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-第36夜- 人狼(はんにん)はこの中に…
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視点は彼らに変わる。老執事であるミシェル・ゲイレンはウンガー氏の遺体を発見したと言う新人執事のヘイデンとその場に一緒にいたメイド、リカと一緒に彼の泊まる202号室へと向かっていた。
「リカさん、貴女は女性だ。無理に二度も人の死体を見なくてもいい」
彼女へ気に掛けるミシェル。だがリカは「だ、大丈夫です……そ、それにもしかしたらまだ生きてる可能性もあるので」と答える。
「ふむ、そうですか。ちなみに部屋には誰が残ってますか?」
執事長の問いに新人執事のヘイデンは「はい!モールスが見てます!彼なら信頼出来るかと思いまして」と答えた。それに対し、執事長は「ふむ、彼なら安心ですな」とだけ答えた。
3人はウンガー氏の宿泊部屋の202号室に着く。だが、そこで彼の遺体を見張っていたモールスは酷く、青ざめた様子でミシェルの元へと歩み寄った。
「執事長……ウンガーさんはもう、」
俯くモールスはその先を何も言わず、ただ首を横に振った。
「脈は?」
「い、一応測りましたが……」
彼の暗い表情を見るなりミシェルは「そうですか」と悟り、3人にこう告げる。
「もう一度、私がウンガーさんを見てきます。3人はこのまま部屋には入らないで外へ」
残りの3人は執事長の言う通り、部屋の外で待機していた。
そして、再び部屋が開かれると中から出て来たミシェルは「残念ながら……手遅れでした。ウンガーさんは亡くなられております」と告げた。
その事実に言葉が出ない3人、それもその筈だ、一度に2名も遺体となって発見されたからだ。しかし、今回の遺体には亡くなられた参加者のオデット・コスとは決定的な違いが見られた。
それは……ウンガー氏には人狼と思われる捕食痕が無いことであった。その事に引っかかっていたミシェルは集められた人々の元へと戻る前にこんな事を3人に提案した。
「良いですか?皆さん、ウンガーさんもオデット氏と同じように狼に捕食された……ということにしてください。理由は言わなくても分かりますね?」
3人は頷く。
「よろしい。ではこの事は私達4人だけの秘密……ということで。ウンガーさんの死に関わっている者がこの中にいない事を私は願っております」
執事長は片眼鏡を光らせてそう言った。
***
━━ そして、再び視点は聖職者2人の元へと帰る……。
ミシェルらが戻ってきてから私達は互いに疑心暗鬼となっていた。一晩に2人も狼に捕食されたんだ無理も無い。
互いに互いのアリバイを聞くがこれもまぁ、意味も無い事だろう。狼が複数この中にいるならば互いに口裏を合わせるからだ。ましてや、グランヴィル家の使用人の中に狼がいるとすればアリバイを崩すことは容易では無い筈だ。
「お、おい。そこの金髪野郎」
「あん、なんだ?てめぇ、」
「お、お前ダロォ!?ウンガー殺したの。オデットの方は知らんが、お前が一番怪しいんだよ。そこのいつまでもそいつと腕組んでる女もだ!お、俺は覚えてるぞ。確かお前ら、赤装束の女の子にダル絡みしていたウンガーと揉めてたよな?女の方はミュージカル女優だがなんだが知らないがお前らがやったんじゃないのか?共犯だろ!」
「はぁ?何言ってんだ?てめぇ。ってか、メルエムに住んでてアイリスのこと知らないとかマジかよ、ウケるんですけどぉ!?え、もしかして貧民!?舞台観に行く金すら無い貧民!?」
勝手に犯人と決め付けられたことが余程、癪に触ったのかローキスは顔を真っ赤にして煽り始める。隣のアイリスも「そもそも、私達はベッドで愛し合っていたのよ?これ以上のアリバイがあるかしら?」と謎のマウントを取り始める。
