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翌朝。
カーテンの隙間から差し込む朝日と、ズキズキと響く軽い頭痛とともに、奏多は目を覚ました。
隣には、自分の腰をがっしりと抱きしめたまま眠るリオの姿。
昨夜の記憶が、濁流のように脳内に押し寄せてくる。「幻覚」だと言い張ったこと、セナに抱きついたこと、挙句の果てに通行人にまで愛想を振りまいたこと……。
「……っ、死にたい……」
奏多が枕に顔を埋めて震えていると、枕元に置いていたスマホが「チリン」と通知を鳴らした。恐る恐る画面を覗くと、そこにはセナからのメッセージが。
セナ:
「奏多さん、昨夜はお疲れ様でした!
リオさんに無事回収されてよかったです。
でも、奏多さんが泣きながら『リオくんが好きすぎて死んじゃう』って僕の胸で言ってたこと、一生の宝物にしますね!
P.S. リオさん、すっごく怖かったので、生きてたら返信ください(笑)」
「……っ、セナくん……!!」
煽りスキルの高い後輩の言葉に、奏多の顔面はゆでだこのように赤くなった。昨夜の失態がすべて事実であったことを、これ以上ない形で突きつけられた瞬間だった。
「……奏多さん、おはようございます。起きてたんですね」
低い、まだ眠気の残る声が耳元で響く。リオがゆっくりと目を開け、奏多をさらに自分の方へ引き寄せた。
「り、リオくん……おはよう。……あの、昨日は、その……」
「セナくんからのメッセージ、見ました? 僕のところにも届いてますよ。『奏多さんの抱き心地、忘れません』って。……あいつ、後で一回絞めますね」
「……ごめんなさい……」
シュンと萎れてしまった奏多。その様子を見て、リオはふっと表情を和らげた。
本当は昨夜、嫉妬で狂いそうだった。けれど、泥酔した奏多が口にしていたのは、どれも自分への不器用な愛と、寂しさの裏返しだった。
「……奏多さん。僕の方こそ、ごめんなさい。仕事とはいえ、奏多さんをあんなに不安にさせて、寂しくさせて……。僕が、足りなかったんですよね」
リオは奏多の額に優しくキスを落とした。
「今日は一日オフです。……二人で、デートに行きましょう。もちろん、変な男が寄ってこないように、僕がずっと隣を歩きますから」
数時間後。
すっかり体調を整えた二人は都内から少し離れた静かな公園へと向かった。
キャップを深く被り、マスクをしていても隠しきれない華やかなオーラを放つ二人。
奏多は、昨夜の奔放な甘えっぷりが嘘のように、いつもの控えめさに戻っていた。けれど、歩きながらそっと自分の「袖」を掴んでくる指先に、リオはたまらない愛おしさを感じる。
「……リオくん。これ、……お詫び」
奏多が差し出したのは、途中の売店で見つけた、リオが好きそうなフレーバーのアイスクリーム。
「ありがとうございます。……でも、お詫びなら、もっと別のものがいいな」
「え……?」
リオは立ち止まり、周囲に人がいないことを確認すると、奏多の手を引いて自分の方へ向けた。
「昨日の夜みたいに、……『大好き』って、シラフで言ってください。それで全部、許してあげます」
奏多は一瞬、耳まで真っ赤になったが、今度は逃げなかった。
リオの瞳を真っ直ぐに見つめ、小さな、けれど確かな声で紡ぐ。
「……だいすきだよ、リオくん。……僕だけの、リオくんでいて」
その瞬間、リオの顔に満開の笑顔が咲いた。
もう女優さんの影も、セナの煽りも、二人の間には入り込めない。
澄み切った青空の下、二人は繋いだ手を解かないまま、ゆっくりと並んで歩き出した。
カーテンの隙間から差し込む朝日と、ズキズキと響く軽い頭痛とともに、奏多は目を覚ました。
隣には、自分の腰をがっしりと抱きしめたまま眠るリオの姿。
昨夜の記憶が、濁流のように脳内に押し寄せてくる。「幻覚」だと言い張ったこと、セナに抱きついたこと、挙句の果てに通行人にまで愛想を振りまいたこと……。
「……っ、死にたい……」
奏多が枕に顔を埋めて震えていると、枕元に置いていたスマホが「チリン」と通知を鳴らした。恐る恐る画面を覗くと、そこにはセナからのメッセージが。
セナ:
「奏多さん、昨夜はお疲れ様でした!
リオさんに無事回収されてよかったです。
でも、奏多さんが泣きながら『リオくんが好きすぎて死んじゃう』って僕の胸で言ってたこと、一生の宝物にしますね!
P.S. リオさん、すっごく怖かったので、生きてたら返信ください(笑)」
「……っ、セナくん……!!」
煽りスキルの高い後輩の言葉に、奏多の顔面はゆでだこのように赤くなった。昨夜の失態がすべて事実であったことを、これ以上ない形で突きつけられた瞬間だった。
「……奏多さん、おはようございます。起きてたんですね」
低い、まだ眠気の残る声が耳元で響く。リオがゆっくりと目を開け、奏多をさらに自分の方へ引き寄せた。
「り、リオくん……おはよう。……あの、昨日は、その……」
「セナくんからのメッセージ、見ました? 僕のところにも届いてますよ。『奏多さんの抱き心地、忘れません』って。……あいつ、後で一回絞めますね」
「……ごめんなさい……」
シュンと萎れてしまった奏多。その様子を見て、リオはふっと表情を和らげた。
本当は昨夜、嫉妬で狂いそうだった。けれど、泥酔した奏多が口にしていたのは、どれも自分への不器用な愛と、寂しさの裏返しだった。
「……奏多さん。僕の方こそ、ごめんなさい。仕事とはいえ、奏多さんをあんなに不安にさせて、寂しくさせて……。僕が、足りなかったんですよね」
リオは奏多の額に優しくキスを落とした。
「今日は一日オフです。……二人で、デートに行きましょう。もちろん、変な男が寄ってこないように、僕がずっと隣を歩きますから」
数時間後。
すっかり体調を整えた二人は都内から少し離れた静かな公園へと向かった。
キャップを深く被り、マスクをしていても隠しきれない華やかなオーラを放つ二人。
奏多は、昨夜の奔放な甘えっぷりが嘘のように、いつもの控えめさに戻っていた。けれど、歩きながらそっと自分の「袖」を掴んでくる指先に、リオはたまらない愛おしさを感じる。
「……リオくん。これ、……お詫び」
奏多が差し出したのは、途中の売店で見つけた、リオが好きそうなフレーバーのアイスクリーム。
「ありがとうございます。……でも、お詫びなら、もっと別のものがいいな」
「え……?」
リオは立ち止まり、周囲に人がいないことを確認すると、奏多の手を引いて自分の方へ向けた。
「昨日の夜みたいに、……『大好き』って、シラフで言ってください。それで全部、許してあげます」
奏多は一瞬、耳まで真っ赤になったが、今度は逃げなかった。
リオの瞳を真っ直ぐに見つめ、小さな、けれど確かな声で紡ぐ。
「……だいすきだよ、リオくん。……僕だけの、リオくんでいて」
その瞬間、リオの顔に満開の笑顔が咲いた。
もう女優さんの影も、セナの煽りも、二人の間には入り込めない。
澄み切った青空の下、二人は繋いだ手を解かないまま、ゆっくりと並んで歩き出した。
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