21 / 30
「月額1000円が高い」と解約されたが、それは『魔力使い放題プラン』の旧料金だ。再契約は現在1億円かかるけど払える?
しおりを挟む
「おい、この毎月引かれてる『維持費』ってなんだ?」
パーティーの金庫番をしている私に、リーダーの勇者ゴードンが通帳を突きつけてきた。
「……これは、私が精霊王と契約している『魔力供給サブスクリプション』の月額料金だよ」
「サブスク? 月1000ゴールド? 馬鹿かお前! 毎月こんな金払ってたのか! 俺たちの稼ぎをドブに捨てやがって!」
ゴードンは激昂し、机を叩いた。
魔導師のマリナも呆れ顔だ。
「信じられない。私なんて、自分のMPだけでやりくりしてるのに。1000ゴールドあったら、新しい服が買えるじゃない」
私は冷静に説明した。
「待ってくれ。この契約は、私が子供の頃に精霊王と結んだ『祖父の代からの特別旧プラン』なんだ。たった1000ゴールドで、パーティー全員のMPが無限に回復する。今この契約を解除したら、二度と同じ条件では……」
「うるせぇ! 無限回復だぁ? どうせお前が着服するための嘘だろ! 今すぐ解約しろ! そしてお前もクビだ! 金の無駄遣い野郎!」
ゴードンは私の契約書を奪い取り、ビリビリに破り捨てた。
「あーあ……。知らないよ?」
「知るか! 出て行け!」
私はギルドを追い出された。
破られた契約書の切れ端が、風に舞って消えていく。
翌日。
ダンジョンに潜ったゴードンたちから、悲痛な連絡が入ったのは昼過ぎだった。
『お、おい! 魔法が出ねぇぞ! MPが空っぽだ!』
水晶越しのゴードンの声は震えていた。
『一発撃ったらガス欠だ! どうなってんだ! マリナも倒れた!』
「当然だろ。今まで君たちが湯水のように魔法を使えていたのは、僕のサブスクのおかげだ。解約したから、供給が止まったんだよ」
『ぐっ……わ、悪かった! 金なら払う! 1000ゴールドだろ? すぐ払い直すから契約してくれ!』
「ああ、それなんだけど」
私は手元の新しい契約書を見た。
「一度解約すると『新規契約』扱いになるんだ。昨今の魔力不足とインフレで、現在の精霊王との契約金は……初期費用『1億ゴールド』、月額『500万ゴールド』になってるよ」
『はぁぁぁぁ!? いちおく!? ふざけんな! 払えるわけねぇだろ!!』
「じゃあ、MPなしで頑張って。目の前のオーガ、魔法耐性高いけど物理で殴り倒せるかな?」
『ギャアアアア! こっち来んな! 魔法! 魔法をくれぇぇぇ!!』
通信が切れた。
旧プランの権利を手放すというのは、現代でもファンタジーでも、破滅を意味する愚行なのだ。
パーティーの金庫番をしている私に、リーダーの勇者ゴードンが通帳を突きつけてきた。
「……これは、私が精霊王と契約している『魔力供給サブスクリプション』の月額料金だよ」
「サブスク? 月1000ゴールド? 馬鹿かお前! 毎月こんな金払ってたのか! 俺たちの稼ぎをドブに捨てやがって!」
ゴードンは激昂し、机を叩いた。
魔導師のマリナも呆れ顔だ。
「信じられない。私なんて、自分のMPだけでやりくりしてるのに。1000ゴールドあったら、新しい服が買えるじゃない」
私は冷静に説明した。
「待ってくれ。この契約は、私が子供の頃に精霊王と結んだ『祖父の代からの特別旧プラン』なんだ。たった1000ゴールドで、パーティー全員のMPが無限に回復する。今この契約を解除したら、二度と同じ条件では……」
「うるせぇ! 無限回復だぁ? どうせお前が着服するための嘘だろ! 今すぐ解約しろ! そしてお前もクビだ! 金の無駄遣い野郎!」
ゴードンは私の契約書を奪い取り、ビリビリに破り捨てた。
「あーあ……。知らないよ?」
「知るか! 出て行け!」
私はギルドを追い出された。
破られた契約書の切れ端が、風に舞って消えていく。
翌日。
ダンジョンに潜ったゴードンたちから、悲痛な連絡が入ったのは昼過ぎだった。
『お、おい! 魔法が出ねぇぞ! MPが空っぽだ!』
水晶越しのゴードンの声は震えていた。
『一発撃ったらガス欠だ! どうなってんだ! マリナも倒れた!』
「当然だろ。今まで君たちが湯水のように魔法を使えていたのは、僕のサブスクのおかげだ。解約したから、供給が止まったんだよ」
『ぐっ……わ、悪かった! 金なら払う! 1000ゴールドだろ? すぐ払い直すから契約してくれ!』
「ああ、それなんだけど」
私は手元の新しい契約書を見た。
「一度解約すると『新規契約』扱いになるんだ。昨今の魔力不足とインフレで、現在の精霊王との契約金は……初期費用『1億ゴールド』、月額『500万ゴールド』になってるよ」
『はぁぁぁぁ!? いちおく!? ふざけんな! 払えるわけねぇだろ!!』
「じゃあ、MPなしで頑張って。目の前のオーガ、魔法耐性高いけど物理で殴り倒せるかな?」
『ギャアアアア! こっち来んな! 魔法! 魔法をくれぇぇぇ!!』
通信が切れた。
旧プランの権利を手放すというのは、現代でもファンタジーでも、破滅を意味する愚行なのだ。
1
あなたにおすすめの小説
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
今更家族だなんて言われても
広川朔二
ライト文芸
父は母に皿を投げつけ、母は俺を邪魔者扱いし、祖父母は見て見ぬふりをした。
家族に愛された記憶など一つもない。
高校卒業と同時に家を出て、ようやく手に入れた静かな生活。
しかしある日、母の訃報と共に現れたのは、かつて俺を捨てた“父”だった――。
金を無心され、拒絶し、それでも迫ってくる血縁という鎖。
だが俺は、もう縛られない。
「家族を捨てたのは、そっちだろ」
穏やかな怒りが胸に満ちる、爽快で静かな断絶の物語。
二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした
セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。
牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。
裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。
愚者による愚行と愚策の結果……《完結》
アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。
それが転落の始まり……ではなかった。
本当の愚者は誰だったのか。
誰を相手にしていたのか。
後悔は……してもし足りない。
全13話
☆他社でも公開します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる