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第3話 暖かく光るペンダント
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「一緒にご飯、作りたかったなぁ……」
部屋に入り扉を閉めると、華奈はつぶやきました。けれども仕事ならしょうがない。と、思わずため息を一つ、ついてしまいます。
その時、昔おばあちゃんが言っていた「ため息をついたら幸せが逃げてしまうよ」という言葉を思い出しました。これ以上逃げたらいやだ。そう思った華奈は、急いで吐いた分の息を吸いました。
「よし、宿題を早く終わらせて、好きな本を読もう!」
華奈は頑張って気持ちを切り替えようと、言葉にしました。
そして宿題をやろうと、算数の教科書とノートを鞄から取り出そうとかがんだ時、スカートのポケットに何かが入っていることを思い出します。
「そういえば……」
ポケットに手を入れてそれを取り出してみると、先ほど拾ったペンダントがほんわりと光っていました。
「また光ってるし、なんだか温かい……?」
華奈はそれを左の手のひらに乗せ、よく見てみました。
紐はうす茶色で、頭から被れそうな長さ。トップの部分は華奈の手のひらにすっぽりと収まる大きさで、ガラスのようにツルツルしていて、紐と同じ色の糸で編まれた枠に、しっかりと包まれています。
「こういうの、レジンカボションにマクラメ編みっていうんだったかしら」
最近、アクセサリー作りにも興味を持ち始めていた華奈は、そのパーツや技術の名前を思い出しながらつぶやきました。
光っているのは、その透明なカボション。中には、七色の大きなビーズを中心に、ワイヤーで作られた蔦と葉っぱが伸びているようなチャームが入っています。そしてその周りには、キラキラと輝く虹色の欠片が散らばるように入っていました。
「やっぱりすごくキレイ……」
キレイなだけではなく、その光と温かさから、何か不思議な力のような物を感じた華奈は、思わずカボションを指でそっとなでました。すると──
「光が強く……! あと、どんどん熱くなってる……?」
おどろいた華奈はそれをノートの上に置き、じっと見つめます。すると光はだんだんと収まっていき、消えました。
おそるおそるもう一度カボションにふれてみます。しかし、光りは収まったまま、熱も発していませんでした。そして、その表面は、先ほどとうってかわってひんやりとしています。
なんだかそれ以上触ったらいけないような気がした華奈は、鉛筆の背でペンダントをツンツンと押して、ノートの上から下ろしました。
「びっくりした……何だったんだろう、今の……」
よくわからないけれど、とにかく宿題をやってしまおうと、算数の教科書を開いたその時、
トゥルルルルル、トゥルルルルルルルル、
と、居間の方でまたスマホが鳴りだしました。
「今度はお父さんかな……」
もしかしたら、お父さんも帰りが遅くなるのかな……。そんな、不安な気持ちを感じながら、華奈は急いで居間へ行きました。そしてスマホを手に取り画面を見ると、発信者の名前には再び【お母さん】と出ているではありませんか。
どうしたんだろうと思いながら、華奈が電話に出ると――
部屋に入り扉を閉めると、華奈はつぶやきました。けれども仕事ならしょうがない。と、思わずため息を一つ、ついてしまいます。
その時、昔おばあちゃんが言っていた「ため息をついたら幸せが逃げてしまうよ」という言葉を思い出しました。これ以上逃げたらいやだ。そう思った華奈は、急いで吐いた分の息を吸いました。
「よし、宿題を早く終わらせて、好きな本を読もう!」
華奈は頑張って気持ちを切り替えようと、言葉にしました。
そして宿題をやろうと、算数の教科書とノートを鞄から取り出そうとかがんだ時、スカートのポケットに何かが入っていることを思い出します。
「そういえば……」
ポケットに手を入れてそれを取り出してみると、先ほど拾ったペンダントがほんわりと光っていました。
「また光ってるし、なんだか温かい……?」
華奈はそれを左の手のひらに乗せ、よく見てみました。
紐はうす茶色で、頭から被れそうな長さ。トップの部分は華奈の手のひらにすっぽりと収まる大きさで、ガラスのようにツルツルしていて、紐と同じ色の糸で編まれた枠に、しっかりと包まれています。
「こういうの、レジンカボションにマクラメ編みっていうんだったかしら」
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「やっぱりすごくキレイ……」
キレイなだけではなく、その光と温かさから、何か不思議な力のような物を感じた華奈は、思わずカボションを指でそっとなでました。すると──
「光が強く……! あと、どんどん熱くなってる……?」
おどろいた華奈はそれをノートの上に置き、じっと見つめます。すると光はだんだんと収まっていき、消えました。
おそるおそるもう一度カボションにふれてみます。しかし、光りは収まったまま、熱も発していませんでした。そして、その表面は、先ほどとうってかわってひんやりとしています。
なんだかそれ以上触ったらいけないような気がした華奈は、鉛筆の背でペンダントをツンツンと押して、ノートの上から下ろしました。
「びっくりした……何だったんだろう、今の……」
よくわからないけれど、とにかく宿題をやってしまおうと、算数の教科書を開いたその時、
トゥルルルルル、トゥルルルルルルルル、
と、居間の方でまたスマホが鳴りだしました。
「今度はお父さんかな……」
もしかしたら、お父さんも帰りが遅くなるのかな……。そんな、不安な気持ちを感じながら、華奈は急いで居間へ行きました。そしてスマホを手に取り画面を見ると、発信者の名前には再び【お母さん】と出ているではありませんか。
どうしたんだろうと思いながら、華奈が電話に出ると――
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