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-第37夜- そして恐怖の夜が幕を開ける
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時を少し遡り、3時過ぎ。再度集められた参加者らが解散してからある程度経ってからの頃だった。
オーエンと探偵は踊り子の踊りを見ながらこんな話をしていた。
「まさか、人狼が殺人を起こすなんてな。想像もしてなかったよ」
「言ったでしょう?私のいる所、必ず事件は起こる、と」
互いにテーブルの上に置いてあるスナック菓子をツマミ、一口酒で流し込むとまた一つツマミを手に取った。
「所でポルア。奴の目星はついているんだろうな?」
オーエンは覗き込むように尋ねる。
「済まない、まだ見当がついていないんだオーエン」
探偵はツマミをまた取ろうとする。するとオーエンはその手を止めた。
「た・べ・す・ぎ・だ。ポアロしっかりしろ、想定外の事態で驚いているのも無理も無い。だが、運良くこの屋敷内には保安官と王国騎士団の分隊長がいる。彼らにだけでも本当の事を話し、味方になってもらおう」
探偵は当主の提案に「うーん」と悩むような態度を取ると「騎士団の方はともかく、保安官の方は他国のだろ?たまたまこの屋敷を訪れただけなら、話す必要は無いでしょ?あの瞳の色の感じからして彼は恐らく、北欧人だ。私はあっちの方の国の人は信じていなくてね」と返す。
するとこのタイミングで踊を終えた踊り子の女性が彼らの席へと戻ってきた。
「どぉ?どうだった?良かったでしょ?私のダンス」
自信満々にそう訊く彼女に対し2人は「良かった」と答える。「お前らも良かったよな?」とオーエンはお世話係3人にも尋ねるが彼女らも「えぇ良かったです」とだけ答える。
「ホントに!?それなら良かったよ!結構、練習したんだよね?私どう?上手いでしょ?あのケーキ屋のおばさんより腰使い上手いしね!私にも扇いでよ!お世話係の人!」
そう陽気に答える彼女。しかし、次の瞬間踊り子は「ちっ」と舌打ちをし「話に夢中でちゃんと見てなかった癖に」と微かな声で呟いたのだった。探偵はその一言を聞き逃さなかった。
同時刻、場面は代わり、ある2人の部屋。
「お姉様……私は一体、どうすれば?」
「大丈夫です。ミカエラ。私と神を信じなさい。私達は必ず生き残ります、この暗い夜を。太陽神 イムルナ様を信じましょう。さぁ、お祈りを」
「えぇ、お姉様」
修道女の様な格好をしている2人は月も見えない霞んだ空に窓から祈りを捧げた。
***
暗く長い廊下を一人同等と歩く女性在りけり。其の者、すれ違う者に声を掛けられるも何やら不思議な幻術を使い、邪魔者を傷付ける事無く遠避ける。
其の者、目の前からある存在に声を掛け、微笑む。
「へぇ、面白いことやってんじゃん?人狼の癖に(笑)」
其の者、人の姿をしておりながら圧倒的な恐怖心を目先の者に植え付ける。
其の者、ある者に問い掛ける。
「ねぇ、良かったら私と手を組まない?断っても私の能力で無理矢理でも従わすけどね?」
其の者、ある者と共にある人物の部屋を訪れる。
「へぇ、あんた鍵持ってんだ?マスターキー?」
ある者、其の者の問いに答えず、扉を開ける。
「まぁ、どっちでもいいけど。さぁ、喰ってきな。たんとお食べ。もう一人の方の頭は私が操っとくから」
其の者、玄関の前で腕を組み不敵な笑みを浮べる。
「これから何日間は楽しい夜になりそうね。なぁんだ、私が仕掛ける必要無かったじゃん」
其の者、部屋から聞こえる咀嚼の音に歯を見せ、唇に長い爪を添える。
「今度は勝てるといいな。赤 ず き ん」
其の者、余裕有りけり。
***
時、同じくして白百院 蓮弥の部屋。
未だ素性知れない老人はベッドの上で坐禅を組み、瞑想に耽けていた。
そして、そんな彼の部屋の前を居座る男。白百院の監視を任せられた保安官だ。睡魔と戦いながらも彼は白百院が外を出ないか或いは彼の部屋を訪れようとする者がいないかオーエンの言いつけを守って監視していたのだった。
(寝みぃ……けど、朝までは寝れねぇな。あと何時間で夜が開けるんだ?2、3かぁ?)
