愛の奴隷にしてください。【R18】

仲村來夢

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社長室で秘密の夜1

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「よし。これで大丈夫。」

社長室で荷物をまとめていると、ドアが開く音がした。振り向くと、取引先との会議を終え戻ってきた倫也社長がいた。

「ただいま」

「お帰りなさいませ。荷物まとめられたのでもうすぐ出ますね」

「了解。お疲れ様。」

「引き継ぎでは問題なさそうでしたけど、新しい秘書は大丈夫そうですか?」

「うん。しっかりしてるよ。さすが白河さんが指導しただけあるね」

「良かったです。ありがとうございます」

「まぁまだまだしごき甲斐がありそうだけどね」

「社長ってほんと怖いですよね」

社長がニヤリと笑い、あたしもくすっと笑った。

3年間勤めた会社をあたしは今日退社する。社長秘書になってから1年。色々な経験をさせてもらった。今までの経験や業務など引き継ぎをして、今日は新しい秘書が初めて社長に同行した。

退社の理由は、年を取り引退する親の代わりに兄が家業を継ぐことになり、軌道に乗るまでそれを手伝うことになったから。

仕事は辛いことも多かったけどやりがいがあって楽しかった。この会社に明日から来ないんだと思うととても寂しい気持ちになる。

仕事が好きだった。それから…社長が好きだった。

最初はあたしの力が及ばないこともあり、なんでお前みたいな使えないのが秘書なの?とか、キツイ口調で色々言われたし怒鳴られたこともあった。その頃のあたしは家に帰って泣いてばっかりだったけど、社長が何も言えないくらい、仕事が出来るようにになってやる!そう心に決めてから、自分なりにやれることは一生懸命やった。

その甲斐もあってか一緒に仕事をしていても怒られることが段々なくなっていった。さっき話していた秘書への引き継ぎの時にも言ってもらえたけど、さすが白河さんだね、なんて笑顔で言われたら嬉しくて、あたしは社長にどんどん惹かれていった。

…褒められるのが嬉しいだけだよね。恋愛感情じゃないよね。最初はそんな風に思っていたけど、仕事以外の時間でも社長のことばかり考えるようになってきて…自分の気持ちを認めざるを得なくなった。

うちは社内恋愛禁止だからこの想いを伝えられることが出来ないまま会社を去っていく。というか、社長に恋するなんておこがましすぎることは重々わかっているし、社内恋愛どうこうの話ではないんだけど…

“白河優奈”

この社員証とも今日でさよならかぁ…。

「この後時間ない?明日すぐに実家の方に戻るんだっけ」

「家の荷物がまとまってないので明日はまだ帰れないんですよ。どうしたんですか?」

「食事でも行かないかなって。送別会しよ。俺明日休みだし」

「送別会は先週皆さんがして下さったじゃないですか。せっかく1カ月ぶりに一日お休みなんですから社長は帰ってゆっくりなさって下さい」

「えー、ダメ?行こうよ。最後なんだし」

社長から最後、という言葉を聞くと少しずつ実感が湧いてくる。寂しいな…

「なんか、気を遣わせてしまい申し訳ないです…」

「白河さんにはお世話になったし。ね、行こうよ。社長命令。」

「…ありがとうございます。着替えてきますのでお待たせしてしまいますけど…」

社長に背を向けロッカーに向かおうとすると、社長が後ろから抱きついてきた。

「もうこうするのも最後かぁ」

「そうですね…」

驚くことはない、これは社長のルーティン的なものだ。

社長は大学を卒業してから2年で会社を立ち上げて、想像を絶する努力で会社を急成長させた。社長はあたしより5つ年上だが、まだ30歳。TVや雑誌に取り上げられたこともあり会社の名前が広く知られることになったのに加え、イケメン社長としても有名になった。

鋭い目と薄い唇にそこはかとなく色気が漂っている。なのに時折見せる笑顔が可愛い。

当然、私生活でもモテているだろうし、社内でも女子社員の憧れの的だが美人な彼女がいるみたいだ。あたしと社長がいくら近い距離で仕事をしていてもプライベートなことはお互い話さないし、噂だからよくわからないけど。

もっと頑張らないとねーまだまだだから。が口癖の社長は自分にも他人にもすごく厳しい人だけど本当は繊細で、弱い部分を持ち合わせている。

いつからか、社長は癒やしを求め、あたしにハグをすることで心を保てるようになったみたいだ。

当然最初は驚いたし戸惑った。

ーごめん。けどお願い。ちょっとだけこうさせて…

もちろんこんなこと、秘書の仕事ではない。けれど普段とは違う社長の弱々しい声を聞くと断れなかった。

…戸惑いながらも嬉しくて受け入れてしまって以来、いつの間にかこうすることが当たり前になってしまった。社長が抱きついてくることに何も言わず受け入れるだけで、あたしからは何もしない。そしてハグされる以上のことは一度も無かった。

「当たり前の様にこんなことずっとしてきてごめんね。白河さんには色んな意味で助けられたよ」

「お力になれたのなら光栄です。そんな風に言って頂いて、ありがとうございます」

振り向いて、社長の目を見てお礼を言った。

「ありがとう」

社長もあたしの目を見て言ってくれた。

「着替えてきますね」

「白河さん」

社長があたしの言葉にかぶせるように名前を呼んだ。

「はい」

「…キスしていい?」

「え…?」
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