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「何もしてない」と追放されたが、俺は『確率操作』で敵の攻撃を全部逸らしていただけだ。解除した瞬間、雑魚の石つぶてで即死しても知らないぞ
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「おい、ルカ。お前、さっきの戦闘でも突っ立ってるだけだったな」
ダンジョンの通路で、リーダーの剣士ガイルが足を止めた。
彼は私の胸ぐらを掴み上げ、怒鳴り散らした。
「俺たちが命がけで戦ってるのに、お前は後ろでサイコロ遊びか? ふざけるな!」
私の手には、スキル発動の触媒である二つのサイコロが握られている。
「……ガイル。私は遊んでいるわけじゃない。この『運命のダイス』で確率を操作して、君たちへの被弾率を『0%』に固定していたんだ」
「はぁ? 確率? 寝言は寝て言え! 俺が無傷なのは、俺の回避能力が高いからだ! お前のオカルトグッズのおかげじゃねぇよ!」
ガイルは私の手を振り払い、サイコロを地面に叩きつけた。
コロコロと転がったサイコロは、不吉な『1』の目で止まった。
「あーあ。……それ、強制解除の出目だよ」
「うるせぇ! もういい、お前はクビだ! 運任せの役立たずは消えろ!」
後ろにいた弓使いのサラも、冷ややかな視線を向けてくる。
「そうね。ルカがいると気が散るのよ。運とか確率とか、そんな不確定なものに頼るなんてナンセンスだわ」
私は肩をすくめた。
彼らは知らない。このダンジョンの魔物が放つ攻撃は、本来なら必中レベルの精度を持っていることを。
私が毎秒ダイスを振り続け、何万分の一の奇跡(=全回避)を常に引き当て続けていたことを。
「分かったよ。じゃあ、僕はここで抜ける。……忠告しておくけど、これからは『運が悪かった』じゃ済まないからね」
「負け惜しみは見苦しいぞ! さっさと行け!」
私は荷物をまとめ、反対方向へと歩き出した。
彼らとの『運命連鎖』のパスはもう切れている。
今の彼らは、幸運の加護を失ったただの人間だ。
その時だった。
ヒュンッ。
暗闇から、何かが飛んでくる音がした。
それは、最弱モンスターであるゴブリンが適当に投げた、ただの小石だった。
「はんっ、雑魚が! こんな石ころ、俺の神回避で……」
ガイルは余裕の笑みで首を傾けた。
いつもなら、石はありえない軌道を描いて逸れていくはずだった。
ガッ!!!
「ぶげぇっ!?」
鈍い音が響き、ガイルが白目を剥いて倒れた。
小石がこめかみに直撃したのだ。
「えっ……? ガイル!?」
「い、いてぇ……なんでだ? なんで当たった? 俺の回避は完璧なはず……」
ガイルがよろよろと立ち上がろうとした瞬間、足元の小石に躓いた。
ズドンッ!
「ぎゃあああっ!!」
転んだ拍子に、自分の剣が鞘から抜け落ち、その刃の上に顔面から突っ込んでしまったのだ。
鼻と口が裂け、鮮血が噴き出す。
「い、いやぁぁぁ! ガイルの顔が!」
「なんだこれ!? こんな不幸、ありえないだろ!?」
「ありえるよ。それが『確率』だ」
私は遠くから声をかけた。
「君が今まで無茶な回避をしてこれた反動だ。確率の収束が始まったんだよ。これからは、歩けば石に躓き、宝箱は全てミミックで、攻撃は全てクリティカルヒットを受けることになる」
「う、嘘だ……ルカ! 助けてくれ! ダイスを! ダイスを振ってくれぇぇ!」
血まみれの顔でガイルが叫ぶ。
その背後から、ゴブリンの大群が迫ってきていた。
普段なら錆びた剣を持った雑魚だが、今の彼らにとっては、一撃必殺の死神に見えるだろう。
「ごめんね。僕のダイスは、もう『自分自身の幸運』のためにしか振らないって決めたんだ」
私はポケットから新しいサイコロを取り出し、軽く振った。
