【鬼シリーズ:第四弾】黄鬼の子孫の物語 〜忘れられた大切なコト〜

河原由虎

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11. 夜明け前の狂気

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 どれくらい時間が経ったのだろう。気づくと開いたままの口が、カラカラに乾いていた。
 立ったままでも意外と眠れたようだけど、足は痺れ、吊るされたままの手首には酷い痛みを感じる。

 そして――――

 近づいてくる嫌な気配を感じとり、僕は完全に覚醒した。
 じゃりっと地面を踏みしめる音が複数。ゆっくり歩いているという感じではないし、規則性もない。

 まるで酔っ払いが急いでいるような足音……

「あ、焔生様! お早いですね、もう取り調べ開始ですか?」
「いや、少し早いが様子を見にきただけだ」

 やってきたのは昨日と同じ、元老と呼ばれていた者たち。
 てっきり夜中にこっそり来るのだろうと思っていたけれど、もう夜明けが近いのか……?

「んん? お前、随分疲れてるみたいじゃないか。取り調べは朝番の者が来たらはじめるから、もう上がってもいいぞ?」

 どこかわざとらしい物言いが耳につく……が、牢番は気づかないのか、申し訳なさそうに答える。

「本当ですか? それは助かります……! 捜索隊に参加した直後の夜番だったんでキツくて」
「それは大変だ! 休んだらまた捜索に行くんだろう? ここはわしらに任せて休むが良い」

 微かに香ってくる酒のにおい。元老たちは皆、随分と飲んで眠っていたのだろうか……? 歩き方にも影響が出るほどに――

 そこまで考えて、はっと気づいた。
 まさか――! 昨晩の牢番が元老たちに酒を――?

「では……お言葉に甘えて」
「あぁ、ゆっくり休め」
「ありがとうございます!」

 夜番の一本角の者は、元老たちに礼を言うとあっさりと去っていってしまった。

 もう少し粘ってほしかった――

 覚悟はしているものの、これから何をされるのかと、恐怖に体が冷たくなっていく気がする。じっとりとした空気の中、自分の体だけが異物のような感覚がしていた。

 元老たちはニヤニヤと笑いながら、牢番から預かった鍵を使い中へと入ってくる。

「さぁて、差し入れの美味い酒で寝過ぎちまったが」

 やっぱり! 昨日の牢番、元老たちが飲み過ぎて眠ってしまうようにしてくれたんだ――

「朝番の者が来るまでヤらせてもらおうか――」

 元老たちの力の圧が大きくなっていく。同時に、彼らの周りに何かが見えた――
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