新月の光

恵あかり

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第二部 紅陽(完結)

1 紅蘭の朝

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 夜明けの星は、地平線の下から太陽を招く。
 初冬の白い朝に、少年は息を軽くはずませた。
 馬の背に揺られ、東雨は一人、清らかな朝の中を、都の犀星の屋敷へと戻る最中であった。



 先ほどまで、彼は、身の毛が逆立つような生きた心地のしない部屋で、主である皇帝と向き合っていた。
 その記憶は、天輝殿を出た後も、頭の周りにまとわりついて離れない。
 天輝殿の中殿にある、石造りのあの小さな部屋は、いつだったか、皇帝に逆らった咎で、近衛兵の一人が無惨な死を遂げた場所であった。
 その同じ場所に、皇帝と自分は二人きり、その緊迫した空気は、あの時の刺殺を思い出させた。
 幼かった東雨には、あの時、近衛兵がどのような罪で殺されたのかは理解できなかった。
 しかし、それでも、兵の体から流れた血が、部屋の隅の排水溝の乾いた石の上を、細い蛇のように這っていくのを、今でもはっきりと覚えているのだ。
 油灯の光がわずかに揺れる、あの薄暗い闇の中で、自分は皇帝に、歌仙で見聞きしたありとあらゆることを告げた。
 南陵軍歌仙地方、犀星の故郷。
 遥か南の地で、何が起きていたのか。
 秋の初めにあの地を訪れた東雨は、およそ三月の間、都を留守にした。
 その間に起きた数々の出来事。犀遠や玲陽との出会い、犀星や涼景のはたらき、そして、何やら理解を超える怪しげな黒い影。
 不明瞭なところはあるものの、東雨はできる限り丁寧に、そして皇帝の機嫌を損ねないように、静かに語った。
 自分の記憶のすべてをそこに置き去りにするように。それはどこか、自らの冒した罪の告白にも思われた。
 宝順帝は、黙ってそれを聞いていた。
 東雨は顔を上げず、じっと、皇帝の着物の裾の龍の模様と、小さな玉飾りを見ながら、淡々と話した。
「これより、玲陽は都の屋敷に滞在することになります。いずれ、五亨庵へも現れるでしょう」
 東雨は、長い話の最後を、その言葉で締めた。
 宝順からの反応はなく、石壁に揺れる油灯の燃える音までが、大きく聞こえる気がした。やがて、するりと衣擦れがして、宝順が何やら動いたのがわかったが、東雨はあえて目を閉じた。
 東雨には、皇帝のすべてが恐ろしい。
 ただこうして指示にしたがい、命令を遂行している中でさえ、常に怯え続けている。突然に咎められて、次の瞬間、胸に刃が突き立っている、そんな恐怖がどうしても拭いされなかった。
 宝順帝の怒りに触れれば、誰であろうと容赦はない。それが、このような密室の中、自分のような孤児上がりの無力な侍童など、この世に存在さえしなかったかのように消されるだろう。
「あいわかった」
 宝順はようやく、一言、そう吐いた。
 閉ざされた部屋の匂い、重たい空気そのものが、東雨の呼吸を狭めているようだった。深く吸い込めば、途端に気を失いそうになるような、心理的に追い詰められた臭気が、そこには満ちていた。
「そちに命ずる」
 その言葉に、東雨は最大限の集中力で耳を傾けた。
「引き続き、玲親王の身辺を報告せよ。そして、その、玲陽とやら……」
 東雨はごくり、と飲み込む。
「実に面白そうではないか」
 東雨は自然と体が震えた。宝順が玲陽に興味を持った。それは、玲陽が無事ではすまないことを意味していた。
「いずれ、ゆっくり話がしたい」
 話すだけで終わるはずがない。
 東雨にも、それくらいのことはわかっている。不幸にも宝順の関心を得た者が、天輝殿から無事に帰ることはできない。よしんば生きて門を出られたとしても、すでに廃人とされているだろう。その加虐嗜好は異常を極める。
 特に、宝順の犀星に対する執着は凄まじかった。
 東雨を使い、情報を把握しようとするのも、ひとえに犀星を精神的に支配するための手段だった。
 宝順にとって、犀星の苦しみは愉悦にほかならない。そのためならば、いかなる手段も問わなかった。
 過去に起きた、いくつもの悲劇。
 心が思い出すことを拒んで、東雨は浅い呼吸を繰り返しながら、じっと身を固く縮めた。
「そちは、玲陽の信頼を得よ。いかようにも動かせるようにな」
 玲陽を、動かす?
