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はるがすみ
第四十六話 姫は盤上に立つ
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「化け物は……?」
霞は気を失った伊吹から体を離すと、破れた御簾の向こう側に目を凝らす。霞は目を瞬《またた》かせた。
「……逃げられ……た……?」
霞は立ち上がって局の中を見渡す。中庭へと続く方角の御簾が微《かす》かに開いているのが見えた。床には化け物の血と思われる血痕が点々と残されている。
(あの方角って……東宮様の……)
東宮が控える部屋は庭を挟んで山茶花の局の向かいにある。
すぐに山茶花の後を追わなければと思ったが、負傷した伊吹を置いていけない。霞が立ち竦んでいるところに部屋の出入口である襖が緩やかに開いた。
「左近衛府様のことはわたし達にお任せください……」
「貴方は……水葵様の……」
山茶花の局に入って来たのは水葵の局で見かけた少女だ。面を被ったような、表情のない少女は出入口に座っていた少女ふたりを引き連れてきた。
「左近衛府様を山茶花様の元へお連れしたのはわたしです……。わたしが責任をもって手当て致します」
「それは……ありがたいけれど……。どうして?」
霞が驚いたように問い質すと少女は抑揚のない声で続けた。
「山茶花様は確かに化け物かもしれません。ですが……身寄りのない私達を助けてくださいました……。どうか寛大なご処断を……」
「……」
か細く震える少女に霞は複雑な心を抱く。確かに山茶花は宮中の権力者を葬ってきた悪だ。霞の一族も山茶花の願望のために殺されている。その一方で身寄りのない女性や子供を救ってきたというのも事実だ。
「ごめんなさい。化け物を助けることはできないけど……山茶花様の心は救えるかもしれない」
「え……?」
ここにきて少女は初めて表情を変える。
霞の中で化け物に対する向き合い方が変わっていた。少し前まではひたすら一族の憎い仇として後を追っていたが今は違う。
(呪いの物語が書かれた経緯……。水葵様が託した思い……全て分かったわ。なんとしても化け物を止めなくては……)
「伊吹のこと。どうかお願いね」
霞は少女たちに念を押すと、化け物の後を追って御簾の外に出る。霞は頭の中の盤面を眺め、次の一手を考えた。
(恐らく東宮様の元に殿下を誘き寄せ、操った東宮様に殿下を襲わせる算段だったのね。確実に殿下を葬るために……)
痛む身体を誤魔化しながら霞は弓と矢を拾い上げる。山茶花が出て行った御簾を潜り抜け、目を見開いた。
「いた……!」
中庭に身体を引きずりながら歩く山茶花の姿が見える。しかし、その姿は異様で……着物の裾から九つの獣の尾が揺らめていたのだ。
(やっと本当の姿を見せたわね……!)
九美神社に封じられたのは狐の妖だった。あの尾はまさに狐の尾である。
霞は化け物を狩るにあたり、文書殿に保管されていた書物に書かれていたことを頭の中で思い起こす。
(妖は陰陽師の霊符と術《じゅつ》によって封じられたとあったけど……ここに桐様はいないし。私にそんなことできるわけが……)
そこまで思考を巡らせて、霞はあることに気が付いた。
(桐様から貰った霊符!)
霞は慌てて胸元から桐お手製の霊符を取り出した。子供の落書きのようなそれを弓矢の穂先の手前に結びつける。
山茶花が向かっていたのは東宮殿にある濡れ縁だ。何故かそこには東宮と帝がいた。東宮は顔面蒼白で横たわり、上体を膝を突いた帝に支えられている。
東宮の術は解かれ、帝は無事なようだ。安堵するのも束の間。帝の殺害計画が失敗した山茶花は自ら始末せんと向かっている。
その動きは伊吹が投げた刀の傷のお陰か……鈍い。牛車のごとく遅い歩みだった。見れば肩口に血が染みているのが分かる。
(あのまま化け物を向かわせたら……おふたりが危ない!)
霞は呼吸を整えると弓矢を構えた。
「いっ……」
引き延ばした左腕が痛んでうまく弓を引くことができない。伊吹と戦ったせいで体中が悲鳴を上げていた。
(ここで仕留めなければ!宮中も……今を生きる大切な人達も守れない!)
