3 / 14
第3部分 なんでコイツ……パンツ一丁なんだ⁉︎
しおりを挟む
風が吹き、ぶるりと身震いをする。
なんでこんなに寒いんだ? まだ夏は始まったばかりなのに……
呆然と見渡すも、森は暗く灯りの一つも見当たらない。
頼りになるのは空に輝く月一つ。
「夜……なんだろうな……?」
「誰かいるのか⁉︎」
「!」
茂みの向こうから声が聞こえた。
良く通る低い声。男……
ガサガサっと茂みが揺れ、現れた男は。大男と言っても過言ではないだろう。俺よりも随分背が高そうで、そして──とても鮮やかな緑の髪と目の、二本角の鬼だった。
「……!……」
整った顔をしていて歳は二十くらいか。体躯は良く、バランスの良い筋肉の付き方。典型的な二本角タイプの鬼っぽいな……
だがしかし。
なんでコイツ……パンツ一丁なんだ⁉︎
「ん? 鬼の者か。よかった──」
ホッとしながらそう呟く緑の鬼。
一瞬、そのあまりにも鮮やかな色に目が奪われていたものの……この肌寒いなか、いや! そうでなくてもおかしいだろうパンツ一丁て!
そのパンツは月の光に輝く黄金の毛で、よほど立派な虎の物だったのだろう。と、思わずパンツもガン見してしまった。が……
“よかった”とはどういう──
「鬼でよかったが……何やら珍しい風貌だな」
パンツ一丁の方がどうかと思うが。
「色も村の者とはだいぶ違う…………まさか混血者か?」
自分の髪色も目の色も、純粋な色ではない。だが珍しくはないはずだ。大昔じゃあるまいし、今では混血でない者の方が珍しいはずだ……それこそコイツのように鮮やかに燃ゆる緑の瞳の者は──
その瞳に憐れみのようなものを感じて思わず俺は言った。
「混血で悪いか?」
「……いや……」
男はどこか申し訳なさそうに頭を掻いた。
くそ……まだ体が軋みやがる。解錠が必要なほどではないが、解錠状態を知っていると非常にもどかしい。
軋む体を支えつつ立ち上がると、やっぱりコイツは自分より頭一つ分程背が高い。俺も一七〇はあって、そこまで小さいわけではないんだが。
「怪我してるのか? 治りが遅いようだが」
「遅くても治る。問題はない……ところですまないが、ここは何処だ?」
とりあえず話は出来そうとふんで聞いてみる。
そして今気づいたが、爆風の衝撃は、白衣の背を大きく切り裂いていた。体が無事だったのが不思議なくらいに。
「お前……もしかして島から流れてきたのか? ここはズイの山中だ」
ズイ……⁉︎
「……色から察するに緑、赤、青あたりの混血だな」
「!」
「とりあえずこい、ここは人間もやってくる場所だから、街の中にいた方がいい」
「あ……あぁ…………」
この月明かりで俺のルーツを言い当てた観察眼、二本角にしては恐れ入る。なんだか所長と似たような雰囲気をソイツに感じた俺は、大人しく後をついて行くことにした。
なんでこんなに寒いんだ? まだ夏は始まったばかりなのに……
呆然と見渡すも、森は暗く灯りの一つも見当たらない。
頼りになるのは空に輝く月一つ。
「夜……なんだろうな……?」
「誰かいるのか⁉︎」
「!」
茂みの向こうから声が聞こえた。
良く通る低い声。男……
ガサガサっと茂みが揺れ、現れた男は。大男と言っても過言ではないだろう。俺よりも随分背が高そうで、そして──とても鮮やかな緑の髪と目の、二本角の鬼だった。
「……!……」
整った顔をしていて歳は二十くらいか。体躯は良く、バランスの良い筋肉の付き方。典型的な二本角タイプの鬼っぽいな……
だがしかし。
なんでコイツ……パンツ一丁なんだ⁉︎
「ん? 鬼の者か。よかった──」
ホッとしながらそう呟く緑の鬼。
一瞬、そのあまりにも鮮やかな色に目が奪われていたものの……この肌寒いなか、いや! そうでなくてもおかしいだろうパンツ一丁て!
