【短編集】読む精神安定剤。理不尽な彼らが「3分」で地獄に落ちる、極上の「ざまぁ」詰め合わせ

葉山 乃愛

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「泥水みたいな薬」と追放されたが、それは『不死の霊薬』の原液だ。薄めず飲ませてたから無敵だったのに、普通の薬で即死しないか?

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「おい、ルーク。お前の作るポーション、不味すぎるんだよ」

Sランクパーティーのリーダーである勇者アレクが、渡された瓶を地面に投げつけた。
ガラスが割れ、ドス黒い液体が飛び散る。

「……不味い? 良薬口に苦しと言うだろう」

「限度があるだろ! 泥水みたいな味がするし、喉が焼けるように熱い! 街で売ってるポーションはもっと甘くてフルーティーだぞ。お前の腕が悪いから、こんなゴミしか作れないんだ」

アレクの言葉に、聖女も同調する。
「そうですよぉ。ルークさんのポーション、飲むと肌がピリピリするんです。もっと可愛らしい色のポーションが飲みたいですぅ」

私は割れた瓶を見つめた。
彼らが飲んでいたのは、私がダンジョンの深層で採取した『世界樹の樹液』を濃縮した、特製の『超回復薬(エリクサー・オリジン)』だ。
即死ダメージすら瞬時に修復する代物だが、その代償として味は最悪で、体への負担も大きい。

「アレク。君の戦闘スタイルは防御を捨てた特攻だ。普通のポーションじゃ、君の受けるダメージ回復に間に合わない。この『原液』を飲んでいるから、君はゾンビのように戦えているんだぞ」

「はっ! 俺がゾンビ? 俺は『勇者』だ! 俺の肉体が最強だから死なないだけだ! お前の不味い汁のおかげじゃねぇよ!」

アレクは剣を突きつけた。

「もう我慢ならねぇ。クビだ! これからは、街で一番高い『高級フルーツポーション』を買い込んで冒険する! お前みたいなヤブ医者は消えろ!」

「……そうですか。では、残りのストックは全て私が引き取ります」

私はアイテムボックスに、彼らが捨てた「泥水」を回収し、キャンプを去った。

数時間後。
私は遠く離れた丘の上から、彼らがドラゴンに挑む様子を眺めていた。

「へへっ、見ろよこの甘いポーション! 最高だぜ! いくぞオラァッ!」

アレクが高級ポーションを一気飲みし、ドラゴンのブレスに真正面から突っ込んでいく。
いつもなら、皮膚が焼けた瞬間に再生するはずだ。

ボォォォォォッ!!

「ぐあぁぁぁっ!? あ、熱い!? 痛い痛い痛い!!」

「えっ、アレク様!? 回復してない!? ポーション飲んだのに!?」

「再生しねぇ! なんでだ!? 甘くて美味いのに!! ぎゃあああ腕がぁぁぁ!!」

当然だ。市販のポーションの回復量は『50』。
ドラゴンのブレスのダメージは『5000』。
焼け石に水だ。

「ルーク! ルークあの泥水をくれぇぇ! あれがないと死ぬぅぅぅ!」

黒焦げになったアレクが、這いつくばりながら私の名前を叫ぶ。
だが、その声はドラゴンの追撃で途切れた。
良薬は口に苦い。その味が分かる頃には、もう命はないのだ。
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