「そうだよ、アイリスの言う通りだ。一緒に寝る相手がいなさそうなお前には分からないだろうが、俺たちは本気で愛し合ってんだ。再来月には挙式もする予定なんだぞ?こんな所でこんな馬鹿みたいな事をするメリットあるか?普通?確かに揉めたが俺はアイツのことがただ嫌いってだけで別に恨んでも憎んでもねーよ。殺す訳ないだろ?馬鹿か!あと俺らは人狼じゃなくて人間だしな!?」
そう反論するとローキスは自分を疑って来た男を突き飛ばした。突き飛ばされた男はある男にぶつかり倒れる。
あれは確か、私を遊びに誘って来たフロー?とか傷目の男に呼ばれていた奴か。
今日だけで色んな人と話したから誰だが……頭ごっちゃになりそうだ。
私は倒れた2人の様子を伺っていると、人間の薄情さがよく分かった。誰も彼らに寄ろうとはしない。心配の声をかけない。その癖、現状最も疑われているローキスに罵詈雑言を浴びせているではないか。
愚かなものだ。こんな状況で。
私は彼ら2人の元へと向かう。
「せ、先輩っ!?」
レーネの言葉を気にもせず、私は彼らの近くへと来ると手を貸した。
一人はすぐに立ち上がっていたがフローの方が後ろ尻餅を着いたままだったのだ。
「ほら、大丈夫か?フロー?」
彼は私の手を取り、立ち上がると「ありがとう……君は確か、サテラ……だったよね?ビリヤード凄く上手かったよ。君は本当に優しい人間だ。人は見掛けに寄らないんだな」と答える。後半は一言、余計な気がしたがまぁ、良いだろう。私の懐のデカさに免じて許してやる。
レーネらの元へと戻ると美容師が私にこう言った。
「アンタって偽善者だよな。別にアタシはそういうの嫌いじゃないけど」
嫌味のつもりだろうけど私は特に気にした様子を彼女に見せず「人間なんて殆どがエゴイストでしょ?」と返した。
それから私達は2時になるまでパーティー解散後、部屋で何をしていたかを聞かれた。
現状、アリバイがほぼ確定しているのは屋敷の使用人含めグランヴィル家だけだった為、オーエンの指示の元、私達は事情聴取を受けたのだ。
まぁ、最もここで確定しているのは最初に発見されたオデット氏に関してのアリバイだが。ウンガー氏に関しては死亡推定時刻の間があまりにも広過ぎる為、一時保留となったのだ。
私はミシェルに途中までだがレーネとシェリのアリバイの保証をしておいた。そして、シェイリも同じようにしてくれた。レーネは寝てた為、覚えてないが私が遊戯室に向かう為、部屋を出るまでのアリバイは保証されている為、グレー扱いだ。そして、遊戯室に居たメンバーも互いにアリバイを証明しており、私はどうやらこの参加者の中でかなり潔白に近い位置にいる事が分かった。
同じく“自称”名探偵のポルア・リキュールケルスもオーエンや彼専属のお世話係3名(女性)、加えて数人の執事&メイドの証言により私と同等程度の白という事が証明される。
それ以外の参加者は夜は大人しく部屋にいたり。寝ていた者、お茶を飲んでいた者。お湯を執事に頼み、持ってこさせ寝る前にお風呂に入っていた者だとアリバイが不確かな者が多数いた。
中でも特に怪しいとされているのは意外にもハクビャクイン レンヤであった。
彼はパーティー終了後、話があるとオーエン当主直々に呼び出されていたらしいが「今夜は疲れたから、明日にしてくれ。済まない」と断り、執事にこの部屋に来るよう呼び出されるまで部屋に一人きりでいたらしい。彼には他の者のように連れや知人がいなかったのだ。唯一、交流があったのはオーエンだったらしいが彼は意図せず、自らのアリバイを証明してくれる存在を排除してしまっていた。
(ハクビャクインがアリバイが無いのは状況として危ういが彼が狼とも、人殺しとも思えない。そもそもの話、これは本当に奴らの犯行なのか?近頃じゃ、狼の仕業に見せかけて人を殺す輩だっているんだ。この段階で人狼がいる……と考えるのは時期尚早な気がしてならない。これこそ犯人の狙いなのではないだろうか?)
