイオリンを教えてあげるよ」
その言葉にかなでは不安になった。
「ええー、イオってバイオリンひけるの?」
「なにを言うんだい。ボクほどバイオリンの気持ちがわかるやつはいないよ」
イオは腰に両手を当ててほほをふくらませた。
かなではそんな風に思っているとガチャリとドアが開く音がした電話を終えた律が入ってきた。
「ごめんなさい、かなで。待たせちゃったわね」
「いえ、だいじょうぶです」
「ボクにとってはちょうどよかったよ。カナデとおしゃべりができる時間はあまりないからね」
(でもなんか話しやすいんだよね、イオって。それにしょっちゅう顔を合わせてるような気がしちゃうんだよなあ)
「さあイオ。レッスンをしたいからもどってちょうだい」
「はーい。じゃあね、カナデ。またしゃべろう」
イオは小さく手をふってリビングから出て行った。かなでは手をふり返した。律はバイオリンの準備をしていた。それをぼーっと見ていると、目の端になにかが写った。
(今なにか動いたような……)
かなでは辺りを見回した。しかしなにも見当たらなかった。
(気のせいだったのかな? でもたしかになにかいたような……)
律の準備が終わり、バイオリンのレッスンがはじまると、かなでの疑問もどこかに行ってしまった。
律の想鳴者としての仕事が入っていたから、しばらくバイオリンのレッスンは休みだった。
修業のために修想館に通ううちに、かなではイオがめったに姿を現さないことに気がついた。
(自分の部屋にいるのかな? ルゥトさんも自分の部屋から出ちゃいけないみたいだったし)
かなではイオが机にむかっている姿を想像したが似合わなかった。どちらかといえば日の差す窓辺でバイオリンをひいているほうが似合っている気がした。
(そういえばルゥトさんとも会ってない。また会いたいな)
かなでのそんな思いがつうじたのか、バイオリンの練習が終わって、想鳴者の授業がはじまるまでのあいだの休けいのときに、だれかがのぞいていた。ルゥトだった。
「やあ」
「わっ、びっくりした。ルゥトさん、おひさしぶりです」
「ちょっと、なんでいるの。もどってちょうだい」
律はルウトの背中をおしながら言った。しかしルゥトは抵抗していた。
「やだやだ、ボクもカナデと話したいっ。イオばっかりカナデといてずるいよ」
かなでは頭の中がぐちゃぐちゃになりそうになった。
(え、わたし、イオともそんなにいないよ。なんでルゥトさん、あんなこと言ったんだろう?)
「ごめんなさいね、ルゥトが」
追い返し終わった律がかなでに声をかけた。かなでははっとした。
「い、いえ。だいじょうぶです」
そのとき律の後ろに置いてあるバイオリンの近くで、ふわふわと綿毛のような光が浮いていた。かなでは目をこすった。その光はドアをすり抜ける。
(ひ、光がっ)
光はすでに部屋を出ていた。
「そういえば最初に言ってた想鳴者の素質ってなんなんですか?」
かなでの問いに律はきちんと教えてくれた。
「想鳴者になるための素質は四つ。まず一つは楽器を大切にしていること。想鳴者は曲をひけなければ思い出をこめることはできない。曲をひくためには楽器が必要。それを大切にできない人はだめ。二つ目は、音そのものから出ている感情も感じとれること」
「音から出る感情……?」
「ええ。音には楽器自身の感情が出てくるの。例えば演奏中に曲と演奏者からははげしい曲で迫力もあるように感じるのに、音そのものはなんとなく苦しそうに思えるときがあったりとか。反対にさみしい曲なのにとても楽しそうなふんいきが出ていたりだとか。それをわかる人はほんとうに少ないわ」
かなでは律の言うことに覚えがあった。例えば音楽番組で演奏している人の顔は無表情なのに音は笑い転げているように聞こえたことや、笑顔でひいているのに音が悲しそうだったこともあった。そんな音を聴いているとかなでまで悲しくなることもあった。
(あれって楽器の感情だったんだ)
律の説明は続いた。
「作られて百年経った楽器には魂が宿る。さらに百年経てば人の形をとるようにもなれる。でもその二百年間も大切にあつかわれ続けるのはむずかしいことよ。魂が抜けている状態の楽器は本来のような音色を出すことができなくなる。ふつうならわからないけれど」
「どんな楽器でもですか?」
「ええ。日本の楽器でもアフリカのものでも、ね」
律は首をたてにふってからそう答えた。かなでの頭の中で着物を来た人と、はだが黒くてはでなシャツを着ている笑顔の外国人の顔がうかんだ。
(どっちもいつか会ってみたいな)
そんな風に思いながら、かなでは次の質問を律にした。
「魂がある状態だと、音の感情が出てくるんですか?」
「そうね。それから音色もすばらしくなる。けれど魂が抜けてしまった楽器は、演奏はできても音の感情、音色のすばらしさがなくなってしまう。楽器としてすかすかな音しか出せなくなってしまう」
(じゃあそのバイオリンの魂は今どこにいるんだろう?)
