【鬼シリーズ:第四弾】黄鬼の子孫の物語 〜忘れられた大切なコト〜

河原由虎

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12. 赤虎の毛皮

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 ぎぃぃ、と牢屋の格子を閉じる音が妙に大きく響く。けれど、それよりも気になるのは……彼らを取り囲むように湯気のようなモノが見えること――

 まるで、彼らの体から出ているかのようなあれはいったい……

「で、焔生よ。どうやって痛めつけるんだ?」
「傷が残ったらいかんだろう?」

 彼らを包んでいるソレは、ゆらゆらとしながら少しずつ増えているようにも見えた。

「お前らなぁ……だから二本角の奴らに脳筋だって言われるんだ。
 傷跡が出来るだけ残らないように、あとは服で隠れるような所を狙えばいい」

 嬉しそうに話す焔生。彼の力の圧が増すと同時に、ソレが倍増した。

 コレは――彼らの力が……そのエネルギーが見えているってことなのか⁈

「さぁて、まずは――」

 焔生は僕の目の前に立つと拳を握りしめ、構えた。

 構えの位置的に腹部狙いか。殴られる――!
 そう思った瞬間、昨晩の牢番の言葉が脳裏をよぎる。

『念じてみろ』

 頼む、僕の身を守ってくれ――!

 きっと強烈な一撃がくるに違いない。そう思って目を閉じるも、腹部は衝撃を受けることはなかった。

 おそるおそる目を開くと、僕の服が淡く光を放っている。そして焔生の拳は、その数センチ手前で止まっていた。

「――⁉︎――」

 他の元老たちも走り寄り、止まった拳のあたりを覗き込む。

「焔生! もしかして――」
「あぁ……この腰紐、赤虎せっこの毛皮だ」

 赤虎――?

 焔生が腰紐に触れようとするも、見えない何かに阻まれているようで、その手は再び、僕の腹まで数センチの所でぴたりと止まったまま動かなくなる。

「だがそんな腰紐だけでお前の拳を止めれるか⁈」
「無理なはずだ。おそらく――」

 焔生の手がゆっくりと、腰紐よりも下の方に伸びていく。
 何を――

 その手は僕の膝のあたりで止まり、服の端をつかんで勢いよく開いた。

「――!」

 冷たく感じていたはずの体に妙な汗が加わった。幸いなのは空気がじっとりと暖かかったことだろうか。
 けれど、何故だろう。股間の方に集まる視線がどうにも落ち着かない……!

「焔生、どけ! もっと近くで見せろ!」
「コレは……!」

 暗くてよく見えなかったらしい元老たちは、服の裾を岩壁に押し当てて、焔生を後ろに下がらせた。

「パンツも赤虎の皮じゃねぇか!」

 え、まさかパンツもエミさんに――ってか近い! 元老たちの顔がっ!

「あの女……こんな貴重な物を余所者に穿かせたのか⁉︎」
 
 今更だけど、感謝の気持ちと恥ずかしさがごちゃまぜだ……! 
 けど、代わる代わるのぞいていく元老たちの視線でそんな感情も吹き飛びそうだった。

「穿いたら最後、装着者にしか触れない品じゃないか!」

 なおも覗き込む元老たち。
 いいかげん閉じてくれ! なんでそんなにマジマジ見るんだこのパンツを――――!
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