一人そんなことを考えていると、私はふとある視線が気になった。
気になる方へと目を向けると彼女が私を見ていた。
「っ……」
声が漏れてしまう。
奴は今夜面白いモノが見えると言った。やはりお前の仕業なのか?しかし、お前にしては気持ちが悪い程、らしくない。人をこんな風に殺すなんて……有り得ない。何故ならば……お前は。
「もぉ~嫌だ!私ったら帰りますよ!こんな所。こんな人喰い狼がいるかもしれない場所で寝てられますか!あ~やだやだ」
太っちょのおばさんがそう言い出したのだ。彼女の事を私は覚えている。正直、ここに来た時は太っている事ぐらいしか印象に残らなかった女だが、バースデーケーキが来て切り分けられ、配られ始めた時に彼女は色んな人にこう声をかけていた。
「このケーキ、うちが作ったのよ?私と私のお母さんとお父さんの3人で!!うちはケーキ屋さんなの!グランヴィル家はうちのお得意様でね!」と。オーエンも彼女と笑いながら「彼女の店にはいつもお世話になっているよ。ケーキが凄く大きくて程よい甘さで好きなんだ」と語っていた。間違いない。
遠目に彼女のことを見ていると「やめるんだタスミネ。みっともない。皆、見ているじゃないか?」と彼女の腕を掴んだ。
「うるさいのうるさいの、テクラは黙っててよ!私は帰るったら帰るの……」
(なるほど、そこもカップルか。しかし、男の方の趣味はあまり良いとは言えんな……)
タスミネと呼ばれたおデブさんさ腕腰をブンブンと振りながら駄々をこねる。その様子を見るなり、多くの者が口々に「そうだそうだ。霧の中で迷ったって、ここに至って安全という保証はどこにもないんだ」、「俺は帰る、帰るぞ!まだ死にたくないんだ」と一斉に言い始める。
パニックに陥るリビング。そこで1つの大きな音が、鳴り響く。
「パァン」
乾いた音だった。気付けばミシェルが猟銃を持っていた。発砲をしたのだ。だが誰かが撃たれた様子も無い。天井に向けられた銃口からは白煙が立っていた。
意外にもその音で悲鳴を上げた者はいなかった。代わりに殆どのは人が固まり、制止していた。
ミシェルは静かになったことを確認するとこう告げる。
「申し訳ございませんが皆さんをここから帰す訳に行きませぬ。人狼と思しき存在に2名ものと尊い命が奪われたのです。この中に人狼が潜んでいるのは最早明白。火を見るより明らかです。故に皆さんにはこの屋敷に暫し、滞在してもらいます。ただいまうちの使用人が教会の方に電話をかけておりますので、彼らが到着するまでどうか……どうかお待ちください」
彼が一区切りを付けるとローキスが「空……撃ち?」と情けない声で言った。だが周囲の者は特に反応を示さない。ミシェルは再び、話を続ける。
「それと、今、多くの者が屋敷の外へ出ようとしましたがそれは無理です。御覧なさい窓の向こうを。そこは雪原のような景色が広がっております。仮に外へ出られだからといってそこが安全だとは言えませぬ。この森山には当然、泉や沼。崖も幾つか存在します。霧で道は湿っており、馬車を走らせてもそのまま滑り落ち、転落死をするなんてことも有り得るかもしれませぬ」
「そ、それでも俺は帰るんだ。こんな危険な所へいられるか?」
一人の男がそう食いつく。
「そうですか……それはあまり賢い判断とは思えませんね」
「なんだと?」
「この屋敷に残っている方が安全と申しておるのです。外は視界が悪いだけでは無く、気温も低い。夜行性の害獣やそれこそ人喰い熊等もいるかもしれない。まだ設備も整っており、人も多くいるこの屋敷の方が安全だと申しておるのです」
「で、でも……」
心配性な彼に対してミシェルはこんな提案をした。
***
で、私達が部屋に戻って来たのは2時45分頃だった。
ミシェルのした提案。それは使用人達による屋敷内の巡回だ。基本的にいつも1~3人でしか巡回しないらしい深夜の巡回を今日は10人体制のローテーションでしてくれるらしい。
また、アリバイが最も黒かった(怪しかった)者達を優先に監視の意味も兼ねて、保護する事となった。
本当はアリバイが怪しかった者だけをリビングに集めたかったらしいが、あのヒモ男とミュージカル女優が2人だけの空間を誰にも見られたくない、邪魔されたくないと猛反対した為、却下となった。
逆にアリバイがほぼほぼ確定している者達を1階のリビングへ収容するという案もあったが殆どの者がプライベート空間を邪魔されたくないと抗議した為、こちらも反対多数で却下となった訳だ。
それで私は自分の部屋にレーネといる訳だが……。
「しかし、だな。シェイリはまぁ分かる。一人だと心許ないし、怖いから私達を頼ってくれていると思うからな。それでなんでお前も私達の部屋にいるんだ?美容師」
私はベッドを我が物顔で座る彼女に尋ねる。
「え、だってアタシ、か弱い女だし?独り身だし?怖いじゃん?男に何人か守ってあげるよって声掛けらたけど下心見え見えだし?」
(か弱い女か……よく言うよ)
私は彼女が遊戯室で傷目の男やガタイの良い男にビビること無く接していた事や、先程、彼女を部屋に誘っていた男共の金的を容赦無く蹴り飛ばしていたことを思い出した。
「ん~まぁいい。今晩だけだからな?」
「え~ケチ!同じ女でしょ?明日も寝かせてよ。いつ帰れるか分からないんだし、それに怖いよ~。ってか女子会しない?女子会?なんか目が冴えちゃってるんだよね~?サテラ達もぶっちゃけ寝れないっしょ?」
なんというか美容師はオーエンと何処か匂いが似ている気がする。こういう妙に馴れ馴れしくてハイテンションな所とか。まぁ、良い。彼女は今回の2件に関わってないことはほぼ確定しているし、人狼とと思えない。シェイリもそうだ。この2人は何処か癖が強い所があるが、私は嫌いじゃないし、現状ではかなり信頼出来る人間だ。
「分かった。許可してやる。だから名前だけでもいいから教えろ。別に個人情報を聞き出すつもり無い。それが嫌ならせめて部屋の番号だけでも教えてくれ。寝るなら自分の枕だけでも持って来て欲しいからな。不安なら部屋の前まで着いていくぞ。シェイリさんもな」
「ホントですか!?それは助かります」
シェイリさんは喜んでいるようだ。
美容師はと言うと「うーーーん」と長めの唸り声を上げると「分かった。じゃあ着いてきて」と言った。
私達は彼女ら2人の部屋まで着いていくと自室に戻ってきた。
シェイリは枕だけじゃなく何やら御守りの様な物も持ってきていた。村を出て行く時に村長から渡された物らしい。私にはただの変哲な石にしか見えなかったが、黙っておいた。美容師は枕と寝る前の一杯と言い、酒瓶を一本携えた。一体何処が、一杯なのだろうか?