そのパンツは月の光に輝く黄金の毛で、よほど立派な虎の物だったのだろう。と、思わずパンツもガン見してしまった。が……
“よかった”とはどういう──
「鬼でよかったが……何やら珍しい風貌だな」
パンツ一丁の方がどうかと思うが。
「色も村の者とはだいぶ違う…………まさか混血者か?」
自分の髪色も目の色も、純粋な色ではない。だが珍しくはないはずだ。大昔じゃあるまいし、今では混血でない者の方が珍しいはずだ……それこそコイツのように鮮やかに燃ゆる緑の瞳の者は──
その瞳に憐れみのようなものを感じて思わず俺は言った。
「混血で悪いか?」
「……いや……」
男はどこか申し訳なさそうに頭を掻いた。
くそ……まだ体が軋みやがる。解錠が必要なほどではないが、解錠状態を知っていると非常にもどかしい。
軋む体を支えつつ立ち上がると、やっぱりコイツは自分より頭一つ分程背が高い。俺も一七〇はあって、そこまで小さいわけではないんだが。
「怪我してるのか? 治りが遅いようだが」
「遅くても治る。問題はない……ところですまないが、ここは何処だ?」
とりあえず話は出来そうとふんで聞いてみる。
そして今気づいたが、爆風の衝撃は、白衣の背を大きく切り裂いていた。体が無事だったのが不思議なくらいに。
「お前……もしかして島から流れてきたのか? ここはズイの山中だ」
ズイ……⁉︎
「……色から察するに緑、赤、青あたりの混血だな」
「!」
「とりあえずこい、ここは人間もやってくる場所だから、街の中にいた方がいい」
「あ……あぁ…………」
この月明かりで俺のルーツを言い当てた観察眼、二本角にしては恐れ入る。なんだか所長と似たような雰囲気をソイツに感じた俺は、大人しく後をついて行くことにした。
0
あなたにおすすめの小説
「お前みたいな卑しい闇属性の魔女など側室でもごめんだ」と言われましたが、私も殿下に嫁ぐ気はありません!
野生のイエネコ
恋愛
闇の精霊の加護を受けている私は、闇属性を差別する国で迫害されていた。いつか私を受け入れてくれる人を探そうと夢に見ていたデビュタントの舞踏会で、闇属性を差別する王太子に罵倒されて心が折れてしまう。
私が国を出奔すると、闇精霊の森という場所に住まう、不思議な男性と出会った。なぜかその男性が私の事情を聞くと、国に与えられた闇精霊の加護が消滅して、国は大混乱に。
そんな中、闇精霊の森での生活は穏やかに進んでいく。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる
若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ!
数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。
跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。
両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。
――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう!
エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。
彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。
――結婚の約束、しただろう?
昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。
(わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?)
記憶がない。記憶にない。
姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない!
都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。
若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。
後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。
(そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?)
ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。
エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。
だから。
この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し?
弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに?
ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
落ちこぼれ公爵令息の真実
三木谷夜宵
ファンタジー
ファレンハート公爵の次男セシルは、婚約者である王女ジェニエットから婚約破棄を言い渡される。その隣には兄であるブレイデンの姿があった。セシルは身に覚えのない容疑で断罪され、魔物が頻繁に現れるという辺境に送られてしまう。辺境の騎士団の下働きとして物資の輸送を担っていたセシルだったが、ある日拠点の一つが魔物に襲われ、多数の怪我人が出てしまう。物資が足らず、騎士たちの応急処置ができない状態に陥り、セシルは祈ることしかできなかった。しかし、そのとき奇跡が起きて──。
設定はわりとガバガバだけど、楽しんでもらえると嬉しいです。
投稿している他の作品との関連はありません。
カクヨムにも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる