2番目の村娘は竜の生贄(嫁)にされる

白黒

文字の大きさ
17 / 19

頭がピンクの夫

しおりを挟む
私を抱えて戻る最中も夫はいつもと少し様子が違う。私もそれなりにドキドキする。

「痛くない?」
と怪我の具合を聞くと

「心臓がおかしいです……」
と困ったように言う。

「あ、怪我のことですか?さっきひと眠りしたからだいぶ良いです。薬湯に浸かったら大丈夫ですから、竜族は回復力早いですからね」

「良かったわ」
と言うと嬉しそうに笑う。

家に帰るとマイルズさんとアマンダさんが心配して出て来た。

「旦那様!奥様!無事で!!」

「あの番女は?」
とマイルズさんは少し怒っている。

「お帰りいただいたよ。もう彼女を家に入れないで欲しい。また来ると言ってたけど、私はあの番女を見ても何もときめくことはなかったし、あれは一種の催眠だ」

「どういうことです??」
とマイルズさんが眉を吊り上げる。
事情を説明しいんちきお告げ竜のことを言うと

「なんと!そんな商売をして騙すとは!許せんな!!」

「王子にも後ほど報告はしようと思います」

「旦那様…直ぐに薬湯の用意をします。直ぐに治るとはいえ結構やられましたな」

「女と言えども竜化すると半端なく強いですからね…」
と言った。それから私は着替えてご飯をいただいているとほこほこしたクレイグがやってきた。
既に晩だし一緒に食事を取ることにしたが彼は私の隣に座る。

「おやおやこれは…」
と微笑み、アマンダとマイルズさんが下がった。ええ?

「すみません…時間が惜しいから…少しでもジュリエットさんと共に居たくて……私がイケメンでなくてすみません!そんなに金持ちでもないけど…私は…ジュリエットさんをー…」
と照れてモジモジしているから私は夫の口にお肉をガボッと入れてやった。

「モゴー…」
とまた苦しそうだ。
しかし何とかゴクリと飲み込んだ。

「あーんする時は言ってください!喉に詰まっちゃいます!」
布で口を拭きながら言う。

「だって…こんな近くで恥ずかしいことを言おうとしたでしょ!?今食事中よ!!?」

「す、すみません…!!」
と普通に食べ出した。しかし緊張してるのか手が震えてスープがガチャガチャと溢れていた!

「だ、大丈夫??」

「は、はい!何かこんな…仕事以外のことで頭がジュリエットさんでいっぱいになるのはおかしいと思うので気にしないでください!!」
とガチャガチャ溢しながら食べていた。

夕食が終わってやっと休めるな。今日はいろいろあったわ…洞窟内で巨大な竜同士が戦い始めた時は岩に隠れて巻き込まれないようにするのが手一杯よ。普通の人間の私なんか竜に簡単に捻り潰されてもおかしくないもんね。

寝巻きに着替えると夫がやってきた。赤い顔をしてソワソワしている。まさか!子作りしたいんか!?それはまだ早いと思うよ!!
しかし私に近付き額にチュッとキスを落とすと彼はさっさとソファーに行こうとしたから

「こらこら、怪我人はベッド!」
と引き止めると…今度はギュッとされた。ふあん!!な、何!?

何か妙に熱っぽく見てくるなぁ。赤い細い目が私を捉えていた。と思ったらクレイグは本当に熱い。ばっと額に手をやると…

「ちょっと!本当に熱があるわよ!?」
と言うとポーッとして

「あれ?そんなことは??」
きっと傷付いたりして疲れたりしたからだ!!
私がお水と薬を取ってくると

「ありがとうございます…」

「いちいちお礼言わなくてもいいわ。夫婦なんだし!」

「ジュリエットさん優しい…す、すす好きです!」
と手にキスされた。

「判ったからもう安静にして!!」
こっちが恥ずかしくなるわ!!

「ち、違うかもしれないこれ…」
??
何がだろう??

