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16. 策士
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茶子ちゃんが何かを投げるたびに、後方から呻き声が上がる。焔生の声もしていたような気がするのだが――
「もう大丈夫よ、ルカおじちゃん」
いつ矢が飛んでくるか、いつ焔生が襲ってくるかとヒヤヒヤしていた僕は、その言葉で随分と自分が力を込めて彼女を抱えていたことに気がついた。
「おい!」
抜こうとした力が再び入る。この声は……!
「朱夫おじちゃん」
「長代理と呼べ!」
振り返ると、地に伏して動かない元老達。そしてその向こうに朱夫が立っていた。
「お前達、しばらくどこか……見つからないところに隠れていろよ」
「……⁉︎」
朱夫にも襲われると思っていた僕は、一瞬何を言われているのか理解できずに固まってしまう。
「……余所者は排除したかったんじゃ……?」
「あぁ、排除したいな。一族の血を守るために」
じゃあ何で……?
朱夫の言動からは矛盾しか感じることができず、僕は混乱した。
「……勘違いしているようだから言っておく。
俺は余所者を排除したいが、殺したいわけではない」
その言葉を聞いた瞬間、何かが腑に落ちた。
「殺す気でいるなら……牢屋へ着く前に、その腰紐も、着物の下に穿いている物も取り上げている」
そう、朱夫はエミさんの所で僕を見ている。明るい場所で僕がこの腰紐を着けているのを見ていたのだ。
「元老達が勝手に暴れてくれたおかげで、この後は俺にも何とかできる。ありがとうよ」
そうか……父親であり、一族を束ねていた元長と、そのとりまき。朱夫が彼に逆らうには、何かハッキリとしたきっかけが必要だったのか――
「あんた……なかなかの策士だな」
「褒め言葉と受け取っておこう……」
「もう大丈夫よ、ルカおじちゃん」
いつ矢が飛んでくるか、いつ焔生が襲ってくるかとヒヤヒヤしていた僕は、その言葉で随分と自分が力を込めて彼女を抱えていたことに気がついた。
「おい!」
抜こうとした力が再び入る。この声は……!
「朱夫おじちゃん」
「長代理と呼べ!」
振り返ると、地に伏して動かない元老達。そしてその向こうに朱夫が立っていた。
「お前達、しばらくどこか……見つからないところに隠れていろよ」
「……⁉︎」
朱夫にも襲われると思っていた僕は、一瞬何を言われているのか理解できずに固まってしまう。
「……余所者は排除したかったんじゃ……?」
「あぁ、排除したいな。一族の血を守るために」
じゃあ何で……?
朱夫の言動からは矛盾しか感じることができず、僕は混乱した。
「……勘違いしているようだから言っておく。
俺は余所者を排除したいが、殺したいわけではない」
その言葉を聞いた瞬間、何かが腑に落ちた。
「殺す気でいるなら……牢屋へ着く前に、その腰紐も、着物の下に穿いている物も取り上げている」
そう、朱夫はエミさんの所で僕を見ている。明るい場所で僕がこの腰紐を着けているのを見ていたのだ。
「元老達が勝手に暴れてくれたおかげで、この後は俺にも何とかできる。ありがとうよ」
そうか……父親であり、一族を束ねていた元長と、そのとりまき。朱夫が彼に逆らうには、何かハッキリとしたきっかけが必要だったのか――
「あんた……なかなかの策士だな」
「褒め言葉と受け取っておこう……」
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