 東雨はなぜか、心苦しさを覚えた。
「……はい」
 しっかりと声を出したつもりだったが、その返事はあまりにか細かった。
 つまるところ、玲陽と仲良くなれということだよな。
 東雨は自分なりにそれを咀嚼し、飲み込んだ。
 上辺の人付き合いがうまい東雨にとっては、それは、それほど難しくはない。
 笑顔で向き合っていれば、大抵の相手は向こうから気を許してくれる。
 それは東雨の幼さや無邪気さ、明朗快活に見える気性が相手の警戒心を解くためだった。しかし、東雨は腹の中でいつも、愚かな奴らだと嘲笑っている。
 幼い頃から、皇帝と犀星との板挟みで、偽りを続けてきた東雨は、周囲を信用するということに常に抵抗感を抱いている。
 相手を信じたら負けだ。
 そうでなければ、誰かに利用され、簡単に捨てられる末路しかない。
 生き残りたければ疑うこと、信じないこと、許さないことが、何よりも肝要である。
 玲陽に対しても、東雨の態度が変わることはない。表面は親しく接し、その弱点も言動の傾向も理解する。その上で、都合よくあやつるだけだ。
 やることは変わらないさ。
 東雨はつとめて強気を演じたが、本音では気が進まなかった。
 正直なところ、玲陽は苦手だった。
 歌仙で玲陽と知り合って依頼、どうしても自分は調子が狂わされている。何かをされるというわけではないが、できればあまり関わりたくない。玲陽のことを考えると、どうしても同時に犀星の顔が蘇ってくる。今まで見たこともなかった、穏やかな犀星の表情。それは、東雨を幸せにもしたが、同時に苦しくもした。
 ……なんか、嫌だ。
 東雨は眉間に皺をよせ、それから、唇を噛んだ。
 馬の背の上で、その馬蹄が石畳に心地よく響く振動を感じながら、東雨は遠くの朝焼けを見た。
 昨夜のうちに、犀星と玲陽を都の邸宅に残し、夜の闇に紛れて、皇帝の元へ。
 そして、今、あらゆることを語り尽くして、新しい命令を受け、帰路につく。
 ひとつの区切りがついたはずなのに、気持ちはまったく晴れない。
 東雨は息苦しさを和らげるように、深呼吸を繰り返した。
 たとえ自分が気乗りしなくとも、宝順の命令が出た以上、逃れる道はない。逆らうならば、自分はその場で、この世から跡形もなく消されるだろう。
 幼い頃、宝順の手によって、東雨は犀星に預けられた。
 幸い、犀星の元で落ち着いた生活を送ることがてきた。
 変わり者の犀星の相手は楽ではなく、本来の仕事とは関係のないこともたくさん覚えねばならなかった。
 それでも、これでよかったのだと感じる。歌仙親王はこの時代に稀に見る逸材だ。その人間のそば近く仕えているというのは、優越感を抱ける条件でもあった。
 親王は決して美しいだけではない。寡黙で、何を考えているかわからない部分も多いが、知恵と、賢さ、懐の深さは、そばにいれば自然とわかる。
 それに加えて、時折見せる純真さや無防備な仕草も、東雨にとっては魅力である。
 特に、玲陽と接する時の犀星はその傾向が顕著であった。
 今まで笑わないと思っていた犀星が、急に笑う。それも、柔らかく、深い優しさを滲ませて。
 そんな犀星の変化が、東雨にとっては今後が楽しみな一つの要因である。
 もっと見ていたい。そう思うのは、東雨の心が犀星へと向いているからかもしれない。
 誰も信じない、と言いながら、俺は、若様を受け入れてしまっている?
 東雨は、自分自身の揺れる心を押さえつけた。
 これは錯覚だ。犀星の信頼をえるための偽装なのだ。
 そう、心のどこかで言い聞かせた。
 宮中の出口の近くで、東雨は一本の桜を横目に見た。
 山桜の古木である。
 その奥の道を行けば、犀星が政治の拠点としている五亨庵がある。
 葉がずいぶんと落ちた木立の奥に、目が覚めるような群青と銀模様で彩られた、美しい外壁が見えた。
 まだしばらくは戻らないだろう。玲陽の体調が落ち着くまで、犀星は、五亨庵への出仕を控えるはずだ。
 中央ではなく、宮中の最も南側、都に通じる門のそばに拠点を構えている貴人は、犀星だけである。
 この変わり者の親王は、この僻地に位置する南東部の一角を気に入り、あの桜の木を目印にして、さらにその奥の荒地を分け入り、そこに五亨庵を建てた。
 それまで何もなかった閑散とした空き地になぜか興味を持ち、自ら設計を手がけ、奇抜な建物を作り上げた。
 それは鳥の目線から見れば、五角形をした幾何学的な外観で、屋敷の中には、もとからその空き地に埋まっていた五つの石が配置された。建物の形も、床から石が飛び出している眺めも、普通の貴人の邸宅や、政務を取り扱う場所とは思われない。
 しかし、その奇抜さゆえに、幼心に東雨は気持ちが浮き立ったものである。
 苦労も多いが、楽しみもある。
 特殊であるがゆえに、他の者たちよりも自慢できる要素も多かった。東雨の方から何も言わなくても、周囲は犀星のそばにいるという彼の立場を羨ましがった。
 ただそこにいるだけで絵になり、視線を集める。
 歌仙新王の人気というのは、そのようなものである。
 都に帰ってきたというのは、東雨にとっては安心できる要因であった。
 記憶にある最初から、彼はこの場所で育った。正確な生まれは知らないが、どこが故郷かと問われれば、間違いなく紅蘭と答える。
 気に入らないこともある。身勝手な貴人たちには腹も立つ。
 それでも、東雨にとって、ここは慣れ親しんだ土地である。
 五亨庵を過ぎれば、すぐそこに宮中と都の境の門がある。
 ようやく夜の閉鎖が解け、門が開かれる時刻だ。
 東雨は帯に挟んだ玉佩を、門番にちらりと見せた。そして、馬から降りることもなく、そのまま通過した。
 東雨のことは、警備に当たっている兵たちも十分に知っている。
 彼らの認識は、犀星の使者、というもので、門をすんなりと通してくれるだけの信用は勝ち得ている。
 宮中と都の境である朱雀門を出ると、そのまま大通りをまっすぐに南へ下る。
 初めに通るのは貴族たちの邸宅のある地域だ。
 この辺は一番隊と二番隊が警備に当たっている。
 どちらも、もともと下級貴人の出身者が多い、気位の高い連中である。
 だからこそ、貴人たちの邸宅の警備などという面倒くさいことが務まる、と東雨は思っている。
 その一帯は宮中の延長のように、整然とし、美しく整った街路樹や、石畳が続いている。
 広々とした邸宅が並ぶため、見晴らしは比較的良いが、人の出入りは少ない。
 落ち着いた雰囲気だが、どこかよそよそしいかった。
 その中を、一番隊と二番隊の兵士たちが、規則正しく巡回して歩く。
 彼らは東雨を一瞥しただけで、特に呼び止めることはなかった。
 警戒されねばならないことをしているわけではないが、それでも疲れが溜まっている東雨はほっとした。無用な悶着は避けたかった。時には、うさを晴らすように難癖をつけてくる衛士もいて、東雨は随分と迷惑をしていた。
 昨夜、夕刻に都に到着して以来、東雨は休みなしである。
 屋敷に着くやいなや、掃除をし、換気を行い、炉に火を入れ、簡単な食事を作った。湯殿の準備には時間がなかったため、体を拭けるように用意を整え、着替えを準備し、馬の世話をした。瑣末な事柄で、あっという間に日が暮れ、犀星と玲陽が寝静まった頃、屋敷を抜け出したのだ。
 早く帰って一眠りがしたい。だが、すぐ朝餉の支度が必要だろう。
 東雨はそんなことを考えながら、ゆっくりと馬を進めた。
 歌仙地方は随分と朝靄が多かった。自分はあの、どこか憧憬を呼び起こすようなぬるい空気には、慣れられなかった。
 紅蘭は逆に、空気がしんと冷えて透明度が高い。
 ここの育ちである東雨は、それが当たり前の景色になっていた。知らない土地でしばらく過ごしてみると、今まで気づかなかった特徴がよくわかる。
 俺はやっぱりこっちの方がいいな、と彼は素直に思った。