部屋に入るなり私は美容師にこう言う。
「まさかお前の部屋が407だったとはな。妙な偶然だ」
「ホントそれ。アタシも驚いたよ」
「私と同じ階とは思いませんでした!」
「あぁ、何卒よろしくな?シェイリ」
どうやら二人の間に妙な友情(?)が芽生えたらしい。
「結局、美容師さん名前教えてくれませんでしたね」
「あぁ」
私達はベッドに入りながら話をしている。既に暖炉の火は消えている。私が先程、火消しをしたからだ。一斉に皆がリビングに呼び出された時は暖炉の火を心配する暇も無かったがボヤになる様なことはなくて良かった。この屋敷の暖炉は上手いこと調整されているのだろうか?
私には詳しいことは分からなかった。
にしても狭い、想定されていた人数は2、3人程だろうがあの美容師が大の字になって寝ているから私とレーネが文字通り肩身の狭い思いをしている。今すぐにでも蹴っ飛ばしてやりたい。というか、美容師はなんなんだ?馴れ馴れしく人の部屋で寝ると言い出しては枕だけでなく酒まで持って来てその癖、一人お酒を独占すると思いきや、今度は馬鹿デカい鼾をかきやがる。お前はレーネか!
「まぁ、名前はいずれ教えてくれるでしょうが美容師さん、にしても鼾が酷いですね」
「お前が言うな」と言ってやりたかったが私は「あぁ、そうだな」と答えた。本当に2人には見習って貰いたいシェイリを。彼女は寝息一つ立てず静かに寝ている。本当に見習って欲しい。
「そういえば先輩、寝なくていいんですか?私は先程寝たからなかなか寝付けないんですけど……先輩は一睡もしてないじゃないですか?」
彼女が私を心配するように私も色々と心配事や考え事が多過ぎて頭の整理が追い付けないでいた。
「あぁ、大丈夫だ。すぐに寝る。お前は気にするな」
ポケットに入ってる懐中時計を取り出すと刻は4時である事を示していた。
「そうですけど……何やら考え事をしている様に見えたので……。やっぱりローキスさん達やハクビャクインさんの事ですか?」
「まぁな」
こいつには全てお見通しらしい。
「容疑者から外れていた保安官(風)の男とガタイの良い男がそれぞれ部屋の監視に着いたから良いが、果たして彼らで良かったのだろうか?と思ってな。シェイリは空気を呼んで黙っていてくれたが、やはりここは聖職者である私とお前が名乗り出て2組の監視に入るべきだと思ってな。まぁ、今更もう遅いが……」
現状、この2組が怪しまれている。続いてそれぞれの遺体を発見した執事やメイドらは一応、アリバイは取れているが完全な者では無いと判断され、使用人達は身の潔白が証明された使用人らに監視されている。
ちなみにパーティー途中に騒ぎを起こし、保安官とガタイの良い男にノックアウトされた2人は意識が戻るまで自室で寝ていた事が運んだ執事らによって証明され、容疑者からには一応、外れているが……周囲からの信用はそこまで無く、私や探偵程頼られている様子は無かった。
「今夜は誰も犠牲になってないといいな」
「ですね、先輩」
流石に頭の限界だと感じた私は寝る事をレーネに告げると彼女も私もそうしますと言い、眠りに就く事とした。
何かあった時の為にとベッドの置きスペースにあるライトスタンドは明かりを消さないでおくことにした。
最も、多くの者は何も起きない事を願っていると思うが。
「リカさん、貴女は女性だ。無理に二度も人の死体を見なくてもいい」
彼女へ気に掛けるミシェル。だがリカは「だ、大丈夫です……そ、それにもしかしたらまだ生きてる可能性もあるので」と答える。
「ふむ、そうですか。ちなみに部屋には誰が残ってますか?」
執事長の問いに新人執事のヘイデンは「はい!モールスが見てます!彼なら信頼出来るかと思いまして」と答えた。それに対し、執事長は「ふむ、彼なら安心ですな」とだけ答えた。
3人はウンガー氏の宿泊部屋の202号室に着く。だが、そこで彼の遺体を見張っていたモールスは酷く、青ざめた様子でミシェルの元へと歩み寄った。
「執事長……ウンガーさんはもう、」
俯くモールスはその先を何も言わず、ただ首を横に振った。
「脈は?」
「い、一応測りましたが……」
彼の暗い表情を見るなりミシェルは「そうですか」と悟り、3人にこう告げる。
「もう一度、私がウンガーさんを見てきます。3人はこのまま部屋には入らないで外へ」
残りの3人は執事長の言う通り、部屋の外で待機していた。
そして、再び部屋が開かれると中から出て来たミシェルは「残念ながら……手遅れでした。ウンガーさんは亡くなられております」と告げた。
その事実に言葉が出ない3人、それもその筈だ、一度に2名も遺体となって発見されたからだ。しかし、今回の遺体には亡くなられた参加者のオデット・コスとは決定的な違いが見られた。
それは……ウンガー氏には人狼と思われる捕食痕が無いことであった。その事に引っかかっていたミシェルは集められた人々の元へと戻る前にこんな事を3人に提案した。
「良いですか?皆さん、ウンガーさんもオデット氏と同じように狼に捕食された……ということにしてください。理由は言わなくても分かりますね?」
3人は頷く。
「よろしい。ではこの事は私達4人だけの秘密……ということで。ウンガーさんの死に関わっている者がこの中にいない事を私は願っております」
執事長は片眼鏡を光らせてそう言った。
