【鬼シリーズ:第四弾】黄鬼の子孫の物語 〜忘れられた大切なコト〜

河原由虎

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10. 牢番からの助言

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「ところであんた、外の屋敷で介抱されていたんだよな?」
「あぁ……茶色い髪と目の子供達に助けられて、緑の髪の女性に治療してもらったんだ」
「じゃあその着物は……」

 牢番は、僕が着ている服を一瞥してからつぶやいた。

「女性のご主人の物だそうだ。こんな素性の知れない僕に着物まで貸してくれて……彼女たちが咎められて酷い目にあわないか……」

 そう、それも心配だった。

「それは大丈夫だ。だって――」

 二本角の牢番がそこまで言った時、

「おい、まだか? 早く夜番の奴と交代しようぜ!」

 もう一人の牢番が叫び、二本角の牢番は大きく手を振りながら「あと少しだ」と答えた。

「すまない、もう行かないと……彼女達は大丈夫だ。あんたは自分の心配をしたほうがいい。
 俺ではあの元老げんろう達には歯が立たないし、明日は捜索隊に加わることになっているからここにはこない……。できるだけ奴らがすぐに戻ってこれないようにしてみるが、もし手を出してくるようだったら、念じてみろ」
「念じる?」

 小声と早口で言う牢番に、すぐさま聞き返した。

「そう。あんたが着せられている物には身を守るためのじゅがかけられているはずだ。」

 この服に――?

 色は少しくすんだ臙脂えんじ色で、特に変わった装飾もない前合わせの服。腰紐は何か毛足の短い動物の毛皮のようで、今は暗くて見えないが、確か赤黒い色をしていたような――

「おい! 早くしろよ!」
「今行く!」

 地面に置いていた皿を拾い上げながら、二本角の牢番は言った。

「長が戻ればあんたは解放される。いつ戻るかはわからんが……それまでなんとか頑張れ!」

 二本角の牢番はそう言うと、軽く手を振りながら去っていった。

「頑張れ、と言われてもなぁ……」

 どうやったらこの状況を脱することができるのか、皆目見当もつかない。
 けれど――僕はなんとかルシアーノの病を治す方法をみつけたい。きっとあるはずなんだ、この地に――

 どんなことをされようとも、耐えてみせる。もしあの牢番の言った通り、この着物で僕の身が守れるならラッキーだとは思うけど……

 大体、呪とやらがどんなものなのか想像もつかない。殴りにくる者を弾き飛ばす力でもあるというのだろうか――?わからない事を想像しても埒があかない。
 今はとにかく体力の温存をしよう……

 牢番が交代してしばらくすると、牢屋は一層静まり返った。自然の奏でる風音すら聞こえないのは、僕にとってとても不自然な事で……。今ならどんな小さな音も聞き逃せそうにないな、と思い苦笑する。

 あの老人たち、元老とか呼ばれていた……彼らが来れば、その力の圧ですぐにわかるだろう。

 そう考えた僕は、岩壁にもたれ、立ったままだったけれど、なんとか眠りについた。
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