 馴染んだからだけではない。この空気は、自分の肌に合っている。
 鋭く、常に緊張感を孕むような、ぴりりと張った匂いがする。
 心を許せるものでも、安心感を得られるものでもない。優しさから程遠い、突き放す棘がある。
 常に張り詰めた孤独と、胸をつつく冷ややかさ、そしてどこまでも明朗に透き通って抜けるような空の青。冬が近く色が薄いが、それもまた、冷たくて心地よいと思う。
 そうだ。自分にはこの空が似合っている。
 目を向けると、日が昇るにつれて、徐々に空は色を増してくる。
 白から青への緩やかな色の移り変わりと、冷たい空気とが相まって、胸に迫る。帰ってきたのだという実感が湧く。
 貴人たちの邸宅の区域を過ぎると、次はいよいよ、自分たちが生活する地域である。
 商人や職人の出店、旅館や飲食店、様々な身の上の者たちがひしめき合って、狭いながらも、活気がある雰囲気で暮らしている場所。
 この、せまく入り組んだ道の奥に、犀星が住む邸宅がある。
 もともとは涼景の持ち物であったが、犀星が気に入り、借り受けている。
 まさか、民の住む地域の奥の奥に仮住まいをしている親王がいるなど、簡単に想像はしないだろう。
 それほどまでに、犀星の偏屈ぶりは顕著であった。
 昔はそれを恨み、もっと豪華な屋敷に住みたいと嘆いたこともあった。
 当時の東雨には、犀星の好みは決して受け入れられるものではなかった。慣れてしまった今となっては、逆に気が楽だった。
 近所付き合いで貴人たちの機嫌を取る必要もない。身分の違いを理由に、嫌がらせを受けることもない。
 すれ違うのは皆、見知った都の人々だ。
 東雨は少しだけ、ここでは力を抜くことができる。
 朝が早い市場の者たちは、みんな声を掛け合って、お互いに挨拶をしながら、今日の無事を祈り、そして繁盛を願う。
 そんな活気あるやりとりが、そこかしこから、東雨の目にも入ってくる。
 一人の商人が東雨に気づいて声をかけた。
「久しぶりだな。歌仙様が戻ったのか?」
「はい、昨夜戻りました」
 にこっと笑って、東雨は馬から降り、頭を下げた。厳しい顔で物思いに耽っていた少年とは、まるで別人だ。
 商人は、野菜を乗せた荷車の荷物を探りながら、
「それじゃ、早速これを持って行け」
 と、麻の袋を差し出した。中を覗くと、じゃがいもである。そこから連想できる料理がいくつも、東雨の頭に浮かんだ。彼は笑顔で袋を受け取った。
「ありがとうございます。長く家を空けていたので、食料を調達しなきゃいけないと思ってたところです。後で、店に行きますね」
 男は笑って頷いた。
「必要なら、少しだが薪も出せるぞ。歌仙様が戻ったら、売り付けに行こうと思ってたところだ」
 商人の男はそう言って、明るく笑った。そのやりとりを見ていた何人かが、犀星の話を聞こうと東雨に集まってきた。
「東雨、胡麻を持っていかないかい?」
「歌仙様に、これも渡しておくれ」
 こんなふうに東雨は、道を歩くだけで荷物が増える。
 それもこれも、すべては、犀星の人柄、と言えば良いのだが、なんだかほどこしを受けているようで、東雨としては少々体裁が悪い。
 親王なのだから、充分に俸禄はあり、経済的には豊かなはずだ。だが、犀星はそこはかなりの倹約家だ。
 食料どころか、燃料に至るまで、徹底的に切り詰める。一ヶ月の予算が三十文という、生命維持に関わるような財政を、東雨はどうにかやりくりしていた。
 そうこうして、浮かせた金を、犀星は公共事業の投資に充てる。権力を強化するためや、汚職に使われるわけではなかったが、だからこそ、東雨としては文句のつけようがなく、いかんともしがたい思いでいっぱいである。
 そのような倹約の中であったから、甘いものが食べたいと思っても、どこかからおこぼれが来るのを待つしかない。好物の杏の蜜漬けも、もう何年も口に入っていない。
 みんなは羨ましがるけれど、これはこれで結構ひもじいものだぞ、と東雨は苦笑する。
 それでも本当に食うに困るということはなく、身の安全も保証されている。
 東雨はふと、少し先の道に目を向けた。軽装の鎧をまとった兵士が数名、歩いているのが見えた。
 この区画を任されているのは、三番隊と、そして暁隊である。特に東雨が気にかけているのが、暁隊だ。
 東雨は鳶色の皮の甲冑を纏った衛士を見た。
 やっぱり、人相が悪いなぁ。
 そうは思うものの、どこか親しみのこもる顔で眺める。
 都警備の連番隊は国の組織だが、暁隊だけは違う。燕涼景の戦果に惚れ込み、その人望に惹かれて集まった集団が、暁隊の前身である。はじめは涼景の私兵に過ぎなかったが、彼が都の警備を任されるにあたり、他の連番隊に並んで起用され、今に至る。
 その成立過程が特殊であるため、所属する者たちはほとんどが平民の出である。中には少々人に知られたくない経歴の者も多くいる。そんなならず者集団が衛士として機能し、その上、他の隊よりも民衆の信頼を得ている現実の裏には、涼景の並々ならぬ砕身があることは言うまでもない。
 東雨は市場で手に入れた食材や日用品を馬の鞍に結わえ、すでに空気がいくらか温み始めた中を、路地の奥へと進んだ。
 涼景、どうしたかな。
 東雨は不意に、暁将軍を思い出していた。ここしばらく毎日顔を合わせていたが、都の生活に戻れば、そう頻繁ではなくなる。
 三ヶ月の間、涼景は相当な心労を味わったらしく、随分老け込んだ印象があった。特に犀遠が亡くなってからは、犀家の軍事的な事柄を全て引き受け、取り仕切っていた。当主不在の犀家が私兵を維持できる仕組みを作ったのは、彼の功績である。
 東雨はそっと、懐を探った。着物の深くに、涼景から渡された短刀を忍ばせてあった。刀身に毒が塗られ、非力な東雨でも相手を仕留められるようにと、涼景が渡してくれた護身用である。
 必要なわけでもないが、なんとなくそのままにして手放さずにいる。東雨が皇帝を第一の主人としていることに勘づいている涼景が、どうしてわざわざ自分にこのようなものを渡したのか。それは、東雨の理解の及ばないところである。
 考えてもわからないような、それでいて、答えに辿り着くのが躊躇われるような、複雑な気持ちになる。東雨は顔を上げ、行手に集中した。
 犀星の住む屋敷は、表通りから三本分、奥へ入ったところにある。路地が入り組んでいて、初めて来たときには道に迷った。
 それでも十年も通っていれば、距離感や、その辺の景色のなじみ具合で、親近感が湧いてくる。もっと良いところに住みたいと思っていたのに、いつの間にかすっかり慣れてしまった。
 東雨は馬を引きながら、門を潜った。前庭の左手には厩舎があり、そこで馬を休ませ、玄関に向かう。すぐに朝餉の支度をしなければならない。東雨は市場でもらった物品を抱えて厨房へ入った。隣接する食料庫に一度しまい、それから、すぐに使えそうな食材を見繕う。犀星の倹約思考が効いていて、長期保存できる食材は、ある程度揃っている。
 そうだ、庭の野菜はどうなっただろう。
 東雨は中庭にある畑に向かった。長期間留守にしたせいで、収穫間近な野菜を放置してしまった。犀家で畑の恵みを見るたびに、こちらはどうなっているかと気が気ではなかった。東雨にとって、少ない生活費のやりくりは最優先事項なのだ。
 三か月も放置していた割には、食べられそうなものも残されているようだ。
 大根、まだ大丈夫かも……
 東雨はとりあえず手当たり次第に、その辺の野菜を物色した。すでに枯れて、収穫期を過ぎてしまったものも多いが、今日の朝食にはどうにか間に合いそうだ。
 雑草の生えた土を踏み分け、隠された宝を探す心持ちで、東雨は大根の葉に手をかけた。
 冷たい。
 そろそろ、初霜が降りる季節だ。
 東雨は丁寧に大根を掘り出した。放っておいた自分たちを恨むこともなく、大根は丸々と膨らんでいる。東雨は自然と笑顔だった。大根でこれだけ幸せになれるのだから、犀星の方針も悪くないのかもしれない。少なくとも、金でを払って全てをまかなう貴人の暮らしよりは、多くのことが経験できる。
 荒れた畑の中をうろうろしていた東雨は、振り返って目を上げ、一瞬体が固まった。
 見慣れない人影が、そこにあった。玲陽である。彼は中庭に面した居間の前の回廊に座って、ぼんやりと景色を眺めているようだった。
 声くらいかけてくれたらいいのに……
 いつもの東雨なら、疲れているのだから仕方がない、と優しい気持ちにもなるかもしれないが、今朝はあまり余裕がない。
 宝順の指示が蘇った。
 玲陽と信頼を築くこと。それが東雨にとっては非常に重たい任務となっている。
 だというのに、東雨は実際、玲陽の姿を見て、違和感を覚えた。
 自分と犀星だけの屋敷に、他の人間がいるということへの抵抗が拭えない。涼景などが押しかけてきて、ただ飯を食っていくことはあるが、それとて一晩の客の域を出ない。しかし、玲陽は違う。彼はこれから、ずっと、ここにいるのだ。