***
━━ そして、再び視点は聖職者2人の元へと帰る……。
ミシェルらが戻ってきてから私達は互いに疑心暗鬼となっていた。一晩に2人も狼に捕食されたんだ無理も無い。
互いに互いのアリバイを聞くがこれもまぁ、意味も無い事だろう。狼が複数この中にいるならば互いに口裏を合わせるからだ。ましてや、グランヴィル家の使用人の中に狼がいるとすればアリバイを崩すことは容易では無い筈だ。
「お、おい。そこの金髪野郎」
「あん、なんだ?てめぇ、」
「お、お前ダロォ!?ウンガー殺したの。オデットの方は知らんが、お前が一番怪しいんだよ。そこのいつまでもそいつと腕組んでる女もだ!お、俺は覚えてるぞ。確かお前ら、赤装束の女の子にダル絡みしていたウンガーと揉めてたよな?女の方はミュージカル女優だがなんだが知らないがお前らがやったんじゃないのか?共犯だろ!」
「はぁ?何言ってんだ?てめぇ。ってか、メルエムに住んでてアイリスのこと知らないとかマジかよ、ウケるんですけどぉ!?え、もしかして貧民!?舞台観に行く金すら無い貧民!?」
勝手に犯人と決め付けられたことが余程、癪に触ったのかローキスは顔を真っ赤にして煽り始める。隣のアイリスも「そもそも、私達はベッドで愛し合っていたのよ?これ以上のアリバイがあるかしら?」と謎のマウントを取り始める。
「そうだよ、アイリスの言う通りだ。一緒に寝る相手がいなさそうなお前には分からないだろうが、俺たちは本気で愛し合ってんだ。再来月には挙式もする予定なんだぞ?こんな所でこんな馬鹿みたいな事をするメリットあるか?普通?確かに揉めたが俺はアイツのことがただ嫌いってだけで別に恨んでも憎んでもねーよ。殺す訳ないだろ?馬鹿か!あと俺らは人狼じゃなくて人間だしな!?」
そう反論するとローキスは自分を疑って来た男を突き飛ばした。突き飛ばされた男はある男にぶつかり倒れる。
あれは確か、私を遊びに誘って来たフロー?とか傷目の男に呼ばれていた奴か。
今日だけで色んな人と話したから誰だが……頭ごっちゃになりそうだ。
私は倒れた2人の様子を伺っていると、人間の薄情さがよく分かった。誰も彼らに寄ろうとはしない。心配の声をかけない。その癖、現状最も疑われているローキスに罵詈雑言を浴びせているではないか。
愚かなものだ。こんな状況で。
私は彼ら2人の元へと向かう。
「せ、先輩っ!?」
レーネの言葉を気にもせず、私は彼らの近くへと来ると手を貸した。
一人はすぐに立ち上がっていたがフローの方が後ろ尻餅を着いたままだったのだ。
「ほら、大丈夫か?フロー?」
彼は私の手を取り、立ち上がると「ありがとう……君は確か、サテラ……だったよね?ビリヤード凄く上手かったよ。君は本当に優しい人間だ。人は見掛けに寄らないんだな」と答える。後半は一言、余計な気がしたがまぁ、良いだろう。私の懐のデカさに免じて許してやる。
レーネらの元へと戻ると美容師が私にこう言った。
「アンタって偽善者だよな。別にアタシはそういうの嫌いじゃないけど」
嫌味のつもりだろうけど私は特に気にした様子を彼女に見せず「人間なんて殆どがエゴイストでしょ?」と返した。
それから私達は2時になるまでパーティー解散後、部屋で何をしていたかを聞かれた。
現状、アリバイがほぼ確定しているのは屋敷の使用人含めグランヴィル家だけだった為、オーエンの指示の元、私達は事情聴取を受けたのだ。
まぁ、最もここで確定しているのは最初に発見されたオデット氏に関してのアリバイだが。ウンガー氏に関しては死亡推定時刻の間があまりにも広過ぎる為、一時保留となったのだ。
私はミシェルに途中までだがレーネとシェリのアリバイの保証をしておいた。そして、シェイリも同じようにしてくれた。レーネは寝てた為、覚えてないが私が遊戯室に向かう為、部屋を出るまでのアリバイは保証されている為、グレー扱いだ。そして、遊戯室に居たメンバーも互いにアリバイを証明しており、私はどうやらこの参加者の中でかなり潔白に近い位置にいる事が分かった。
同じく“自称”名探偵のポルア・リキュールケルスもオーエンや彼専属のお世話係3名(女性)、加えて数人の執事&メイドの証言により私と同等程度の白という事が証明される。
それ以外の参加者は夜は大人しく部屋にいたり。寝ていた者、お茶を飲んでいた者。お湯を執事に頼み、持ってこさせ寝る前にお風呂に入っていた者だとアリバイが不確かな者が多数いた。
中でも特に怪しいとされているのは意外にもハクビャクイン レンヤであった。
彼はパーティー終了後、話があるとオーエン当主直々に呼び出されていたらしいが「今夜は疲れたから、明日にしてくれ。済まない」と断り、執事にこの部屋に来るよう呼び出されるまで部屋に一人きりでいたらしい。彼には他の者のように連れや知人がいなかったのだ。唯一、交流があったのはオーエンだったらしいが彼は意図せず、自らのアリバイを証明してくれる存在を排除してしまっていた。
(ハクビャクインがアリバイが無いのは状況として危ういが彼が狼とも、人殺しとも思えない。そもそもの話、これは本当に奴らの犯行なのか?近頃じゃ、狼の仕業に見せかけて人を殺す輩だっているんだ。この段階で人狼がいる……と考えるのは時期尚早な気がしてならない。これこそ犯人の狙いなのではないだろうか?)
一人そんなことを考えていると、私はふとある視線が気になった。
気になる方へと目を向けると彼女が私を見ていた。
「っ……」
声が漏れてしまう。
奴は今夜面白いモノが見えると言った。やはりお前の仕業なのか?しかし、お前にしては気持ちが悪い程、らしくない。人をこんな風に殺すなんて……有り得ない。何故ならば……お前は。
「もぉ~嫌だ!私ったら帰りますよ!こんな所。こんな人喰い狼がいるかもしれない場所で寝てられますか!あ~やだやだ」
太っちょのおばさんがそう言い出したのだ。彼女の事を私は覚えている。正直、ここに来た時は太っている事ぐらいしか印象に残らなかった女だが、バースデーケーキが来て切り分けられ、配られ始めた時に彼女は色んな人にこう声をかけていた。
「このケーキ、うちが作ったのよ?私と私のお母さんとお父さんの3人で!!うちはケーキ屋さんなの!グランヴィル家はうちのお得意様でね!」と。オーエンも彼女と笑いながら「彼女の店にはいつもお世話になっているよ。ケーキが凄く大きくて程よい甘さで好きなんだ」と語っていた。間違いない。
遠目に彼女のことを見ていると「やめるんだタスミネ。みっともない。皆、見ているじゃないか?」と彼女の腕を掴んだ。
「うるさいのうるさいの、テクラは黙っててよ!私は帰るったら帰るの……」
(なるほど、そこもカップルか。しかし、男の方の趣味はあまり良いとは言えんな……)
タスミネと呼ばれたおデブさんさ腕腰をブンブンと振りながら駄々をこねる。その様子を見るなり、多くの者が口々に「そうだそうだ。霧の中で迷ったって、ここに至って安全という保証はどこにもないんだ」、「俺は帰る、帰るぞ!まだ死にたくないんだ」と一斉に言い始める。
パニックに陥るリビング。そこで1つの大きな音が、鳴り響く。
「パァン」
乾いた音だった。気付けばミシェルが猟銃を持っていた。発砲をしたのだ。だが誰かが撃たれた様子も無い。天井に向けられた銃口からは白煙が立っていた。
意外にもその音で悲鳴を上げた者はいなかった。代わりに殆どのは人が固まり、制止していた。
ミシェルは静かになったことを確認するとこう告げる。
「申し訳ございませんが皆さんをここから帰す訳に行きませぬ。人狼と思しき存在に2名ものと尊い命が奪われたのです。この中に人狼が潜んでいるのは最早明白。火を見るより明らかです。故に皆さんにはこの屋敷に暫し、滞在してもらいます。ただいまうちの使用人が教会の方に電話をかけておりますので、彼らが到着するまでどうか……どうかお待ちください」
彼が一区切りを付けるとローキスが「空……撃ち?」と情けない声で言った。だが周囲の者は特に反応を示さない。ミシェルは再び、話を続ける。
「それと、今、多くの者が屋敷の外へ出ようとしましたがそれは無理です。御覧なさい窓の向こうを。そこは雪原のような景色が広がっております。仮に外へ出られだからといってそこが安全だとは言えませぬ。この森山には当然、泉や沼。崖も幾つか存在します。霧で道は湿っており、馬車を走らせてもそのまま滑り落ち、転落死をするなんてことも有り得るかもしれませぬ」
「そ、それでも俺は帰るんだ。こんな危険な所へいられるか?」
一人の男がそう食いつく。
「そうですか……それはあまり賢い判断とは思えませんね」
「なんだと?」