出た目は最高の『6』。
帰り道にレアアイテムを拾う暗示だ。
「ギャアアアアアッ!!」
背後で響く断末魔を聞き流しながら、私は鼻歌交じりでダンジョンを後にした。
ダンジョンの通路で、リーダーの剣士ガイルが足を止めた。
彼は私の胸ぐらを掴み上げ、怒鳴り散らした。
「俺たちが命がけで戦ってるのに、お前は後ろでサイコロ遊びか? ふざけるな!」
私の手には、スキル発動の触媒である二つのサイコロが握られている。
「……ガイル。私は遊んでいるわけじゃない。この『運命のダイス』で確率を操作して、君たちへの被弾率を『0%』に固定していたんだ」
「はぁ? 確率? 寝言は寝て言え! 俺が無傷なのは、俺の回避能力が高いからだ! お前のオカルトグッズのおかげじゃねぇよ!」
ガイルは私の手を振り払い、サイコロを地面に叩きつけた。
コロコロと転がったサイコロは、不吉な『1』の目で止まった。
「あーあ。……それ、強制解除の出目だよ」
「うるせぇ! もういい、お前はクビだ! 運任せの役立たずは消えろ!」
後ろにいた弓使いのサラも、冷ややかな視線を向けてくる。
「そうね。ルカがいると気が散るのよ。運とか確率とか、そんな不確定なものに頼るなんてナンセンスだわ」
私は肩をすくめた。
彼らは知らない。このダンジョンの魔物が放つ攻撃は、本来なら必中レベルの精度を持っていることを。
私が毎秒ダイスを振り続け、何万分の一の奇跡(=全回避)を常に引き当て続けていたことを。
「分かったよ。じゃあ、僕はここで抜ける。……忠告しておくけど、これからは『運が悪かった』じゃ済まないからね」
「負け惜しみは見苦しいぞ! さっさと行け!」
私は荷物をまとめ、反対方向へと歩き出した。
彼らとの『運命連鎖』のパスはもう切れている。
今の彼らは、幸運の加護を失ったただの人間だ。
その時だった。
ヒュンッ。
暗闇から、何かが飛んでくる音がした。
それは、最弱モンスターであるゴブリンが適当に投げた、ただの小石だった。
「はんっ、雑魚が! こんな石ころ、俺の神回避で……」
ガイルは余裕の笑みで首を傾けた。
いつもなら、石はありえない軌道を描いて逸れていくはずだった。
ガッ!!!
「ぶげぇっ!?」
鈍い音が響き、ガイルが白目を剥いて倒れた。
小石がこめかみに直撃したのだ。
「えっ……? ガイル!?」
「い、いてぇ……なんでだ? なんで当たった? 俺の回避は完璧なはず……」
ガイルがよろよろと立ち上がろうとした瞬間、足元の小石に躓いた。
ズドンッ!
「ぎゃあああっ!!」
転んだ拍子に、自分の剣が鞘から抜け落ち、その刃の上に顔面から突っ込んでしまったのだ。
鼻と口が裂け、鮮血が噴き出す。
「い、いやぁぁぁ! ガイルの顔が!」
「なんだこれ!? こんな不幸、ありえないだろ!?」
「ありえるよ。それが『確率』だ」
私は遠くから声をかけた。
「君が今まで無茶な回避をしてこれた反動だ。確率の収束が始まったんだよ。これからは、歩けば石に躓き、宝箱は全てミミックで、攻撃は全てクリティカルヒットを受けることになる」
「う、嘘だ……ルカ! 助けてくれ! ダイスを! ダイスを振ってくれぇぇ!」
血まみれの顔でガイルが叫ぶ。
その背後から、ゴブリンの大群が迫ってきていた。
普段なら錆びた剣を持った雑魚だが、今の彼らにとっては、一撃必殺の死神に見えるだろう。
「ごめんね。僕のダイスは、もう『自分自身の幸運』のためにしか振らないって決めたんだ」
私はポケットから新しいサイコロを取り出し、軽く振った。
出た目は最高の『6』。
帰り道にレアアイテムを拾う暗示だ。
「ギャアアアアアッ!!」
背後で響く断末魔を聞き流しながら、私は鼻歌交じりでダンジョンを後にした。
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