 二人の世界に、投げ込まれた一つの石。その波紋はどんなふうに自分を飲み込んでいくのだろう。
 なんだが、面白くない……
 それが東雨の素直な感想だ。だが、そんなことはおくびにも出さず、東雨は大根を手に、玲陽に歩み寄った。
 薄い着物一枚で、その上から褥を肩に乗せている。足元は素足で、とてもこの季節の格好ではなかった。玲陽が暮らしていた歌仙であれば、素足で過ごすことも珍しくはなかっただろうが、紅蘭は違う。もうじき雪も降る時期だ。
「光理様、おはようございます」
 東雨はそっと話しかけた。ぼんやりとしていた玲陽は、静かに東雨の方を向いた。なぜか返事がない。
 無視すんなよ……
 東雨の心は逆だった。
「光理様?」
 と、もう一度、呼びかけた。
 玲陽の表情は、かすかに戸惑ったようだ。
「大丈夫ですか? まだお疲れが残っていらっしゃるのでしょう?」
 気遣うそぶりの東雨の声に、玲陽は徐々に意識が戻ってきたような仕草で、息をはいた。
「あ、すみません。なんだかぼーっとしてしまって」
 はにかむ。そして少し首をかしげるようにして笑う。東雨はこの仕草が可愛いと思う。今もそう思ったが、次の瞬間、それを否定する。
 ……笑えば、許されるわけじゃないぞ。
 少し意地になりながら、東雨はそんなふうに考えた。
 東雨は、皇帝の命を受けて、今ここにいるのだ。これから玲陽と会話をし、信頼関係を深める真似事をする。それもすべて、皇帝の命令だからだ。
 玲陽を受け入れた訳ではない。
「光理様、朝食の支度がまだなんです。ここは寒いので、お部屋に戻りませんか。もう少し横になっていても大丈夫です」
 東雨の丸い声を聞きながら、玲陽はまた、ほんの少し微笑んだ。
 その笑みに、東雨も思わず笑い返してしまう。
 やっぱりずるいなぁ。きれいな人はこれだからずるい。
 そう思いながら、胸の奥が暖かくなる。
 そしてまた、それを否定する。
 嫌いだ……
 そうでもしなければ、自分が何をしているのか、わからなくなりそうだった。
「光理様、どうしてもここにいらっしゃるのなら……せめて、お着物だけ整えさせてください」
 動こうとしない玲陽に、東雨はそう言った。
「少し待っててくださいね」
 軽々と回廊に上がり、東雨は衣装部屋へ向かった。
 この屋敷に引っ越してきた時、東雨は衣装部屋をあつらえた。親王である犀星にはたくさんの衣装が必要だろうと考えてのことだった。
 しかし、残念ながら、犀星に着飾る気はなかった。おかげで、今に至るまで、この部屋は日の目を見なかった。
 今回は役に立つ。東雨は、今こそ、その時、と意気込んで、裏地に羊毛をあしらった綿の着物を取り出した。
 黒地に、柔らかい橙の模様が織り込まれた、質素だが気品のある生地で仕立てられている。
 いつだったか、市場の一角で開かれていた古着市で手に入れたものだ。
 一国の親王が古着屋を頼るなどおかしな話だが、すでに東雨の感覚は犀星に合わせて狂い始めている。
 申請すれば、身に付けるものは現品支給される。だがそれすら、犀星は必要がないと断ってしまう。
 しかし、玲陽が来た今、明らかに物は不足する。
 ここは若様に言わねばならない、と東雨は改めて気持ちを引き締めた。
 生活の維持のため、来たるべき冬に備えて、必要なものはたくさんあるのだ。
 東雨は思いつく限りの着物を抱えると、回廊に戻った。
 相変わらず玲陽はぼんやりと庭を眺めている。
 なに、お客様気分でいるんだよ。
 東雨は玲陽の仕草が、いちいち癇に障る。
 歌仙で、玲陽は、犀家の当主として気を張っていたようであった。それがここにきて、ふっと切れたように思われた。
 もともと長い間の幽閉生活、大怪我、体力の低下、心労、最後は、犀遠を失った悲しみと、犀家を背負って立つという重責。それら全てを味わった玲陽は、周囲が思う以上に疲弊してしまっているはずだ。
 ……考えたら、この人も気の毒だ。
 と、元来、素直な東雨は思ってしまった。
「光理様、お待たせしました」
 東雨はもともと着ていた着物の上から、さらに重ね着をさせた。最後に、白い足先を見る。まるで雪のようだ。
 東雨は衣装部屋を出る時に懐に入れて温めていた、綿の入った布履きを取り出した。
