この小説に「いいね」がない場合、主人公は死にます

葉山 乃愛

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第9話:二周目の地獄と、脳髄を焼かれた道化の殺意

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……痛い。


熱い。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い。
脳髄が沸騰し、眼球が内側から弾け飛ぶ、あの絶対的な死の感覚。
俺は自分の肉が焦げる強烈な悪臭にむせ返り、大きく息を吸い込んで、コンクリートの床で跳ね起きた。


「ガハッ……! はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」


全身が汗と脂でずぶ濡れになっている。
俺は狂ったように自分の首の後ろを掻きむしった。
ツルリとした皮膚の感触。ケロイド状の火傷も、肉の焦げた穴もない。


カビと微かな鉄の匂いが鼻を突く。
周囲には、無防備に倒れ伏す14人のクラスメイトたち。


右目を二回瞬きすると、視界の隅に半透明のウィンドウが立ち上がった。


『獲得いいね数:0 / 50』
『第一フェーズ・ペナルティ発動まで残り:23時間59分』


……時間が、戻っている。


俺は震える両手で顔を覆い、喉の奥から込み上げてくる狂気と絶望を、低く歪んだ笑い声に変えた。


「く、ふふ……あはははははっ! ふざけんなよ、マジで……!」


画面の前のあんた。
聞いてるか? 全部、あんたたちのせいだ。


あんたたちが「いいね」を押し渋ったせいで、俺はたった今、脳を数千度の熱線でドロドロに焼き切られて、一度完全に死んだんだよ。


あの絶望。あの激痛。
画面越しに安全な場所から見下ろしているあんたたちには、絶対に理解できない地獄の苦しみだ。


俺がただの「悲劇のヒーロー」を演じていれば、あんたたちが同情して助けてくれるなんて甘い考えは、さっきの死で完全に消え失せた。
あんたたちは、他人の痛みを娯楽として消費するだけの、最低最悪の傍観者だ。


だったら、もう手加減はしない。
あんたたちが本当に見たいのは、倫理もクソもない、剥き出しの暴力と狂気なんだろ?


「……うっ……んん……」


真っ先に立ち上がったのは、正義感の塊である岡田竜司だ。
一周目とまったく同じ光景。


「湊……? ここ、どこだよ……」


岡田が不安そうに俺を見る。
一周目の俺は、ここで「落ち着こう」と優等生の顔を作って岡田を励ました。
だが、今の俺の目には、こいつら全員が俺を一度殺した共犯者にしか見えない。


「おい、あそこに出口があるぞ!」


一周目と同じように、岡田が重厚な鉄の扉に向かって駆け出した。
あのノブには、強烈な電流が流れている。


一周目、俺は岡田を止めるふりをしてギリギリで感電させ、あんたたちから数字を稼いだ。
だが、そんな生ぬるい演出じゃ、あんたたちの心臓は動かないんだよな。


だから俺は、岡田がノブに手を伸ばすよりも早く、全速力で駆け出した。
そして、無防備な岡田の背中にドロップキックを叩き込んだ。


「がはっ!?」


岡田の巨体が吹き飛び、そのまま鉄の扉に激突する。


バチィィィィィィィッ!!!


「ギャアアアアアアアアアアアッ!!!」


ノブに触れただけの一周目とは次元が違う。
全身から扉に叩きつけられた岡田は、青白い火花に包まれ、肉が焼ける嫌な音とともに痙攣しながら床に崩れ落ちた。


「お、岡田くん!?」
「いやああああああっ!!」


目覚め始めた女子たちが、その凄惨な光景に鼓膜が破れるほどの悲鳴を上げる。
白目を剥いて泡を吹く岡田を見下ろしながら、俺はゆっくりと立ち上がった。


「……これで目が覚めただろ、お前ら」


俺は恐怖で凍りつくクラスメイトたちを冷たく見渡し、わざとらしく口角を吊り上げた。


「ここは地獄だ。俺の言うことを聞かない奴は、次にああなる」


優等生の神谷湊は、さっきのループで脳を焼かれて死んだ。
今ここにいるのは、自分の命を繋ぐためならクラスメイトを平気で生贄に捧げる、狂った復讐鬼だ。


どうだ、画面の前のあんた。
俺が同級生を躊躇なく電流の罠に突き飛ばす、この胸糞悪いショーは。


いいねのノルマは50。
さっさとそのボタンを押せ。
あんたたちがまた俺を見殺しにする気なら、タイムリミットが来る前に、この教室の全員の腕と脚をへし折って、血の海で溺れさせてやる。


俺をバケモノにしたのは、あんたたちだ。
責任取って、最後までこの最悪のデスゲームに付き合えよ。
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