力の欠片のペンダント

河原由虎

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第4話 突然起こった良いこと

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 『もしもしー!』

 お母さんの、うれしそうな声が聞こえてきました。

「お母さん! どうしたの?」
『あのね! 仕事のことなんだけど、期限を伸ばしてもらえたから、今から材料を買って帰るわ。
 できるだけ早く帰るから、宿題をやっておいてね!』
「……!」

 まさかの間に合うという連絡に、華奈の心は喜びで飛び跳ねました。

「わかった! 何か用意をしておくものとか、ある?」
『そうね、一番大きなお鍋に半分くらい、お湯を沸かしておいてくれると助かるわ』
「宿題が終わったらやっておくわ。気をつけて帰ってきてね!」

 お母さんの仕事場から家までは、二十分くらいかかります。お買い物にいつもと同じくらい時間がかかるなら、合わせて一時間以内には家に戻れるはず。そう考えた華奈は、急いで宿題を済ませ、タイミングを見計らって鍋にお湯を沸かし始めました。

 その時です、

「ただいま!」

 玄関の方から、少し楽しそうなお父さんの声がしました。

「おかえりなさい!」

 玄関へ向かうと、お父さんは座って靴を脱いでいるところでした。

「お父さん、早かったね!」

 こんな時、いつもならまっさきに弟たちがお父さんの背中に飛びつきます。華奈も、同じようにしたいなと思いました。
 ですが、靴を脱ぎにくそうにしているお父さんの姿を思い出し、少し離れた所できゅっと手を後ろで組んで、話しかけました。

「あぁ、今日はなんだかラッキーだったんだ」
「何がラッキーだったの?」
「仕事は順調に終わって会社を出発したんだが、珍しく電車が故障で止まってしまってな。時間がかかりそうだったから、バスでなんとか帰ろうと、途中の駅で降りたんだ」

 お父さんは靴を脱いでそろえすみに寄せると、立ちあがって華奈を見ました。

「それで、バス停に向かって歩いていたら、お向かいのおばさんと会ってな。おじさんが駅のロータリーに迎えに来ているから一緒にどうですかって言ってくれて。ここまで乗せてきてもらえたんだ」

 良いことばかりが起きているようで不思議だったけれど、華奈は素直に喜びます。

「そうなんだ、後でお向かいのおじさんとおばさんに、お礼を言わないとね!」

 その後、すぐにお母さんも帰ってきて、晩御飯の用意も進み。予定通り無事に、家族での誕生日パーティーができました。
 プレゼントは、一番にお願いしていたかわいいコスメセットと、気になっていた本です。

「コスメセットは学校につけて行かないこと。今日は早く寝ることと、本は宿題が終わってから読むこと。あとは、ご飯とか、呼ばれた時はすぐ来ること。約束してね?」

 パーティーが終わり、分厚い本を持って自分の部屋へ向かおうとした華奈に、お母さんは念を押しました。

「約束します!」

 そう元気よく答えた華奈は、今すぐ読みたい気持ちを我慢しながらも、ウキウキした気分で眠りにつきました。
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