【短編集】読む精神安定剤。理不尽な彼らが「3分」で地獄に落ちる、極上の「ざまぁ」詰め合わせ

葉山 乃愛

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「貧乏人は出て行け」と婚約破棄されたが、このタワマンのオーナーは僕だ。来月から君の部屋の家賃、3倍にするけど払える?

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「タカシ、婚約破棄しましょ。この指輪も返すわ」

都内の一等地にあるタワーマンションの最上階ラウンジ。
婚約者のレナが、安っぽい指輪をテーブルに放り投げた。

「……急だな。理由は?」

「だって貴方、いつまで経っても『個人投資家』なんて怪しい無職じゃない。私ね、このマンションに住んでるエリート商社マンの彼と知り合ったの。彼は年収1500万で、30階の部屋に住んでるのよ!」

レナの隣から、キザな男が現れ、僕を見下して笑った。

「やあ。君がレナちゃんのヒモ男くん? 悪いけど、彼女は僕が幸せにするよ。君みたいな貧乏人は、このタワマンのゲートをくぐるのも相応しくないな」

レナが男の腕にしなだれかかる。
「そうよタカシ。貴方、いつもジャージだし、このラウンジも私のカードで入ってるんでしょ? 惨めね。ここ、住人専用なんだから早く出て行ってくれる?」

僕はため息をつき、スマホを取り出した。
管理会社への連絡画面を開く。

「レナ。僕がジャージなのは、家から出なくても株と不動産収入だけで生活できるからだ。あと、君たちが住んでいるこのタワーマンション、僕が『一棟買い』した物件だって知らなかった?」

「は? ……何言ってんの? オーナー? 頭おかしくなった?」

「僕はこのマンションの最上階(ペントハウス)に住んでるオーナーだよ。君が住んでる10階の部屋も、その彼氏の30階の部屋も、全部僕が貸してるんだ」

「はっ! 嘘つくなよ! オーナーは『T・ヤマダ』って名前だぞ!」

商社マンが叫ぶ。

「ああ、タカシ・ヤマダ。僕だけど?」

僕は免許証をテーブルに置いた。
そこには確かに『山田タカシ』の名前と、このマンションの住所が記載されている。

「えっ……? ほ、本当……? じゃあ、あの噂の資産50億のオーナーって……」

レナの顔が真っ青になる。

「さて、オーナー権限を行使しようか。ちょうど来月、契約更新月だったね。君たちの部屋の家賃、相場が上がったから『3倍』に改定するよ。払えないなら退去勧告だ」

「さ、3倍!? 今の家賃30万だぞ!? 90万なんて払えるわけないだろ!」

「なら出て行ってくれ。あと、このラウンジの使用権限も剥奪する。不法侵入になるから、警備員を呼ぶ前に失せろ」

「ま、待ってタカシ! 冗談よね!? 私、やっぱり貴方が好き! 商社マンなんてどうでもいいの!」

レナが僕の足元にすがりつくが、僕は冷たく振り払った。

「貧乏人は出て行けと言ったのは君だ。……警備員さん、つまみ出して」

駆けつけた警備員に引きずられていく二人を見ながら、僕は冷めたコーヒーを飲み干した。
空いた部屋、次はもっと静かな人を住まわせよう。
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