力の欠片のペンダント

河原由虎

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第13話 いつもと違う学校生活

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 翌朝────

 登校する時。いつもよりも多いカバンの中身を気にしながら、華奈は歩いていました。飛び跳ねないように、転ばないように。あまりに気をつけすぎて、弟たちに言われてしまう程に。

「お姉ちゃん、なんだかいつもよりゆっくり?」
「早く行こうぜー! オレ、友だちとサッカーする約束してるんだからさー」

 幸樹は手をつないで歩いていて、京樹は離れてしまわないように時々振り向いてくれて、いつもよりも止まって待つ時間が長いことに気づいたようです。

「わかったわ、急ぎましょう。あ、でも走るのはやめてくれる?」

 華奈は、ほんの少し腰を落として、できる限り鞄が揺れないよう歩いて行きました。

 小さくなることができると言ったシオンは、筆箱に入れるくらいの大きさになれたので、華奈は少し深めで、あまり使っていなかった缶の筆箱を用意しました。シオンはそこに一本の鉛筆と、ペンダントと一緒に入っています。

 そして華奈は約束通り、休み時間になる度に人のいない場所を探しました。シオンに、少しでも外の空気をすってもらうために。短い休み時間では外に出ることができないので、使っていない教室を覗きにいったりして人気の少ない所を探しました。

 はじめはどうなることかと心配していた、シオンを連れての学校ですが、誰にも気づかれることなく、昼休みまで過ごすことができました。
 昼休みは、ほとんどの子が運動場や体育館へと遊びに行きます。
 華奈はもともと、教室に残って本を読むのが好きなので、教室にあまり人が残らないことを知っていました。なので今日は、あえて誰もいなくなる事を期待しながら、昼休みの始まりのチャイムを待ちます。
 そして、チャイムが鳴ると今日は、我先にと、ほとんどの子が教室から出ていきました。残っているのはまだ給食を食べている子が二人だけ。
 ですが、その子たちも他の子と外で遊ぶ約束をしていたので、華奈は誕生日にもらった本を開きながら待ちました。

「華奈ちゃん! 一緒に外で遊ばない?」

 華奈も、何人かの子に声をかけられましたが、

「ありがとう! でも今日は読みたい本があるから……また今度誘ってくれる?」

 そう答えて、教室に残りました。
 やがて残っていた子たちが食べ終わり、外へと向かいます。それを確認した華奈は、シオンの入った筆箱を机の上に置いてそっと開けました。

「お待たせ。今から二十分は大丈夫よ」

 そう小さな声で話しかけると、シオンも小さな声でお礼を言います。

「ありがとうな」
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