【鬼シリーズ:第三弾】緑鬼のパンツは急所を守る

河原由虎

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第4部分 大昔にタイムスリップ⁉︎

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 案内されて森を抜けると、見えてきたのは星の輝く広い夜空と、それを映し出すかのように広がる海。そして、山側に申し訳程度の木の柵がぐるりと施されている港町だった。

 潮の匂いはどこか新鮮な感じがして──

 ってちょっと待て。なんなんだこれは。

 目の前に広がる光景に、俺は愕然とした。
明かりは火、松明、そして提灯。道はなんとか整備されているようだが、車やバイクなど影も形もなく、車輪のついた物はというと、手押し車がチラホラと見える。

「ちょっとこの木の影で待っていてくれ」

 男は木の柵を飛び越えると、どこかへ消えていった。
 木の影から町の様子を伺って見ていると、どう考えても大昔にタイムスリップしたのだとしか思えなかった。

「このぶんだと、キッチンは釜戸なんじゃないか……?」

 コーヒーもないんだろうな。
 いや、それより──まさか人間とのイザコザがあった時期じゃないだろうな……⁉︎
 面倒ごとはごめんだぞ。体力のいる事柄に俺は向いてはいない……!

 鬼ヶ島で桃太郎に退治されてから、鬼は人間の管理下に入っていった。幾度かの諍いが起こりつつも、ゆっくりと。
 そして、鬼に戦いを挑んで勝てたのは桃太郎を筆頭に歴史上両手で数えられる程度だったという記録も残っている。言い換えれば、両手で数えられる程度の戦はあったのだと──

「待たせた! ただの布だが、ひとまずコレを被るといい」
「……ありがとう」

 男が持って来たのは何やら大きな麻の布だった。
 ここが桃太郎がいるくらいの時代ならば、確かに混血である俺の持つ色は珍しいし、もっと言えば禁忌とされている時期かもしれない。そう理解して、俺は髪が見えないよう頭からその布を被り、下に着ている服もが隠れるようにしてみた。

 その様子を伺っていた緑の鬼は、納得したような笑みを浮かべていた。

「別の場所から来たオレの客人として家の離れに通す。可能ならば、事情を話してくれるか?」

 二本角にしてはやけに理性的だ……。やっぱりコイツ所長と似てる……。

「信じてもらえるかはわからんが……話そう。その代わりと言ってはなんだが……俺も聞きたいことがある」

 俺の言葉を聞くと、今度は嬉しそうな顔をして男は答えた。

「よし、では行こう」
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