そんなことを考えていると保安官の目の前を2人の執事が通った。
「おぅ、お疲れ。巡回か?」
寝惚け眼で保安官は2人の男に声を掛ける。すると男のうち1人が止まり、保安官に言った。
「いえ、僕らは巡回では無くある者に呼び鈴で呼ばれて」
「あ~そういうことね。んまぁ、お互いにご苦労ちゃんって事で」
保安官に労いの言葉を掛けられ2人は良い気持ちで廊下を後にした。
視点は執事2人に移り、進む。
「かったるいよなぁ~なんで俺らが」
「仕方ないよ、ミシェルさんの命令だもん」
2人はある部屋の前へと止まると「コンコン」と扉を叩いた。
「軽食とお飲み物を用意しましたよ。ハーメルンさん」
ガチャリと音を立てて扉が内側に開く。
「遅いよぉ~執事さぁんんん、もうボクお腹ペコペコ~」
猫背気味の長髪の男が狭い扉の隙間からヌッと顔を出した。
「ねぇ、所でこの屋敷って幼女いる?」
ハーメルンはニィっと気持ち悪い笑顔を浮かべた。
オーエンと探偵は踊り子の踊りを見ながらこんな話をしていた。
「まさか、人狼が殺人を起こすなんてな。想像もしてなかったよ」
「言ったでしょう?私のいる所、必ず事件は起こる、と」
互いにテーブルの上に置いてあるスナック菓子をツマミ、一口酒で流し込むとまた一つツマミを手に取った。
「所でポルア。奴の目星はついているんだろうな?」
オーエンは覗き込むように尋ねる。
「済まない、まだ見当がついていないんだオーエン」
探偵はツマミをまた取ろうとする。するとオーエンはその手を止めた。
「た・べ・す・ぎ・だ。ポアロしっかりしろ、想定外の事態で驚いているのも無理も無い。だが、運良くこの屋敷内には保安官と王国騎士団の分隊長がいる。彼らにだけでも本当の事を話し、味方になってもらおう」
探偵は当主の提案に「うーん」と悩むような態度を取ると「騎士団の方はともかく、保安官の方は他国のだろ?たまたまこの屋敷を訪れただけなら、話す必要は無いでしょ?あの瞳の色の感じからして彼は恐らく、北欧人だ。私はあっちの方の国の人は信じていなくてね」と返す。
するとこのタイミングで踊を終えた踊り子の女性が彼らの席へと戻ってきた。
「どぉ?どうだった?良かったでしょ?私のダンス」
自信満々にそう訊く彼女に対し2人は「良かった」と答える。「お前らも良かったよな?」とオーエンはお世話係3人にも尋ねるが彼女らも「えぇ良かったです」とだけ答える。
「ホントに!?それなら良かったよ!結構、練習したんだよね?私どう?上手いでしょ?あのケーキ屋のおばさんより腰使い上手いしね!私にも扇いでよ!お世話係の人!」
そう陽気に答える彼女。しかし、次の瞬間踊り子は「ちっ」と舌打ちをし「話に夢中でちゃんと見てなかった癖に」と微かな声で呟いたのだった。探偵はその一言を聞き逃さなかった。
同時刻、場面は代わり、ある2人の部屋。
「お姉様……私は一体、どうすれば?」
「大丈夫です。ミカエラ。私と神を信じなさい。私達は必ず生き残ります、この暗い夜を。太陽神 イムルナ様を信じましょう。さぁ、お祈りを」
「えぇ、お姉様」
修道女の様な格好をしている2人は月も見えない霞んだ空に窓から祈りを捧げた。
***
暗く長い廊下を一人同等と歩く女性在りけり。其の者、すれ違う者に声を掛けられるも何やら不思議な幻術を使い、邪魔者を傷付ける事無く遠避ける。
其の者、目の前からある存在に声を掛け、微笑む。
「へぇ、面白いことやってんじゃん?人狼の癖に(笑)」
其の者、人の姿をしておりながら圧倒的な恐怖心を目先の者に植え付ける。
其の者、ある者に問い掛ける。
「ねぇ、良かったら私と手を組まない?断っても私の能力で無理矢理でも従わすけどね?」
其の者、ある者と共にある人物の部屋を訪れる。
「へぇ、あんた鍵持ってんだ?マスターキー?」
ある者、其の者の問いに答えず、扉を開ける。
「まぁ、どっちでもいいけど。さぁ、喰ってきな。たんとお食べ。もう一人の方の頭は私が操っとくから」
其の者、玄関の前で腕を組み不敵な笑みを浮べる。
「これから何日間は楽しい夜になりそうね。なぁんだ、私が仕掛ける必要無かったじゃん」
其の者、部屋から聞こえる咀嚼の音に歯を見せ、唇に長い爪を添える。
「今度は勝てるといいな。赤 ず き ん」
其の者、余裕有りけり。
***
時、同じくして白百院 蓮弥の部屋。
未だ素性知れない老人はベッドの上で坐禅を組み、瞑想に耽けていた。
そして、そんな彼の部屋の前を居座る男。白百院の監視を任せられた保安官だ。睡魔と戦いながらも彼は白百院が外を出ないか或いは彼の部屋を訪れようとする者がいないかオーエンの言いつけを守って監視していたのだった。
(寝みぃ……けど、朝までは寝れねぇな。あと何時間で夜が開けるんだ?2、3かぁ?)
そんなことを考えていると保安官の目の前を2人の執事が通った。
「おぅ、お疲れ。巡回か?」
寝惚け眼で保安官は2人の男に声を掛ける。すると男のうち1人が止まり、保安官に言った。
「いえ、僕らは巡回では無くある者に呼び鈴で呼ばれて」
「あ~そういうことね。んまぁ、お互いにご苦労ちゃんって事で」
保安官に労いの言葉を掛けられ2人は良い気持ちで廊下を後にした。
視点は執事2人に移り、進む。
「かったるいよなぁ~なんで俺らが」
「仕方ないよ、ミシェルさんの命令だもん」
2人はある部屋の前へと止まると「コンコン」と扉を叩いた。
「軽食とお飲み物を用意しましたよ。ハーメルンさん」
ガチャリと音を立てて扉が内側に開く。
「遅いよぉ~執事さぁんんん、もうボクお腹ペコペコ~」
猫背気味の長髪の男が狭い扉の隙間からヌッと顔を出した。
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ハーメルンはニィっと気持ち悪い笑顔を浮かべた。
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