「何が違うの??」

「じ、実は…竜族は本来なら獣でして…一般的に恋に落ちると普段より体温が熱くなるんです…そそそ、そのう…た、 大変に申し訳ない事ですけど…」
とゴニョゴニョ言ってるので

「何?はっきり言って?隠し事はなし!」
と言うと真っ赤になり言った。

「ジュリエットさんに…私…は、はは」
は?

「発情してます!!」
と言い、一瞬シーンとした。発情!!?
あの??発情よね?

すると彼は震えて
「ううう!!こんな事は初めてなんです!!他の竜族が発情期の時は白けた目で見ていましたがこんなになるとは思わず!!」

「何それ??他に今まで好きな女は居なかったの??」

「は、はい!仕事人間だったので!!ああ!どうしよう!何だこの私の頭を支配するピンクは!!もうダメです!!私…このままだとジュリエットさんを無理矢理…うう!わあああ!!」
と真っ赤になりながら夫は部屋を飛び出した!!

残された私はポカーンとしたが普通に寝ることにした。私も今日は疲れてたからぐっすりと眠った。



部屋から逃げ出して庭を少し散歩して頭を冷やす。まさか私が恋に落ち発情期に入るとは思わず…。早い人は12歳頃から発情期に入るが私は友人達が発情しているのを見てなんとも言えない白けた気持ちで観察していた。

発情期はアホになる!
とさえ思っていた。とにかく友人は好きな女の子のことを延々と語り、その子の近くで匂いを嗅ぎ周り積極的に迫り口説いていた。そのどの台詞もアホじゃないかと思うくらい甘ったるく、普段の彼とは想像もつかない程だ。

まぁリオン王子のことなんですけどね!
普段のリオン王子はクールそのものでモテていたが…フィリス様と出会い年頃になると発情期を迎えられた。

クールな彼はとんでもなく真面目に子作り教育をギラつきながら聞いておりメモしていた。それからフィリス様の周りをうろちょろし、フィリス様もリオン王子のことを意識し始めたようでそれから2人は仲良くなったようだ。

「発情期とは抗えんな…。フィリスが他の男と話しただけで殺したくなるし、もうフィリス無しでは生きられん!!俺はおかしくなった!!…クレイグ…お前も気を付けろよ…理性を保つのが精一杯だぞ!なんせ視界に入っただけで狂おしいほど好きになる!!」
とか前に言ってて何だその惚気は。
私は仕事に恋するからいいやー。とか考えて自分の事は放置状態であった!!

「ちゃんと恋について勉強しておけば…いや一般教養はあるけど!私自身恋するのも初めてだし!!」
と頭を抱えて仕方なく深夜の寝室に戻ると既に彼女はぐっすり気持ちいいくらい寝ていた。
ソッと近付き髪と頰と手にいつの間にかキスしていてハッとなった。

何だこの自然な流れは!!?
別にキスしなくとも良かったろう!
お、恐ろしい!!…ジュリエットさん可愛い!!

ダメだ!しっかりしろ!!
とソファーにボフリと潜る。あああ!発情期はいつ治るのだ!?
明日本を読もう!!
と眠り込んだが朝起きて直ぐに本を手にすると発情期を抑える方法は直ぐに子作りするか1週間以上顔も見ずに匂いも嗅がない場所に移動し耐える事だと書いてある。

絶望だ!1週間もジュリエットさんと離れるとか!無理!離れたくない!恐ろしい!!発情期!!

「おはよう!クレイグさん」
と彼女が起きて本を慌てて仕舞うと

「何?」
とにこりと微笑むから胸が苦しくなり私は…

「すみません!!私ちょっと実家に1週間程帰ります!!」
と言っていた!!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~

湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。 「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」 夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。 公爵である夫とから啖呵を切られたが。 翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。 地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。 「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。 一度、言った言葉を撤回するのは難しい。 そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。 徐々に距離を詰めていきましょう。 全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。 第二章から口説きまくり。 第四章で完結です。 第五章に番外編を追加しました。

処理中です...