この小説に「いいね」がない場合、主人公は死にます

葉山 乃愛

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第3話:残り15時間と、黒い封筒の火種

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おい、画面の前のあんた。


冗談だろ?


公開から9時間が経った。
俺の視界の隅に浮かぶウィンドウには、絶望的な数字が並んでいる。


第1話、20いいね。
第2話、20いいね。


……ふざけんな。


ノルマの50まで、あと30も足りない。
タイムリミットまで残り15時間。
このままじゃ、復讐を始める前に俺の脳は首のチップで文字通り黒焦げに焼かれる。


あんたたち、俺が本当にのたうち回って死ぬところが見たいのか?
それとも、ただの脅しだと思って高みの見物を決め込んでるのか?


俺が死ねば、この胸糞悪いデスゲームの配信も、あいつを殺したクズどもへの復讐も、全部そこで終わりだぞ。


頼む。ページをめくる前に、そのボタンをタップしてくれ。
俺はまだ死ねないんだ。


俺が冷や汗を流しながら内心で命乞いをしている間にも、現実の教室では最悪のショーが進行している。


「――30日、だって……?」


教卓のモニターから告げられた絶望的な期間に、鈴木大地が震える声で呟いた。


「嘘だろ……水も食料もどうするんだよ! ここから出せ!!」


感電した右腕を押さえながら、岡田竜司が血走った目でカメラを睨みつける。
女子たちは恐怖で泣き崩れ、教室は完全にパニックに陥っていた。


だが、モニターの奥にいる主催者……あいつの親は、無慈悲に言葉を続ける。


『この30日間、君たちにはここで自給自足の生活を送ってもらう。
そして、互いをより深く理解するために、ささやかなプレゼントを用意した』


無機質な合成音声が響く。


『教室の後ろを見てくれたまえ。君たちの個人ロッカーに、最初の火種を入れておいた』


俺は痙攣しそうになる顔の筋肉を必死に抑え込み、完璧な優等生の仮面を貼り付けた。


「……みんな、落ち着いて。まずは確認しよう」


俺が促すと、クラスメイトたちは恐る恐る自分の番号のロッカーへと近づいた。
鍵は開いている。


俺が真っ先にロッカーを開けると、中から真っ黒な封筒が落ちてきた。
表には、白文字で『罪の告発』と印刷されている。


「何よ、これ……」


橋本彩乃が、震える指で自分の封筒を開けた。


中に入っていたカードを一瞥した瞬間。
彼女の顔から、サァッと血の気が引いた。


「……ッ! ふざけんな! なんで俺の……!」


隣でカードを見た木村拓海が、激昂してロッカーを蹴り飛ばす。


当然だ。
そのカードには、こいつらが一生隠し通したかったはずの、おぞましい秘密が書かれているんだから。


あいつを死に追いやった、汚い本性が。


「嘘だ、嘘だ……。なんで知ってるんだよ、こんなこと……!」


お調子者の中村樹が、膝から崩れ落ちてガタガタと震え始めた。
彼はプレッシャーに極端に弱く、保身のためなら平気で嘘をつく。


俺はすかさず、中村のそばに近寄った。


(いいぞ。もっと怯えろ。もっと醜く喚き散らせ)


ここでこいつを徹底的に追い詰めれば、画面の向こうのあんたたちも少しは面白がってくれるはずだ。
そうすれば、いいねのカウンターも回る。


「中村、大丈夫か? 何が書かれているんだ?」


俺はこれ以上ないほど心配そうな声を出して、中村の肩を抱き寄せた。


俺の首のチップが、タイムリミットを警告するように微かに熱を持ち始めている。
早く。早く場を荒立てて、数字を稼がなきゃならない。


さあ、唯一の味方さん。
俺がこのクズどもを互いに噛みちぎらせるための、最初の餌を撒くぜ。


俺が脳を焼かれる前に、その指先で俺に力を貸してくれ。
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