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66. 再生
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二人が支え合うようにしてゆっくりと病室に戻ると、そこには案の定、血相を変えたリオが待ち構えていた。
「二人とも……! どこに行ってたんですか!!」
リオの声が静かな病棟に響く。その瞳は真っ赤に腫れ上がり、怒りと不安で今にもまた決壊しそうだった。
「奏多さん、点滴も繋がったまま勝手に出歩くなんて……! もし何かあったらどうするつもりだったんですか!? 看護師さんもすごく探してたんですよ! 颯真さんも、奏多さんを止めるどころか一緒になって消えるなんて、リーダーとして信じられません!!」
「ごめん、リオくん。……ちょっと、大事な話をしてて」
颯真がまだ涙の跡が残る顔を伏せながら謝るが、リオの追及は止まらない。詰め寄るように奏多の肩を掴んだリオが、ふと鼻先を動かし、不審そうに目を細めた。
「……えっ。ちょっと待ってください。奏多さん、何ですかこの匂い……」
リオは奏多の胸元に顔を近づけ、くんくんと鼻を鳴らす。
「……煙草? 嘘でしょ、奏多さん、煙草の匂いがします! 颯真さんの匂いが移ったとかじゃなくて、もっと直接的な……」
「あはは……。バレちゃった?」
奏多が苦笑いしながら頬を掻くと、リオの顔が驚愕に染まった。
「奏多さん……まさか、吸ったんですか!? 病院で!? しかも怪我人なのに!? 奏多さんに限ってそんなこと……っていうか、そもそも吸えないはずじゃ……!」
「実はね、昔ちょっと……。さっき颯真から一本奪っちゃった。ね、颯真?」
「奪ったというか奏多が勝手に……。いや、吸わせた俺が悪い。ごめんリオくん」
絶望したような顔で天を仰ぐリオ。
「もう……! 颯真さんのせいで奏多さんが不良になっちゃった!! 事故の後遺症で頭までおかしくなっちゃったんだ、そうに違いない!!」
「そこまで言わなくてもいいじゃん、リオくん……」
奏多の困ったような笑い声と、リオの怒鳴り声、そして颯真の力ない謝罪。
病室には、昨夜までの重苦しい死の影はもうどこにもなかった。
「もういいです! 奏多さん、今すぐベッドに戻って! 颯真さんは今すぐその服を着替えてきてください! 匂いがうつる!!」
リオに急かされ、奏多は苦笑しながらベッドへ潜り込む。
颯真は小さくなって病室を出ていき、リオはかいがいしく奏多の毛布を整え始めた。
「……リオくん。心配かけてごめんね」
奏多が静かにそう言うと、リオは一瞬手を止め、それから消え入りそうな声で「……本当に、生きててくれてよかったです」と呟いた。
最悪の夜が明け、彼らの「日常」が、少しずつ、けれど確実に再生し始めていた。
「二人とも……! どこに行ってたんですか!!」
リオの声が静かな病棟に響く。その瞳は真っ赤に腫れ上がり、怒りと不安で今にもまた決壊しそうだった。
「奏多さん、点滴も繋がったまま勝手に出歩くなんて……! もし何かあったらどうするつもりだったんですか!? 看護師さんもすごく探してたんですよ! 颯真さんも、奏多さんを止めるどころか一緒になって消えるなんて、リーダーとして信じられません!!」
「ごめん、リオくん。……ちょっと、大事な話をしてて」
颯真がまだ涙の跡が残る顔を伏せながら謝るが、リオの追及は止まらない。詰め寄るように奏多の肩を掴んだリオが、ふと鼻先を動かし、不審そうに目を細めた。
「……えっ。ちょっと待ってください。奏多さん、何ですかこの匂い……」
リオは奏多の胸元に顔を近づけ、くんくんと鼻を鳴らす。
「……煙草? 嘘でしょ、奏多さん、煙草の匂いがします! 颯真さんの匂いが移ったとかじゃなくて、もっと直接的な……」
「あはは……。バレちゃった?」
奏多が苦笑いしながら頬を掻くと、リオの顔が驚愕に染まった。
「奏多さん……まさか、吸ったんですか!? 病院で!? しかも怪我人なのに!? 奏多さんに限ってそんなこと……っていうか、そもそも吸えないはずじゃ……!」
「実はね、昔ちょっと……。さっき颯真から一本奪っちゃった。ね、颯真?」
「奪ったというか奏多が勝手に……。いや、吸わせた俺が悪い。ごめんリオくん」
絶望したような顔で天を仰ぐリオ。
「もう……! 颯真さんのせいで奏多さんが不良になっちゃった!! 事故の後遺症で頭までおかしくなっちゃったんだ、そうに違いない!!」
「そこまで言わなくてもいいじゃん、リオくん……」
奏多の困ったような笑い声と、リオの怒鳴り声、そして颯真の力ない謝罪。
病室には、昨夜までの重苦しい死の影はもうどこにもなかった。
「もういいです! 奏多さん、今すぐベッドに戻って! 颯真さんは今すぐその服を着替えてきてください! 匂いがうつる!!」
リオに急かされ、奏多は苦笑しながらベッドへ潜り込む。
颯真は小さくなって病室を出ていき、リオはかいがいしく奏多の毛布を整え始めた。
「……リオくん。心配かけてごめんね」
奏多が静かにそう言うと、リオは一瞬手を止め、それから消え入りそうな声で「……本当に、生きててくれてよかったです」と呟いた。
最悪の夜が明け、彼らの「日常」が、少しずつ、けれど確実に再生し始めていた。
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