「この屋敷に残っている方が安全と申しておるのです。外は視界が悪いだけでは無く、気温も低い。夜行性の害獣やそれこそ人喰い熊等もいるかもしれない。まだ設備も整っており、人も多くいるこの屋敷の方が安全だと申しておるのです」
「で、でも……」
心配性な彼に対してミシェルはこんな提案をした。
***
で、私達が部屋に戻って来たのは2時45分頃だった。
ミシェルのした提案。それは使用人達による屋敷内の巡回だ。基本的にいつも1~3人でしか巡回しないらしい深夜の巡回を今日は10人体制のローテーションでしてくれるらしい。
また、アリバイが最も黒かった(怪しかった)者達を優先に監視の意味も兼ねて、保護する事となった。
本当はアリバイが怪しかった者だけをリビングに集めたかったらしいが、あのヒモ男とミュージカル女優が2人だけの空間を誰にも見られたくない、邪魔されたくないと猛反対した為、却下となった。
逆にアリバイがほぼほぼ確定している者達を1階のリビングへ収容するという案もあったが殆どの者がプライベート空間を邪魔されたくないと抗議した為、こちらも反対多数で却下となった訳だ。
それで私は自分の部屋にレーネといる訳だが……。
「しかし、だな。シェイリはまぁ分かる。一人だと心許ないし、怖いから私達を頼ってくれていると思うからな。それでなんでお前も私達の部屋にいるんだ?美容師」
私はベッドを我が物顔で座る彼女に尋ねる。
「え、だってアタシ、か弱い女だし?独り身だし?怖いじゃん?男に何人か守ってあげるよって声掛けらたけど下心見え見えだし?」
(か弱い女か……よく言うよ)
私は彼女が遊戯室で傷目の男やガタイの良い男にビビること無く接していた事や、先程、彼女を部屋に誘っていた男共の金的を容赦無く蹴り飛ばしていたことを思い出した。
「ん~まぁいい。今晩だけだからな?」
「え~ケチ!同じ女でしょ?明日も寝かせてよ。いつ帰れるか分からないんだし、それに怖いよ~。ってか女子会しない?女子会?なんか目が冴えちゃってるんだよね~?サテラ達もぶっちゃけ寝れないっしょ?」
なんというか美容師はオーエンと何処か匂いが似ている気がする。こういう妙に馴れ馴れしくてハイテンションな所とか。まぁ、良い。彼女は今回の2件に関わってないことはほぼ確定しているし、人狼とと思えない。シェイリもそうだ。この2人は何処か癖が強い所があるが、私は嫌いじゃないし、現状ではかなり信頼出来る人間だ。
「分かった。許可してやる。だから名前だけでもいいから教えろ。別に個人情報を聞き出すつもり無い。それが嫌ならせめて部屋の番号だけでも教えてくれ。寝るなら自分の枕だけでも持って来て欲しいからな。不安なら部屋の前まで着いていくぞ。シェイリさんもな」
「ホントですか!?それは助かります」
シェイリさんは喜んでいるようだ。
美容師はと言うと「うーーーん」と長めの唸り声を上げると「分かった。じゃあ着いてきて」と言った。
私達は彼女ら2人の部屋まで着いていくと自室に戻ってきた。
シェイリは枕だけじゃなく何やら御守りの様な物も持ってきていた。村を出て行く時に村長から渡された物らしい。私にはただの変哲な石にしか見えなかったが、黙っておいた。美容師は枕と寝る前の一杯と言い、酒瓶を一本携えた。一体何処が、一杯なのだろうか?