何度も弓矢の構えを作ろうとするも力が上手く入らない。霞は自分の弱さに苛立った。焦りで息が荒くなり、顔色も悪くなる。
再び霞が弓矢を構えようとした時だった。
霞の震える左手を、突然伸びてきた一回り大きな手が掴む。
手が伸びてきた先を見上げて、霞の瞳に光が差し込んだ。思わず声が上擦《うわず》ってしまう。
「楓様!」
「待たせたな。霞」
霞の元に現れたのは楓だった。口の端を上げて少年のような笑みを浮かべている。恋人の演技の時に呼び捨てにされるのに、いつもの演技じみた雰囲気は感じられない。霞は指摘することを忘れて、その自然な笑顔に瞬きを繰り返す。
帝と行動を共にしているはずの楓が何故か山茶花の局に現れたのだ。そもそも霞は自分が向かう場所を伝えていない。
(楓様と伊吹に危険が及ばないためだったのに……。どうして……)
嬉しいような悔しいような……霞が呆れたような表情を浮かべる。霞が何も語らずとも察した楓が言葉を繋いだ。
「どうしてこんな所に……という顔だな。全て東宮様から聞いたのだ。化け物の正体も、化け物が何をしようとしているかも……。だからこうして化け物の裏をかいくぐって霞の元に加勢しにきた」
「東宮様の術が解けたのですね……。良かった。殿下を襲う前に事なきを得て……」
楓は静かに首を振る。
「いや……。東宮様は術に掛かっていなかった」
霞は楓の言葉に一瞬だけ驚いた表情を見せるが、すぐに納得したように頷いた。何かを察した霞は苦しそうな表情を浮かべる。
「……なるほど。……そういうことだったんですね……」
「詳しいことは後で。今は化け物を止める方が先だ。見たところ霞は体力の限界なのだろう?代わりに俺が化け物を射抜く」
弓矢を奪おうとした楓の手を遮るようにして、霞は弓矢にしがみついた。
「いえ。私が射抜きます。……私がやらねばならないのです」
鋭い光を宿した霞の目を見て、楓は深いため息を吐く。
今まで霞が化け物狩りのために執念を燃やしてきたか。今日この時のために生きてきた霞の気持ちを楓は痛いほど理解していた。
(霞は今まで出会ってきた誰よりも意志の強い女子だ。己の手で決着を付けさせるべきだろう……いや。決着を付けさせてやりたい。長きに及んだ辛い刻を終わらせてやりたい……)
楓は握りこぶしを作った後でそっと振りほどく。素早く霞の足元に片膝を突くと、弓を支えた。
「……俺が弓を支えているから。霞が化け物を射抜け」
「ありがとうございます。楓様」
霞は楓に一礼すると左手を添え、右腕を思いきり引いた。
狙うは長らく追い続けた一族の仇。化け物の背。
霞は長く息を吐いた。
(一族のため。今を生きる大切な者達のため……)
一瞬だけ霞の目に炎がちらつく。
(行けっ!)
迷うことはなかった。狙いを定めると霞は右手を離す。
矢は美しい軌道を描くと、ドスッという鈍い音を立てて肉に突き刺さる。
見事、矢は化け物の背に命中した。
「熱い……!体が……体が焼けるように熱い!」
美しく整えられた中庭の真ん中で山茶花……化け物はのたうち回り絶叫する。身体は燃えていないの何故か体が炎に巻かれたように熱いのだ。更に足や手は錘が付けられたように重くて動かすのが難しい。
(この矢、術がかけられている?それも強力な……!あの小娘が陰陽道に通じているはずがないのに!)
