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13. 血を持つ者
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随分と混乱している頭は、焔生の次の行動で一気に冷えることとなった。
彼はいつの間にか、牢番の待機場所にあった水桶を持ってきて、僕の頭から水をかけたのだ。
「落ち着け。効かぬのは攻撃のみだ」
その言葉に、再び僕の心臓は縮み上がる。
服の裾を固定していた一人に桶を押し付けると、焔生はゆっくりと動いて僕に近づき、足払いをかけてきた。
ずっと立ったままで棒のようになっていた僕の足は、なすすべもなく地面を一瞬離れる。
「ぐっ――!」
すると両の手首に全ての自重がかかり、痛みが走った。
「ほらな」
こういう場合には効かないのか――
まぁ……そんな都合よくはない、か……
自分の……あまりに甘い考えに、僕は俯き自嘲した。
「何を笑っている!」
凄い勢いで拳が顔の左横をすり抜け、後ろの岩壁にめり込む音がした。
そして焔生は岩壁に左手を付けたまま、右手で僕の前髪を掴んで勢いよく引っ張りあげた。
「貴様……⁉︎」
何かに気づいたように、僕の瞳を注意深く覗き込み、焔生は言った。
「血をもつものだな⁉︎」
まさか――僕の目には、焔生の纏う力が淡い炎のように見えている。もしかしてそれが目に写って――⁉︎
慌てて目を閉じるも、無理やりこじ開けられ覗き込まれた。
「見ろ! こやつは鬼の血を引く者だ。それが証拠に、目に我等の鬼の力が写っておるわ」
まずい、このままでは――
その場にいる者が次々に覗き込み、僕の目に写る自分たちの鬼の力を確認していく。
「はっはっは、これはいい! お前、見鬼の一族の者か!」
「だが随分と力が薄まっているようだな……一体何世代ほど異種と交わってきたんだ?」
何故か愉快そうに言う焔生と口々に騒ぎ立てる元老たち。
力が正義、というような考えを持つ者達にとって、力が薄まり弱くなるのは許容できない事なのだろう――
「何世代だろうがどうでも良い。血を交ぜるとこうなっていくという良い例じゃないか!」
「やはり混血は根絶やしにしなければならないな」
今……何て――⁉︎
「奴の子等も、か?」
「当然だろう! やはり前例など作ってはいけなかったのだ!」
「我等一族は、力落とすことなく繋ぎ続けねばならない。
朱夫に、長代理に連絡を!」
彼はいつの間にか、牢番の待機場所にあった水桶を持ってきて、僕の頭から水をかけたのだ。
「落ち着け。効かぬのは攻撃のみだ」
その言葉に、再び僕の心臓は縮み上がる。
服の裾を固定していた一人に桶を押し付けると、焔生はゆっくりと動いて僕に近づき、足払いをかけてきた。
ずっと立ったままで棒のようになっていた僕の足は、なすすべもなく地面を一瞬離れる。
「ぐっ――!」
すると両の手首に全ての自重がかかり、痛みが走った。
「ほらな」
こういう場合には効かないのか――
まぁ……そんな都合よくはない、か……
自分の……あまりに甘い考えに、僕は俯き自嘲した。
「何を笑っている!」
凄い勢いで拳が顔の左横をすり抜け、後ろの岩壁にめり込む音がした。
そして焔生は岩壁に左手を付けたまま、右手で僕の前髪を掴んで勢いよく引っ張りあげた。
「貴様……⁉︎」
何かに気づいたように、僕の瞳を注意深く覗き込み、焔生は言った。
「血をもつものだな⁉︎」
まさか――僕の目には、焔生の纏う力が淡い炎のように見えている。もしかしてそれが目に写って――⁉︎
慌てて目を閉じるも、無理やりこじ開けられ覗き込まれた。
「見ろ! こやつは鬼の血を引く者だ。それが証拠に、目に我等の鬼の力が写っておるわ」
まずい、このままでは――
その場にいる者が次々に覗き込み、僕の目に写る自分たちの鬼の力を確認していく。
「はっはっは、これはいい! お前、見鬼の一族の者か!」
「だが随分と力が薄まっているようだな……一体何世代ほど異種と交わってきたんだ?」
何故か愉快そうに言う焔生と口々に騒ぎ立てる元老たち。
力が正義、というような考えを持つ者達にとって、力が薄まり弱くなるのは許容できない事なのだろう――
「何世代だろうがどうでも良い。血を交ぜるとこうなっていくという良い例じゃないか!」
「やはり混血は根絶やしにしなければならないな」
今……何て――⁉︎
「奴の子等も、か?」
「当然だろう! やはり前例など作ってはいけなかったのだ!」
「我等一族は、力落とすことなく繋ぎ続けねばならない。
朱夫に、長代理に連絡を!」
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