部屋に入るなり私は美容師にこう言う。
「まさかお前の部屋が407だったとはな。妙な偶然だ」
「ホントそれ。アタシも驚いたよ」
「私と同じ階とは思いませんでした!」
「あぁ、何卒よろしくな?シェイリ」
どうやら二人の間に妙な友情(?)が芽生えたらしい。
「結局、美容師さん名前教えてくれませんでしたね」
「あぁ」
私達はベッドに入りながら話をしている。既に暖炉の火は消えている。私が先程、火消しをしたからだ。一斉に皆がリビングに呼び出された時は暖炉の火を心配する暇も無かったがボヤになる様なことはなくて良かった。この屋敷の暖炉は上手いこと調整されているのだろうか?
私には詳しいことは分からなかった。
にしても狭い、想定されていた人数は2、3人程だろうがあの美容師が大の字になって寝ているから私とレーネが文字通り肩身の狭い思いをしている。今すぐにでも蹴っ飛ばしてやりたい。というか、美容師はなんなんだ?馴れ馴れしく人の部屋で寝ると言い出しては枕だけでなく酒まで持って来てその癖、一人お酒を独占すると思いきや、今度は馬鹿デカい鼾をかきやがる。お前はレーネか!
「まぁ、名前はいずれ教えてくれるでしょうが美容師さん、にしても鼾が酷いですね」
「お前が言うな」と言ってやりたかったが私は「あぁ、そうだな」と答えた。本当に2人には見習って貰いたいシェイリを。彼女は寝息一つ立てず静かに寝ている。本当に見習って欲しい。
「そういえば先輩、寝なくていいんですか?私は先程寝たからなかなか寝付けないんですけど……先輩は一睡もしてないじゃないですか?」
彼女が私を心配するように私も色々と心配事や考え事が多過ぎて頭の整理が追い付けないでいた。
「あぁ、大丈夫だ。すぐに寝る。お前は気にするな」
ポケットに入ってる懐中時計を取り出すと刻は4時である事を示していた。
「そうですけど……何やら考え事をしている様に見えたので……。やっぱりローキスさん達やハクビャクインさんの事ですか?」
「まぁな」
こいつには全てお見通しらしい。
「容疑者から外れていた保安官(風)の男とガタイの良い男がそれぞれ部屋の監視に着いたから良いが、果たして彼らで良かったのだろうか?と思ってな。シェイリは空気を呼んで黙っていてくれたが、やはりここは聖職者である私とお前が名乗り出て2組の監視に入るべきだと思ってな。まぁ、今更もう遅いが……」
現状、この2組が怪しまれている。続いてそれぞれの遺体を発見した執事やメイドらは一応、アリバイは取れているが完全な者では無いと判断され、使用人達は身の潔白が証明された使用人らに監視されている。
ちなみにパーティー途中に騒ぎを起こし、保安官とガタイの良い男にノックアウトされた2人は意識が戻るまで自室で寝ていた事が運んだ執事らによって証明され、容疑者からには一応、外れているが……周囲からの信用はそこまで無く、私や探偵程頼られている様子は無かった。
「今夜は誰も犠牲になってないといいな」
「ですね、先輩」
流石に頭の限界だと感じた私は寝る事をレーネに告げると彼女も私もそうしますと言い、眠りに就く事とした。
何かあった時の為にとベッドの置きスペースにあるライトスタンドは明かりを消さないでおくことにした。
最も、多くの者は何も起きない事を願っていると思うが。
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