律は三つ目の条件を話しはじめた。
「三つ目の条件は魂を持った楽器に好かれるような性格であること。人の幸せをねたんだり、だれかを傷つけることで自分をなぐさめたりするような人間は決して好かれない。楽器たちが好きなのはいっしょに音を楽しめる、音楽が好きな人間。そしてやさしい心を持つ人間」
かなではほめられたような気がして少しうれしくなった。
「四つ目、これが一番必要な素質。思い出の世界に入って、思い出の中の音を自分の中にとりこめること」
「思い出の……世界?」
「そう。語ってくれている人の思い出の世界をのぞく、と言ったらいいのかしら。その思い出の世界に入りこむことができるの」
かなではクリームのことを話しているときのことを思い出した。
(そうか、あのとき律さんを近く感じたのは、気のせいじゃなかったんだ)
律の説明は続いた。
「そしてその思い出の中には、いろんな音があるの。メロディーになっているものもあれば、単音もある。それらの音を自分の中にとりこむの。イメージでいえばそうね、自分が真っ白な楽ふになって、思い出の中の音がそこに書きこむ感じかしら。だから、音楽と一体化できる力も必要なの」
「じゃあ、わたしにもその音楽と一体化できる力があるんですか?」
「ええ。人はみんな持っているのだけれど、想鳴者は特にその力が強いの。生まれつきね」
かなではもう一つの疑問を口にした。
「楽器の魂は楽器の中にいないあいだ、魂はどこにいるんですか?」
「さあね。自分がいたい場所にいるわ。けれど体である楽器からはあまり遠くまではなれられない。そうね……この家の門までは動き回ることができるけれど、外に出ることはできない。わたしが体である楽器を持ち歩けば話は別だけれど」
かなではある思いがわいてきた。
「律さん、わたしクリームの思い出をこめてもらった楽器にお礼が言いたいです」
それを聞いた律がバイオリンを持ち出した。
「このバイオリンがその一つよ。でも多分今はこれから出てるわね。この子は楽器であることにとてもほこりを持っているけれど、それと同じくらい自由に動き回るのが好きだから」
「そうなんですか。残念」
(いつの日かきちんとお礼を言おう)
かなではそう決心した。
それから二週間後の修業のことだった。その日は少し早めに修想館に着いた。すると律ではなくイオが出た。
「やあ、カナデ」
「あれ? なんでイオが?」
「リツ、今電話中なんだ。だからボクが。ほら、上がって」
かなではイオの言うとおり中に入った。くつをぬいでいると、律の声が聞こえた。リビングでバイオリンをひく準備をしているとかなでに、イオが話しかけてきた。
「カナデ、バイオリンは楽しい?」
「うん。まだまだ難しいことばっかりだけどね」
「そっかそっか。それはよかったよ」
イオはなぜかうれしそうだった。
「そうだ、リツがくるまでのあいだボクがバイオリンを教えてあげるよ」
その言葉にかなでは不安になった。
「ええー、イオってバイオリンひけるの?」
「なにを言うんだい。ボクほどバイオリンの気持ちがわかるやつはいないよ」
イオは腰に両手を当ててほほをふくらませた。
かなではそんな風に思っているとガチャリとドアが開く音がした電話を終えた律が入ってきた。
「ごめんなさい、かなで。待たせちゃったわね」
「いえ、だいじょうぶです」
「ボクにとってはちょうどよかったよ。カナデとおしゃべりができる時間はあまりないからね」
(でもなんか話しやすいんだよね、イオって。それにしょっちゅう顔を合わせてるような気がしちゃうんだよなあ)
「さあイオ。レッスンをしたいからもどってちょうだい」
「はーい。じゃあね、カナデ。またしゃべろう」
イオは小さく手をふってリビングから出て行った。かなでは手をふり返した。律はバイオリンの準備をしていた。それをぼーっと見ていると、目の端になにかが写った。
(今なにか動いたような……)
かなでは辺りを見回した。しかしなにも見当たらなかった。
(気のせいだったのかな? でもたしかになにかいたような……)
律の準備が終わり、バイオリンのレッスンがはじまると、かなでの疑問もどこかに行ってしまった。
律の想鳴者としての仕事が入っていたから、しばらくバイオリンのレッスンは休みだった。
修業のために修想館に通ううちに、かなではイオがめったに姿を現さないことに気がついた。
(自分の部屋にいるのかな? ルゥトさんも自分の部屋から出ちゃいけないみたいだったし)
かなではイオが机にむかっている姿を想像したが似合わなかった。どちらかといえば日の差す窓辺でバイオリンをひいているほうが似合っている気がした。
(そういえばルゥトさんとも会ってない。また会いたいな)
かなでのそんな思いがつうじたのか、バイオリンの練習が終わって、想鳴者の授業がはじまるまでのあいだの休けいのときに、だれかがのぞいていた。ルゥトだった。
「やあ」
「わっ、びっくりした。ルゥトさん、おひさしぶりです」
「ちょっと、なんでいるの。もどってちょうだい」
律はルウトの背中をおしながら言った。しかしルゥトは抵抗していた。
「やだやだ、ボクもカナデと話したいっ。イオばっかりカナデといてずるいよ」
かなでは頭の中がぐちゃぐちゃになりそうになった。
(え、わたし、イオともそんなにいないよ。なんでルゥトさん、あんなこと言ったんだろう?)
「ごめんなさいね、ルゥトが」
追い返し終わった律がかなでに声をかけた。かなでははっとした。
「い、いえ。だいじょうぶです」
そのとき律の後ろに置いてあるバイオリンの近くで、ふわふわと綿毛のような光が浮いていた。かなでは目をこすった。その光はドアをすり抜ける。
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