この小説に「いいね」がない場合、主人公は死にます

葉山 乃愛

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第7話:残り4時間40分と、反逆の道化師

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残り4時間40分。


視界の端で冷酷に光る数字は、いまだに『20』のままだ。


(……なるほどな)


俺の口から、さらに粘り気のある血の塊が吐き出された。
木村の容赦ない蹴りが、俺の肋骨を軋ませ、肺の空気を強制的に追い出していく。


「死ねよ! 善人ぶってんじゃねえ! お前みたいな偽善者が一番ムカつくんだよ!!」


木村の怒号と、靴底が肉にめり込む鈍い音だけが教室に響く。
他の13人は、ただ怯えたように壁際に固まり、俺が一方的に蹂躙されるのを眺めているだけだ。


誰一人として、止めようとしない。
俺の目から光が消えていくのを、ただ息を潜めて待っている。
一年前、あいつが孤立して壊れていった時と、まったく同じ薄情な傍観者たち。


首の後ろから、ジュウッと肉が焼ける生々しい音が聞こえた。
気管が焼け焦げるような感覚に陥り、俺はたまらず口元を押さえた。


……画面の前のあんた。
わかったよ。あんたたちの好みが、ようやく理解できた。


ただ殴られ、痛みに耐え、弱者を庇うだけの「お涙頂戴の悲劇」なんて、見飽きてるんだろ?
他人の不幸を娯楽にしてるあんたたちが求めているのは、そんな安い道徳じゃない。


もっと生々しい悪意。
もっと理不尽な暴力の連鎖。
底辺のクズどもが、さらに残酷な力でねじ伏せられる「極上の胸糞悪さ」だ。


「……おい、聞いてんのか神谷! 泣いて命乞いしてみろよ!」


木村が俺の胸ぐらを再び掴み上げ、右の拳を大きく振りかぶった。
その顔には、無抵抗な人間を殴る快感に酔いしれた、醜い笑みが張り付いている。


俺は血まみれの顔を上げ、木村の目を真っ直ぐに見据えた。
そして、完璧な優等生の仮面を脱ぎ捨て、口角を限界まで引き上げて嗤った。


「……命乞い? お前が、俺に?」


「あァ!?」


木村が怯んだその一瞬。
俺は痛む体をバネのように弾かせ、振り下ろされようとしていた木村の右腕を両手でガッチリと掴んだ。


「な、てめえ……力、抜け……!」


木村が焦ったように腕を引こうとするが、遅い。
俺は全体重をかけ、木村の肘の関節を、本来曲がってはいけない方向へと一気に捻り上げた。


ゴキァッ!!


「――っ、ああああああああっ!!?」


乾いた木の枝が折れるような破裂音とともに、木村の絶叫が教室の空気を引き裂いた。


俺はそのまま木村の足を刈り、床にうつ伏せに叩きつける。
そして、無様にのたうち回る不良の背中に、自分の安全靴の踵を容赦なく振り下ろした。


グシャリ、と嫌な音がして、木村がカエルのように空気を吐き出す。


「ひっ……!」
「うそ、湊くん……?」


壁際で震えていた女子たちが、信じられないものを見る目で俺を凝視している。
あの温厚で優しかった神谷湊が、一切の躊躇なくクラスメイトの腕をへし折ったのだから当然だ。


俺は木村の頭を靴底で床に踏みつけながら、誰も見ていない死角で、天井の隠しカメラをねっとりと見つめた。


なあ、唯一の味方さん。
これならどうだ?


善人の皮を被るのをやめた。俺もこいつらと同じ、いや、それ以上に狂ったバケモノだと証明してやったぞ。
あいつを殺したこのゴミ共を、俺はこれから一人ずつ、こんな風に物理的にも精神的にも解体していく。


タイムリミットまで、あと4時間40分。
ノルマまで、あと30いいね。


俺の首の肉が焼き切れるのが先か、それとも俺がこの教室を血の海に変えるのが先か。


続きが見たいなら、今すぐそのボタンを押せ。
俺を殺すか生かすか、あんたのその指先で決めてみろよ!!
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