力の欠片のペンダント

河原由虎

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第8話 ペンダントと少年の目的

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 家に着くと、おばあちゃんにもそのように話をして、華奈はすぐに二階の自室へ行きました。

 急いで宿題の用意をして、それからポケットに入れたままの小さな少年、シオンを机の上にそっと出すと……

「何てことしてくれるんだ! 苦しかったじゃないか!」

 開口一番、少年は大きな声で叫びます。華奈はあわてて右手の人差し指を口の前で立て、小さな声で言いました。

「しーっ! 静かに。他の人に見つかったらいけないのよね?」

 その言葉に、シオンはグッと口を固く結んで華奈をにらみました。そしてしばらくすると、小さな声で言います。

「何でもいい。早く力の結晶を返してくれ。これ以上力を使われたら、元の世界に戻るどころか、俺の存在が消えてしまう……!」

 真剣な眼差しのシオンを見て、華奈はペンダントをコトリと机の上に置いて聞きました。

「これがそうなの?」
「そうだ! よかった……!」

 シオンは、自分と同じぐらいの大きさのペンダントを見るなり、抱きついて言いました。
その様子からも、表情からも、心の底からほっとしていることがわかります。

「それが貴方のものだという証明は……できる?」

 彼の言っていることがウソだとは思わないけれど……華奈は念のため聞いてみました。

「……証明……?」

 そんなこと、言われるとは思いもしなかったようで、シオンは困ったような顔をしてそうつぶやきました。そして何かを一生懸命に考えたのでしょう。しばらくすると、ちょっとぎこちなく、ゆっくりとですが、説明をはじめます。

「これと俺は、細い力の糸のような物で繋がっている……。その糸を力で見えるようにすることはできるが……」

 そこまで言うと、また口をつぐんで考えはじめました。そんなシオンの様子を見て、だんだん申し訳ない気がしてきた華奈は、両手を合わせてあやまります。

「ごめんなさい、大丈夫。信じるわ!」
「へ……?」

 シオンは目を丸くして華奈を見てつぶやきました。

「もし悪い人なら、迷わず何かをして証明しようとするでしょう?」

 華奈はシオンをまっすぐに見つめて、信じた理由を説明しました。するとシオンは目をパチクリとさせてから顔をそらし、不機嫌そうな声で言います。

「なんだよそれ……」
「ためすようなことをして、ごめんなさい」

 そう言いながら、シオンの横顔を見ると、ぷくっとふくらませたほおが見えます。もうしわけないけどかわいいなと思って、華奈はくすりと笑いました。

「ところで聞いてもいい? あなたは別の世界からきたの?」

 ペンダントのこと、願いを叶えるという不思議な力。聞きたいことがたくさんある華奈は、中でも一番気になっていた事を聞きました。

「ああ、そうだ」
「どうして?」

「俺のいた世界の規則だ。十の誕生日から一週間、別の世界で課題をこなすことになっているんだ」
「じゃあ、もしかして昨日が誕生日?」
「そうだ」
「私もよ! 私は昨日十一歳になったの。私の方が少しだけお姉さんね!」

 これまで会ったことのなかった、自分と同じ誕生日の人と出会えたうれしさから、はしゃいだ華奈がそう言いました。すると、シオンはさっきよりもっと不機嫌な顔になり、

「年上とか年下とか、そんなことは関係ないだろ! だいたい、この世界と俺の世界では時の流れる速さが違う!」

 そう言って怒り出してしまいました。この質問はいけなかったかしら。そう思った華奈は「ごめんなさい」と言いました。そして、すなおにすごいと思ったことを伝えてみます。

「十歳で、一人で別の世界に行くなんて、すごいのね」

 華奈には、自分が一人でどこか遠いところへ何日も行く、という想像ができませんでした。ご飯や寝る場所も、どうしたらいいのかわからないし、困ってしまうと思ったからです。

「……べつに、すごいことじゃない」

 華奈のシオンをほめる言葉に、少し気持ちは収まったのか、さっきより機嫌のよさそうな声で答えました。

「みんなやるんだし……。それに、その年一番の成績を納めた者には、特典もあるからな」
「特典?」
「一番の者から順に選ぶことのできる賞品があるんだ」
「どんな物がもらえるの?」
「物だけじゃないぞ、権利ももらえる」

 シオンが得意げにそう言ったので、彼はその「権利」が欲しいんだと華奈は思い、聞きました。

「じゃあ、シオンは何が欲しいの?」
「俺が欲しいのは……将来好きな仕事をするという権利だ!」

 シオンは胸を張って答えます。
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