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第5話 再び光るペンダント
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次の日、華奈はいつもと同じように、弟たちとのあわただしい朝を迎え、学校へと向かいました。違うのは、楽しかった昨日の気持ちが胸に残っていることです。
コスメセットを早く使ってみたいけれど、今日もクラブがあるので、帰りが遅くなります。せっかくつけるのに、短い時間じゃもったいないと思った華奈は、使うのは週末にしようと決めました。
今日は宿題を終わらせたら、プレゼントでもらった本を読もう。そう考えながら歩いていると、昨日ペンダントを拾った草むらの前までやってきました。
「あ……」
華奈は拾ったペンダントについて、お母さんに相談していなかったことを思い出しました。
昨日、宿題が終わった後、弟たちがさわってこわれてはいけないと思い、宿題のノート、筆箱と一緒に、ハンカチに包んだペンダントをカバンに入れました。そして、ご飯の用意やパーティーに夢中で、その事をすっかり忘れてしまっていたのです。
だから、ペンダントは今もカバンの底に入ったまま──
華奈が立ち止まって草むらの方を見た時のことです。突然、その後ろの茂みがガサガサと音を立てて動きました。
びっくりした華奈は、つないでいた幸樹の手を思わずぎゅっとにぎります。
「どうしたの? おねーちゃん」
幸樹は、突然立ち止まったのが気になったのか、聞きました。
「うぅん、なんでもないよ。行こうか」
そう言うと華奈は、幸樹の手を引いて少し先を行く京樹を追いかけました。
もしかして、元の場所に戻しておいた方が良かったかな? とも思ったけれど、時間的にもう戻ることはできません。
(帰る時に様子を見て、決めよう)
華奈は歩きながら茂みをチラリと見て、学校へと向かいました。
学校に必要のない物を持っていくのが初めてな華奈は、授業中も休み時間も、ドキドキしたまますごしました。
そしてクラブ活動も終わり、ようやく帰る時間がきました。華奈はねんのためすぐに出せるよう、ペンダントをスカートの右ポケットに入れてから下駄箱へと向かいます。
靴をはいて校舎から出ようとすると、ポツポツと雨が降り始めました。
「雨だ……」
見ると、空は厚い雲でおおわれて暗くなっています。
「朝の天気予報では、雨が降るとは言ってなかったのになぁ」
雨はどんどん増えて、あっという間に沢山、ザーザーと降ってきました。空の色からも、とてもすぐに晴れるとは思えません。
カサを持ってきていない華奈は、ぬれて帰った後のことを考えて、少し困ったような顔をしてつぶやきました。
「ぬれるの、イヤだな……」
すると、突然ポケットがじんわりと温かくなってきました。おどろいた華奈は、自分のポケットを見つめて考えます。そこには先ほど入れたペンダントしか入っていません。
「まさか──」
コスメセットを早く使ってみたいけれど、今日もクラブがあるので、帰りが遅くなります。せっかくつけるのに、短い時間じゃもったいないと思った華奈は、使うのは週末にしようと決めました。
今日は宿題を終わらせたら、プレゼントでもらった本を読もう。そう考えながら歩いていると、昨日ペンダントを拾った草むらの前までやってきました。
「あ……」
華奈は拾ったペンダントについて、お母さんに相談していなかったことを思い出しました。
昨日、宿題が終わった後、弟たちがさわってこわれてはいけないと思い、宿題のノート、筆箱と一緒に、ハンカチに包んだペンダントをカバンに入れました。そして、ご飯の用意やパーティーに夢中で、その事をすっかり忘れてしまっていたのです。
だから、ペンダントは今もカバンの底に入ったまま──
華奈が立ち止まって草むらの方を見た時のことです。突然、その後ろの茂みがガサガサと音を立てて動きました。
びっくりした華奈は、つないでいた幸樹の手を思わずぎゅっとにぎります。
「どうしたの? おねーちゃん」
幸樹は、突然立ち止まったのが気になったのか、聞きました。
「うぅん、なんでもないよ。行こうか」
そう言うと華奈は、幸樹の手を引いて少し先を行く京樹を追いかけました。
もしかして、元の場所に戻しておいた方が良かったかな? とも思ったけれど、時間的にもう戻ることはできません。
(帰る時に様子を見て、決めよう)
華奈は歩きながら茂みをチラリと見て、学校へと向かいました。
学校に必要のない物を持っていくのが初めてな華奈は、授業中も休み時間も、ドキドキしたまますごしました。
そしてクラブ活動も終わり、ようやく帰る時間がきました。華奈はねんのためすぐに出せるよう、ペンダントをスカートの右ポケットに入れてから下駄箱へと向かいます。
靴をはいて校舎から出ようとすると、ポツポツと雨が降り始めました。
「雨だ……」
見ると、空は厚い雲でおおわれて暗くなっています。
「朝の天気予報では、雨が降るとは言ってなかったのになぁ」
雨はどんどん増えて、あっという間に沢山、ザーザーと降ってきました。空の色からも、とてもすぐに晴れるとは思えません。
カサを持ってきていない華奈は、ぬれて帰った後のことを考えて、少し困ったような顔をしてつぶやきました。
「ぬれるの、イヤだな……」
すると、突然ポケットがじんわりと温かくなってきました。おどろいた華奈は、自分のポケットを見つめて考えます。そこには先ほど入れたペンダントしか入っていません。
「まさか──」
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