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15. おじちゃん、動かないで
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まだ煙の収まらない中、僕等は走った。
「人が多い街の方には行かず、別の所から外に出ます!」
「本当にありがとう! でもその後は……」
外に出たとして、黄色い髪に高い身長の僕は、どう頑張っても目立ってしまう。
「この道は島の中央近くに出るんです。そこから別の洞窟へ向かいます!」
「みんなの古いお家があった場所よ!」
「崩れている箇所が多くて危険なので、今では誰も近付きません」
「そうなんだ――」
それは、僕たちにとっても危険なのでは、という不安も払拭する勢いで、二人は楽しそうに続けた。
「僕たちはよくそこで遊んでるんで、安全な場所の把握はできてます」
「ね!」
「母もそこに向かってますので」
まったく、おんぶに抱っこで本当に申し訳がない……。でもこれで少しは安心できそうだ――
そう思った時、僕は後ろから聞こえる音に気がついた。
大きな風がこちらに向かってくる音と、それに紛れて複数の者が走ってくる音――?
数秒後、ものすごい風が後ろから吹いてきた。たちまち煙は押し出されていき、一気に視界が晴れる。
「待ちやがれ! 貴様ら!」
焔生……!
チラリと後ろを見ると、焔生を筆頭に弓矢を構えている者が数名いる。子供達を守らなければ――!
「二人とも先に行くんだ!」
数歩前を走る二人の壁になれるよう僕は両手を広げた。
「――!」
飛んできた矢は二本。左腕と右足の脹脛に、衝撃を感じたものの、刺さる直前で弾け飛んだ。
「くそっ!」
悔しそうな焔生の声が聞こえる。
なんて力なんだ、赤虎の皮――!
「ルカおじさん!」
「大丈夫、ビックリしただけだから……!」
立ち止まった僕を心配して駆け寄る茶子ちゃん。
早く行かなければと体を動かすも、衝撃を受けた足は、痺れたような感覚がして思うように動かせない。
「にいちゃん先に行って!」
駆け寄ってこようとする鳶之介くんに茶子ちゃんが言った。
「お母さんに連絡を!」
「わかった……! 気をつけろよ!」
鳶之介くんはすぐさま動き、洞窟の先へと消えていく。
「ルカおじちゃん、茶子を抱っこして!」
「え、でも……!」
「良いから早く!」
そう言いながらよじ登ってくる茶子ちゃん。
いや、僕と一緒にいるより先に逃げて⁈ 君なら鳶之介くんより早く走れるんだろう⁉︎
その証拠に、鳶之介くんは額に汗をかいていたけれど、茶子ちゃんは息一つ乱れた様子がない。
尚も登ってくる茶子ちゃんに、諦めた僕は彼女をしっかりと抱えた。そして、できるだけ早くその場から離れようと、再び矢を構える連中に背を向けたけれど、
「おじちゃん、動かないで!」
なんで⁉︎ と思うも従って静止すると、茶子ちゃんは、ぎゅっと僕の首にしがみつき、連中に向けて何かを投げはじめた。
「ぐっ――!」
「うわっ!」
「人が多い街の方には行かず、別の所から外に出ます!」
「本当にありがとう! でもその後は……」
外に出たとして、黄色い髪に高い身長の僕は、どう頑張っても目立ってしまう。
「この道は島の中央近くに出るんです。そこから別の洞窟へ向かいます!」
「みんなの古いお家があった場所よ!」
「崩れている箇所が多くて危険なので、今では誰も近付きません」
「そうなんだ――」
それは、僕たちにとっても危険なのでは、という不安も払拭する勢いで、二人は楽しそうに続けた。
「僕たちはよくそこで遊んでるんで、安全な場所の把握はできてます」
「ね!」
「母もそこに向かってますので」
まったく、おんぶに抱っこで本当に申し訳がない……。でもこれで少しは安心できそうだ――
そう思った時、僕は後ろから聞こえる音に気がついた。
大きな風がこちらに向かってくる音と、それに紛れて複数の者が走ってくる音――?
数秒後、ものすごい風が後ろから吹いてきた。たちまち煙は押し出されていき、一気に視界が晴れる。
「待ちやがれ! 貴様ら!」
焔生……!
チラリと後ろを見ると、焔生を筆頭に弓矢を構えている者が数名いる。子供達を守らなければ――!
「二人とも先に行くんだ!」
数歩前を走る二人の壁になれるよう僕は両手を広げた。
「――!」
飛んできた矢は二本。左腕と右足の脹脛に、衝撃を感じたものの、刺さる直前で弾け飛んだ。
「くそっ!」
悔しそうな焔生の声が聞こえる。
なんて力なんだ、赤虎の皮――!
「ルカおじさん!」
「大丈夫、ビックリしただけだから……!」
立ち止まった僕を心配して駆け寄る茶子ちゃん。
早く行かなければと体を動かすも、衝撃を受けた足は、痺れたような感覚がして思うように動かせない。
「にいちゃん先に行って!」
駆け寄ってこようとする鳶之介くんに茶子ちゃんが言った。
「お母さんに連絡を!」
「わかった……! 気をつけろよ!」
鳶之介くんはすぐさま動き、洞窟の先へと消えていく。
「ルカおじちゃん、茶子を抱っこして!」
「え、でも……!」
「良いから早く!」
そう言いながらよじ登ってくる茶子ちゃん。
いや、僕と一緒にいるより先に逃げて⁈ 君なら鳶之介くんより早く走れるんだろう⁉︎
その証拠に、鳶之介くんは額に汗をかいていたけれど、茶子ちゃんは息一つ乱れた様子がない。
尚も登ってくる茶子ちゃんに、諦めた僕は彼女をしっかりと抱えた。そして、できるだけ早くその場から離れようと、再び矢を構える連中に背を向けたけれど、
「おじちゃん、動かないで!」
なんで⁉︎ と思うも従って静止すると、茶子ちゃんは、ぎゅっと僕の首にしがみつき、連中に向けて何かを投げはじめた。
「ぐっ――!」
「うわっ!」
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