山茶花……化け物は首を少しずつ真後ろに動かし、血走った目で霞の方を見た。その姿に美しく若い女人の面影はない。
おぞましい光景にも関わらず、霞はただ冷たい目で化け物が苦しむさまを眺めていた。
「おのれ……!私の思うがままに動かされてきた、盤上の駒の分際で!」
憎しみが籠った化け物の言葉に霞は動じることなく答えた。
「……その通り。私は盤面の前に座っていると勘違いしていた愚かな駒。しかしただの愚かな駒ではありません。自ら盤上に立って戦い、勝利を掴んだ駒です」
「はじめから駒としてお前自身、私と戦うつもりであったか……!」
確かに霞は化け物に近づくために宮中の者達を駒としか見ていなかった。しかしそれは己に対しても同じ。
霞は自分も駒のひとつ。化け物を狩るための一手としか考えていなかった。
霞は盤上の前に座って化け物と対峙していたのではない。自ら望んで盤上に立ち、化け物と戦う駒となったのだ。
堂々たる霞の姿に化け物は悔しそうに顔を歪ませた。
霞は気を失った伊吹から体を離すと、破れた御簾の向こう側に目を凝らす。霞は目を瞬《またた》かせた。
「……逃げられ……た……?」
霞は立ち上がって局の中を見渡す。中庭へと続く方角の御簾が微《かす》かに開いているのが見えた。床には化け物の血と思われる血痕が点々と残されている。
(あの方角って……東宮様の……)
東宮が控える部屋は庭を挟んで山茶花の局の向かいにある。
すぐに山茶花の後を追わなければと思ったが、負傷した伊吹を置いていけない。霞が立ち竦んでいるところに部屋の出入口である襖が緩やかに開いた。
「左近衛府様のことはわたし達にお任せください……」
「貴方は……水葵様の……」
山茶花の局に入って来たのは水葵の局で見かけた少女だ。面を被ったような、表情のない少女は出入口に座っていた少女ふたりを引き連れてきた。
「左近衛府様を山茶花様の元へお連れしたのはわたしです……。わたしが責任をもって手当て致します」
「それは……ありがたいけれど……。どうして?」
霞が驚いたように問い質すと少女は抑揚のない声で続けた。
「山茶花様は確かに化け物かもしれません。ですが……身寄りのない私達を助けてくださいました……。どうか寛大なご処断を……」
「……」
か細く震える少女に霞は複雑な心を抱く。確かに山茶花は宮中の権力者を葬ってきた悪だ。霞の一族も山茶花の願望のために殺されている。その一方で身寄りのない女性や子供を救ってきたというのも事実だ。
「ごめんなさい。化け物を助けることはできないけど……山茶花様の心は救えるかもしれない」
「え……?」
ここにきて少女は初めて表情を変える。
霞の中で化け物に対する向き合い方が変わっていた。少し前まではひたすら一族の憎い仇として後を追っていたが今は違う。
(呪いの物語が書かれた経緯……。水葵様が託した思い……全て分かったわ。なんとしても化け物を止めなくては……)
「伊吹のこと。どうかお願いね」
霞は少女たちに念を押すと、化け物の後を追って御簾の外に出る。霞は頭の中の盤面を眺め、次の一手を考えた。
(恐らく東宮様の元に殿下を誘き寄せ、操った東宮様に殿下を襲わせる算段だったのね。確実に殿下を葬るために……)
痛む身体を誤魔化しながら霞は弓と矢を拾い上げる。山茶花が出て行った御簾を潜り抜け、目を見開いた。
「いた……!」
中庭に身体を引きずりながら歩く山茶花の姿が見える。しかし、その姿は異様で……着物の裾から九つの獣の尾が揺らめていたのだ。
(やっと本当の姿を見せたわね……!)
九美神社に封じられたのは狐の妖だった。あの尾はまさに狐の尾である。
霞は化け物を狩るにあたり、文書殿に保管されていた書物に書かれていたことを頭の中で思い起こす。
(妖は陰陽師の霊符と術《じゅつ》によって封じられたとあったけど……ここに桐様はいないし。私にそんなことできるわけが……)
そこまで思考を巡らせて、霞はあることに気が付いた。
(桐様から貰った霊符!)
霞は慌てて胸元から桐お手製の霊符を取り出した。子供の落書きのようなそれを弓矢の穂先の手前に結びつける。
山茶花が向かっていたのは東宮殿にある濡れ縁だ。何故かそこには東宮と帝がいた。東宮は顔面蒼白で横たわり、上体を膝を突いた帝に支えられている。
東宮の術は解かれ、帝は無事なようだ。安堵するのも束の間。帝の殺害計画が失敗した山茶花は自ら始末せんと向かっている。
その動きは伊吹が投げた刀の傷のお陰か……鈍い。牛車のごとく遅い歩みだった。見れば肩口に血が染みているのが分かる。
(あのまま化け物を向かわせたら……おふたりが危ない!)
霞は呼吸を整えると弓矢を構えた。
「いっ……」
引き延ばした左腕が痛んでうまく弓を引くことができない。伊吹と戦ったせいで体中が悲鳴を上げていた。
(ここで仕留めなければ!宮中も……今を生きる大切な人達も守れない!)
