【R18】子宮の奴隷

葉山 乃愛

文字の大きさ
22 / 39

第22話 崩壊

しおりを挟む
ウゥゥゥゥン!! ウゥゥゥゥン!!

耳をつんざく警報音と共に、ドームの天井に亀裂が走り、海水が滝のように降り注いできた。
東京湾の底が抜けようとしている。
『浄化プロトコル』とは、施設ごとの圧壊(クラッシュ)だったのだ。

「俊弘さん! エレベーターは停止されたわ! この区画はあと3分で海水に飲み込まれる!」

マリアが防水タブレットを操作しながら絶叫する。
彼女は冷静だが、足元はふらついている。俺とイヴの発情フェロモンに当てられ、立っているのがやっとなのだ。玲子に至っては、完全に腰が抜けて白目を剥き、床で涎を垂らしている。

「3分か。……カップラーメンを作る暇もねえな」

俺はニヤリと笑い、腰の抜けた玲子を米俵のように左脇に抱えた。
そして右手でマリアの腰を抱き寄せる。

「つ、俊弘さん……重いわよ。私と姫川さん二人なんて……」

「今の俺を舐めるなよ。……羽毛布団より軽いぜ」

俺は軽く踏ん張っただけで、コンクリートの床を踏み砕いた。
今の俺の筋繊維は、常人の数十倍の密度に圧縮されている感覚だ。イヴとの交わりで得た『不老不死の酵素』が、俺の肉体を別次元の生物へと進化させていた。

『行きましょう、アダム。……出口はあっちよ』

全裸のイヴが、俺の背中にぴたりと張り付く。
彼女の肢体は人間離れした軽さで、まるで俺の体の一部になったかのように重さを感じさせない。背中に感じる彼女の乳房の感触と、首筋にかかる甘い吐息が、俺のエンジンの燃料だ。

「しっかり捕まってろよ! ジェットコースターより激しいぞ!」

ドォォォン!!

俺は弾丸のように飛び出した。
通路を塞ぐ瓦礫の山を、蹴り一発で粉砕する。
分厚い鋼鉄の隔壁が閉まりかけていたが、俺は減速することなくショルダータックルをぶちかました。

ガギィィィン!!

鋼鉄が悲鳴を上げ、飴細工のようにひしゃげて吹き飛ぶ。
マリアが驚愕で目を見開いている。
人間じゃない。今の俺は、歩く戦車だ。

「エレベーターシャフトだ! ここを登る!」

俺は扉をこじ開け、真っ暗な縦穴を見上げた。
遥か彼方に、地上の光が見える。高さにして数百メートル。普通なら絶望的な距離だ。

「無茶よ! 梯子もないのに!」

「梯子? そんなもん、凡人が使うもんだ」

俺は壁面を蹴り、壁から壁へとジグザグに飛び跳ねた。
ダンッ! ダンッ! ダンッ!
一回の跳躍で10メートル以上昇る。重力を無視したような機動。
背中のイヴが、楽しそうに笑っているのが分かる。

『凄い……。貴方の筋肉の躍動、私の肌に伝わってくる……。素敵よ、私の王』

彼女の興奮がテレパシーで伝わり、それがさらに俺の力を増幅させる。
永久機関。俺とイヴが密着している限り、俺のスタミナは尽きることがない。

ズズズズ……ッ!!

下から轟音が迫る。海水が猛スピードでせり上がってきているのだ。
だが、俺の方が速い。

「見えたぞ、出口だ!」

俺は最後の力を振り絞り、最上階の搬入口――先ほどボートを停めたプラントの床へと飛び出した。

ドサッ。

俺は玲子とマリアを床に転がし、そのまま全速力でボートの係留ロープを引きちぎった。

「乗れ! ここも崩れるぞ!」

全員をボートに放り込み、俺が操舵席に飛び乗った瞬間。
背後のプラント全体が、巨大な水柱と共に海中へと没していった。

ズゴォォォォォ……!!

凄まじい波がボートを襲うが、俺はハンドルを力任せに切り、全速力で沖へと逃れた。

「……はぁ、はぁ……」

安全圏まで離れ、俺はスロットルを緩めた。
振り返れば、東京湾の一角が渦を巻き、巨大な洋上プラントが跡形もなく消滅していた。
組織の心臓部『箱舟』は沈んだ。
だが、その中身――『イヴ』と『アダム(俺)』は、こうして生き残った。

「……信じられない……」

マリアが呆然と呟き、俺を見つめた。
月明かりの下、俺の体は微かに発光していた。切り裂かれた服の隙間から見える筋肉は、鋼のように隆起し、傷一つない。

「俊弘、さん……?」

気絶していた玲子が目を覚まし、俺を見て頬を染めた。
全裸のイヴが俺の膝の上に座り、俺の首にキスをしている。その神々しくも淫らな光景に、玲子は言葉を失い、そして本能的に平伏した。

「あぁ……神様……」

玲子が這いつくばり、俺の靴にキスをする。
マリアもまた、震える手で眼鏡を直し、俺に跪いた。

「作戦成功ね、パートナー。……いいえ、私の新しい『主(マスター)』」

俺はイヴの腰を抱き寄せ、東京の夜景を見据えた。
この国を裏で操っていた『評議会』は、俺たちの死を確認して祝杯を挙げている頃だろう。
だが、残念だったな。
地獄の底から、最強の怪物が二匹、這い上がってきちゃったぜ。

「さあ、始めようか。……俺たちの国盗り物語を」

俺はイヴの唇を奪い、高らかに宣言した。
パチンコの確変は終わらない。
ここからは、俺がこの世界のルール(設定)を書き換える番だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...