【R18】子宮の奴隷

葉山 乃愛

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第38話 特異点

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「消去(デリート)」

管理者の冷徹な声と共に、空間そのものが牙を剥いた。
数千の光の触手が、物理法則を無視した軌道で俺たちを襲う。
回避など不可能。全方位からの飽和攻撃だ。

「くっ、父上! バリアが持ちません! 出力が違いすぎます!」

シオンが展開した多重防壁が、ガラス細工のように次々と砕け散っていく。
俺たちは、宇宙という巨大なシステムの「バグ」として、修正されようとしていた。

「無駄だ。
私はこの宇宙のOSそのもの。
ファイルがシステムに勝てる道理はない」

管理者の指先一つで、俺の右腕が空間ごとねじ切られそうになる。
激痛。
再生が追いつかないほどの分解速度。
だが、俺は笑った。

「……へっ、システムだと?
あいにくだがな、俺は『裏ロム』なんだよ」

俺はねじ切られかけた右腕を、筋肉の力だけで無理やり繋ぎ止めた。
血が噴き出すが、構わない。その痛みが、俺のアドレナリンを沸騰させる燃料になる。

「シオン! イヴ! 俺に全エネルギーを回せ!
こいつの『中枢』に、特大の一発をぶち込んでやる!」

「了解! 僕の演算リソース、全て父上にリンクします!」
「私の命も……全部使って、俊弘!」

シオンとイヴが俺の背中に手を当てる。
二人の膨大なエネルギーが、奔流となって俺の体内に雪崩れ込む。
血管が焼き切れそうだ。
だが、俺の体はそれを許容した。俺は「器」じゃない。全てを飲み込み、爆発させる「起爆剤」だ。

「うおおおおぉぉぉッ!!」

俺は光の触手の嵐を正面から突破した。
肉が削げ、骨が見えても止まらない。
俺の全身から放たれる赤黒いオーラが、管理者の放つ白い光を浸食し、道を切り開く。

「な、なんだそのエネルギーは……!?
非論理的だ! 数値が計測できない! 無限大だと!?」

管理者の表情に、初めて「恐怖」が浮かんだ。

「計算できねえから『奇跡(ギャンブル)』なんだよッ!!」

俺は管理者の懐に飛び込んだ。
奴の本体――光の玉座のさらに奥、脈動する『メインコア』。
宇宙の全てを演算する神の脳髄。

「触れるな! 汚らわしい!」

「捕まえたぜ」

俺の右手が、コアを鷲掴みにした。
ジュウウウッ!!
俺の手が焼ける音と共に、コアが激しく明滅する。

「貴様の管理はここで終わりだ。
これからは……俺の『欲望』が、この宇宙のルールだ!」

俺は全身全霊を込め、俺の遺伝子情報――「生きたい」「犯したい」「勝ちたい」という原初の本能を、直接コアに叩き込んだ。

「システム書き換え(オーバーライド)ッ!!」

ドクンッ!!

「あ、が……あああぁぁぁッ!?」

管理者が絶叫した。
白い空間に、毒々しい赤黒い亀裂が走る。
清浄だった神の塔が、ドロドロとした熱量に満たされていく。

『エラー……エラー……。
未知の快楽データを検知……。処理不能……。
論理回路が……熱い……融ける……ッ!』

「感じろよ、店長。
それがお前が捨てた『生』の熱さだ」

俺はさらに深く、拳をねじ込んだ。
コアが脈打ち、抵抗をやめ、俺のエネルギーを受け入れ始める。
支配完了。
宇宙最強のコンピュータが、たった一人の男のオスとしての力に屈服した瞬間だった。

「馬鹿な……。秩序が……混沌に……。
だが……なぜだ……。なぜこんなにも……満たされる……」

管理者の姿が崩れ落ち、光の粒子となって消えていく。
その最期に浮かべていたのは、屈辱ではなく、恍惚とした表情だった。

ズゴゴゴゴゴ……ッ!!

塔が崩壊を始める。
だが、それは破滅ではない。
世界が生まれ変わるための、産声だった。

「終わったな……」

俺は崩れゆく玉座の上で、大きく息を吐いた。
隣には、イヴとシオン。
ボロボロだが、俺たちは立っている。
勝ったのだ。

「……父上。
宇宙のシステム掌握、完了しました。
これより、全銀河の管理権限は、父上のものになります」

シオンが端末を操作し、ニヤリと笑った。

「あなた……。本当に、神様になっちゃったのね」

イヴが俺に抱きつき、煤けた頬にキスをした。

俺は眼下に広がる星の海を見下ろした。
かつては冷たく無機質だった星々が、今は俺の脈動に合わせて、赤く、熱く輝いているように見えた。

「神様なんて柄じゃねえよ。
……俺はただの、欲張りなパチンカスだ」

俺は笑い、愛する家族の肩を抱いた。

「帰ろうぜ、地球(エデン)へ。
……凱旋パレードが待ってる」

光に包まれながら、俺たちは新たな時代へと足を踏み入れた。
長かった戦いの旅路は、ここで一つの終わりを迎える。
そして、永遠に続く「楽園」の歴史が始まるのだ。
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