「足元だけは、絶対に油断しちゃだめですよ。足を温めるだけで、全身が暖かくなりますから」
 東雨は人形のようにされるに任せている玲陽に、布履きを履かせる。偶然に手が触れた玲陽の足は、驚くほどに冷たかった。
「暖かいです」
 玲陽が目を細める。東雨は嬉しそうに、ニッと笑った。
 甘いな。
 笑顔の下で、東雨も目を細めた。それは、玲陽への嘲笑が、己への自嘲か、わからなかった。
「あの……東雨どの?」
 玲陽はどこか戸惑いながら言った。
「朝食の支度、手伝わせてください」
 玲陽の申し出に、東雨は目をしばたいた。
「できるんですか?」
 我ながら失礼な質問だ、と思ったが、止めるよりも早く声が出ていた。玲陽は照れたように笑った。
「もう、随分料理はしていないので、うまくできるかどうかはわかりませんが」
「ぜひ、お願いします!」
 ここは遠慮するべきところではない。
 東雨は大きく頷いた。経験上、共同作業は相手との距離を詰める有効手段だ。
 よし、絶対に光理様の心を落としてやる。見てろよ……
 楽しいおもちゃか、か弱い獲物を見つけたような、子供じみていて、同時に残酷な気持ちで、東雨は玲陽を厨房に案内した。
 とは言え、東雨のもとの性格から、攻撃的な行動に出るつもりはない。あくまでも、自然と、当然の流れのように、友情を育まねばならない。第一、玲陽にもしものことがあれば、犀星が黙っていないことくらいは明白だ。
 演技に徹してみせる。
 彼は作戦方針を定めた。本気で友達になる、その方向性にブレはない。
 色々と気に入らないこともあるが、それはこの際、棚に上げる。
 しかしながら、本心を許す友人などいたことがない東雨にとっては、やはりどこか借り物の気持ちだ。それでもいい。重要なのは結果を出すことだ。
「光理様、厨房の仕事は子供の頃以来ですか?」
 さりげなく探りを入れる。玲陽は揃っている道具を確かめながら、うなずいた。
「昔は手伝っていたんですけど……その後は料理なんてするような環境ではなかったので……」
 上げ膳据え膳ではなかったということくらいは、東雨もわかっている。むしろ、食べるか食べないか、という瀬戸際だったはずだ。
「それは、料理どころじゃないですよね」
 素直に東雨は言った。生きていることで精一杯、花の蜜さえ貴重な栄養となる。そんな暮らしをしていたのだから、飯の炊き方一つ忘れていても仕方がない。東雨がそんなことを思いながら、とりあえず粟を炊こうか、と腕を組んで思案していると、玲陽は手際よく、鍋をかまどの上に乗せた。
「これ、使ってもいいですか?」
「もちろん。ここにあるのは、全部自由にしてください。俺に許可を取る必要はありませんから」
 東雨は気軽にそう言った。気を遣われるのは好きではない。そこだけは、犀星と意見が合致する。
 玲陽は少し笑って、次に、素焼き壺の中の粟を探った。
「これ、使っても……」
 と、言いかけ、
「使いますね」
 と、ひっそり笑う。思わず東雨は見惚れて頷いた。慌てて顔を作り直す。
「光理様、粥を任せてもいいですか?」
「はい」
 玲陽は升で粟を計り、鍋に入れる。水は本来であれば甕の中に残っているのだが、今はもう全部抜いていて、井戸に行く必要がある。玲陽は手桶を手に、勝手口を見た。
「井戸なら、ここを出てすぐですよ」
「では行ってきます」
 にっこりとして、玲陽は出ていった。
 なんだ、結構使えるじゃないか。
 てっきり、何もできない御曹司かと思っていたが、どうやら生活力は充分ありそうだ。これは家事が楽になるかもしれない。と思う一方で、あの過保護な犀星が本当に玲陽に家のことをやらせるかどうか、という疑問も湧く。
 一緒に暮らす以上は、やることはやってもらおう。面倒を見る義理はない。
 と、少し強気の東雨である。
 その時、回廊の向こうから慌ただしい足音がしてきた。東雨はわずかに驚いた。この屋敷で、回廊を走る人間と言えば、自分だけだと思っていた。というよりも、犀星が屋敷内を走るということ自体が不自然だった。彼はいつも余裕を持って、特に足音を立てるようなことはしなかった。
「東雨!」
 自分を見つけて、犀星が叫んだ。

「おはようございます、若様」
「陽を、見なかったか? 部屋にいないんだ!」
 犀星はまるで、大切な物が盗まれた、というような顔をしている。
 これは……まずい。
 東雨は思わず頬を引きつらせる。まさか井戸に水を汲みにやったなどと言ったら、犀星が怒りだすかもしれない。わずかに返答にためらいが生まれる。
 その沈黙を怪しんだ犀星が、勝手口のほうに目を向けると、ちょうど玲陽が手桶に水を汲んで戻ってきた。
「陽……」
 犀星の顔に安堵の表情が満ちる。
 東雨は珍しそうにその様子を伺い、それからなんとも言えない表情で、ため息をついた。
 こんなにもコロコロと表情を変える主人を見ることになるとは。
 これからは、きっと、こんな毎日になるのだろう。
 そしてそれが、日常であることに慣れていく。
 犀星と玲陽が並んでかまどに火を入れるのを見ながら、東雨は目元を曇らせた。
 何かが、壊れていく気がする……
 その日常の中に、自分の居場所はあるのだろうか。
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【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

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裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

 神典日月神示 真実の物語

蔵屋
歴史・時代
 私は二人の方々の神憑りについて、今から25年前にその真実を知りました。 この方たちのお名前は 大本開祖•出口なお(でぐちなお)、 神典研究家で画家でもあった岡本天明(おかもとてんめい)です。  この日月神示(ひつきしんじ)または日尽神示(ひつくしんじ)は、神典研究家で画家でもあった岡本天明(おかもとてんめい)に「国常立尊(国之常立神)という高級神霊からの神示を自動書記によって記述したとされる書物のことです。  昭和19年から27年(昭和23・26年も無し)に一連の神示が降り、6年後の昭和33、34年に補巻とする1巻、さらに2年後に8巻の神示が降りたとされています。 その書物を纏めた書類です。  この書類は神国日本の未来の預言書なのだ。 私はこの日月神示(ひつきしんじ)に出会い、研究し始めてもう25年になります。  日月神示が降ろされた場所は麻賀多神社(まかたじんじゃ)です。日月神示の最初の第一帖と第二帖は第二次世界大戦中の昭和19年6月10日に、この神社の社務所で岡本天明が神憑りに合い自動書記さされたのです。 殆どが漢数字、独特の記号、若干のかな文字が混じった文体で構成され、抽象的な絵のみで書記されている「巻」もあります。 本巻38巻と補巻1巻の計39巻が既に発表されているが、他にも、神霊より発表を禁じられている「巻」が13巻あり、天明はこの未発表のものについて昭和36年に「或る時期が来れば発表を許されるものか、許されないのか、現在の所では不明であります」と語っています。 日月神示は、その難解さから、書記した天明自身も当初は、ほとんど読むことが出来なかったが、仲間の神典研究家や霊能者達の協力などで少しずつ解読が進み、天明亡き後も妻である岡本三典(1917年〈大正6年〉11月9日 ~2009年〈平成21年〉6月23日)の努力により、現在では一部を除きかなりの部分が解読されたと言われているます。しかし、一方では神示の中に「この筆示は8通りに読めるのであるぞ」と書かれていることもあり、解読法の一つに成功したという認識が関係者の間では一般的です。 そのために、仮訳という副題を添えての発表もありました。 なお、原文を解読して漢字仮名交じり文に書き直されたものは、特に「ひふみ神示」または「一二三神示」と呼ばれています。 縄文人の祝詞に「ひふみ祝詞(のりと)」という祝詞の歌があります。 日月神示はその登場以来、関係者や一部専門家を除きほとんど知られていなかったが、1990年代の初め頃より神典研究家で翻訳家の中矢伸一の著作などにより広く一般にも知られるようになってきたと言われています。 この小説は真実の物語です。 「神典日月神示(しんてんひつきしんじ)真実の物語」 どうぞ、お楽しみ下さい。 『神知りて 人の幸せ 祈るのみ 神の伝えし 愛善の道』

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

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