何度も弓矢の構えを作ろうとするも力が上手く入らない。霞は自分の弱さに苛立った。焦りで息が荒くなり、顔色も悪くなる。
再び霞が弓矢を構えようとした時だった。
霞の震える左手を、突然伸びてきた一回り大きな手が掴む。
手が伸びてきた先を見上げて、霞の瞳に光が差し込んだ。思わず声が上擦《うわず》ってしまう。
「楓様!」
「待たせたな。霞」
霞の元に現れたのは楓だった。口の端を上げて少年のような笑みを浮かべている。恋人の演技の時に呼び捨てにされるのに、いつもの演技じみた雰囲気は感じられない。霞は指摘することを忘れて、その自然な笑顔に瞬きを繰り返す。
帝と行動を共にしているはずの楓が何故か山茶花の局に現れたのだ。そもそも霞は自分が向かう場所を伝えていない。
(楓様と伊吹に危険が及ばないためだったのに……。どうして……)
嬉しいような悔しいような……霞が呆れたような表情を浮かべる。霞が何も語らずとも察した楓が言葉を繋いだ。
「どうしてこんな所に……という顔だな。全て東宮様から聞いたのだ。化け物の正体も、化け物が何をしようとしているかも……。だからこうして化け物の裏をかいくぐって霞の元に加勢しにきた」
「東宮様の術が解けたのですね……。良かった。殿下を襲う前に事なきを得て……」
楓は静かに首を振る。
「いや……。東宮様は術に掛かっていなかった」
霞は楓の言葉に一瞬だけ驚いた表情を見せるが、すぐに納得したように頷いた。何かを察した霞は苦しそうな表情を浮かべる。
「……なるほど。……そういうことだったんですね……」
「詳しいことは後で。今は化け物を止める方が先だ。見たところ霞は体力の限界なのだろう?代わりに俺が化け物を射抜く」
弓矢を奪おうとした楓の手を遮るようにして、霞は弓矢にしがみついた。
「いえ。私が射抜きます。……私がやらねばならないのです」
鋭い光を宿した霞の目を見て、楓は深いため息を吐く。
今まで霞が化け物狩りのために執念を燃やしてきたか。今日この時のために生きてきた霞の気持ちを楓は痛いほど理解していた。
(霞は今まで出会ってきた誰よりも意志の強い女子だ。己の手で決着を付けさせるべきだろう……いや。決着を付けさせてやりたい。長きに及んだ辛い刻を終わらせてやりたい……)
楓は握りこぶしを作った後でそっと振りほどく。素早く霞の足元に片膝を突くと、弓を支えた。
「……俺が弓を支えているから。霞が化け物を射抜け」
「ありがとうございます。楓様」
霞は楓に一礼すると左手を添え、右腕を思いきり引いた。
狙うは長らく追い続けた一族の仇。化け物の背。
霞は長く息を吐いた。
(一族のため。今を生きる大切な者達のため……)
一瞬だけ霞の目に炎がちらつく。
(行けっ!)
迷うことはなかった。狙いを定めると霞は右手を離す。
矢は美しい軌道を描くと、ドスッという鈍い音を立てて肉に突き刺さる。
見事、矢は化け物の背に命中した。
「熱い……!体が……体が焼けるように熱い!」
美しく整えられた中庭の真ん中で山茶花……化け物はのたうち回り絶叫する。身体は燃えていないの何故か体が炎に巻かれたように熱いのだ。更に足や手は錘が付けられたように重くて動かすのが難しい。
(この矢、術がかけられている?それも強力な……!あの小娘が陰陽道に通じているはずがないのに!)
山茶花……化け物は首を少しずつ真後ろに動かし、血走った目で霞の方を見た。その姿に美しく若い女人の面影はない。
おぞましい光景にも関わらず、霞はただ冷たい目で化け物が苦しむさまを眺めていた。
「おのれ……!私の思うがままに動かされてきた、盤上の駒の分際で!」
憎しみが籠った化け物の言葉に霞は動じることなく答えた。
「……その通り。私は盤面の前に座っていると勘違いしていた愚かな駒。しかしただの愚かな駒ではありません。自ら盤上に立って戦い、勝利を掴んだ駒です」
「はじめから駒としてお前自身、私と戦うつもりであったか……!」
確かに霞は化け物に近づくために宮中の者達を駒としか見ていなかった。しかしそれは己に対しても同じ。
霞は自分も駒のひとつ。化け物を狩るための一手としか考えていなかった。
霞は盤上の前に座って化け物と対峙していたのではない。自ら望んで盤上に立ち、化け物と戦う駒となったのだ。
堂々たる霞の姿に化け物は悔しそうに顔を歪ませた。
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