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第37話 管理者
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クリスタルの巨塔、最上階。
そこは、宇宙の縮図のような空間だった。
壁も天井もなく、全方位に無数の星々がホログラムで投影され、その中心に一つの「意志」が浮遊していた。
「……遅かったな、汚染物質(ウイルス)ども」
光の玉座に座っていたのは、先ほどのホログラム映像と同じ、純白のローブを纏った創造主だった。
だが、その実在感は桁違いだ。
彼から放たれるプレッシャーだけで、空間が軋み、重力が狂っている。
「ここが店長室か。……随分と眺めがいいじゃねえか」
俺は息苦しさを跳ね除け、悠然と歩み寄った。
隣には、かつて創造主の操り人形だったイヴ。そして、冷静に周囲を解析するシオン。
「一つ聞かせろ。……お前らは何者だ?
何のためにイヴのような兵器を作り、生命を管理している?」
創造主は感情のない瞳で俺を見下ろした。
「我々は『管理者(アドミニストレーター)』。
この宇宙のエントロピー増大を防ぐために生まれたシステムだ」
彼は手元の星図を指差した。
「生命とは、放置すれば無秩序に増殖し、資源を食い潰し、宇宙を死滅させる『癌細胞』だ。
特に『欲望』というバグは厄介だ。
だから我々は、感情や生殖を排除した『完全な生命』を作り、宇宙を剪定(せんてい)し続けてきた」
「……剪定だと?」
「そうだ。地球もその対象の一つに過ぎない。
お前のような、制御不能な欲望を持つ個体が生まれた時点で、その星は失敗作だ。
……焼却処分に値する」
創造主が指を弾く。
すると、周囲の星図が赤く染まり、人工惑星『ティル・ナ・ノーグ』全体が不気味な重低音を響かせ始めた。
「惑星破壊砲、充填開始。
……この星ごと、お前たちを原子レベルで消去する。
私の『完全なる秩序』に、汚点は不要だ」
圧倒的な宣告。
神による死刑執行だ。
だが、俺の隣で、イヴがクスクスと笑い声を漏らした。
「……笑えるわね」
「何がおかしい、E-001」
「貴方は『完全』と言ったわね。
でも、貴方の作った『守護者』たちは、私の夫に触れられただけで、貴方の命令よりも『快楽』を選んだわ。
……それが答えよ。貴方の秩序なんて、私たちの『愛』の前では砂上の楼閣なのよ」
イヴの挑発に、創造主の顔が初めて怒りで歪んだ。
「黙れ、欠陥品が……ッ!
愛だと? そんな非合理なデータになんの価値がある!」
「価値ならあるぜ。……パチンコ玉一発で、お前の店を潰せるくらいの価値がな」
俺は一歩前に出た。
全身の筋肉が、最終決戦の予感に打ち震えている。
「店長さんよ。お前の管理は完璧すぎて息が詰まるんだよ。
生命ってのはな、無駄で、汚くて、どうしようもねえ欲があるから面白いんだ。
……お前の『リセットボタン』と、俺の『確変』。
どっちが強いか、今ここで決めようじゃねえか」
俺の言葉に応えるように、シオンが眼鏡を光らせた。
「父上、解析完了しました。
あいつの本体は、この空間そのものです。あの人型はただの端末。
……この塔のメインコアを破壊すれば、奴の意識ごとシステムをダウンさせられます」
「でかした、シオン」
創造主が立ち上がる。
その背後から、神々しくも禍々しい、数千の光の触手が出現した。
「増長するなよ、猿ども。
私が直接手を下す意味を……その身に刻んで消えろッ!!」
「行くぞ、イヴ! シオン!
これが最後の『国盗り』だ! 宇宙最強の座は、俺たちがいただく!」
俺は大地を蹴った。
神と魔王。
秩序と混沌。
宇宙の命運をかけた、最後の喧嘩が始まった。
そこは、宇宙の縮図のような空間だった。
壁も天井もなく、全方位に無数の星々がホログラムで投影され、その中心に一つの「意志」が浮遊していた。
「……遅かったな、汚染物質(ウイルス)ども」
光の玉座に座っていたのは、先ほどのホログラム映像と同じ、純白のローブを纏った創造主だった。
だが、その実在感は桁違いだ。
彼から放たれるプレッシャーだけで、空間が軋み、重力が狂っている。
「ここが店長室か。……随分と眺めがいいじゃねえか」
俺は息苦しさを跳ね除け、悠然と歩み寄った。
隣には、かつて創造主の操り人形だったイヴ。そして、冷静に周囲を解析するシオン。
「一つ聞かせろ。……お前らは何者だ?
何のためにイヴのような兵器を作り、生命を管理している?」
創造主は感情のない瞳で俺を見下ろした。
「我々は『管理者(アドミニストレーター)』。
この宇宙のエントロピー増大を防ぐために生まれたシステムだ」
彼は手元の星図を指差した。
「生命とは、放置すれば無秩序に増殖し、資源を食い潰し、宇宙を死滅させる『癌細胞』だ。
特に『欲望』というバグは厄介だ。
だから我々は、感情や生殖を排除した『完全な生命』を作り、宇宙を剪定(せんてい)し続けてきた」
「……剪定だと?」
「そうだ。地球もその対象の一つに過ぎない。
お前のような、制御不能な欲望を持つ個体が生まれた時点で、その星は失敗作だ。
……焼却処分に値する」
創造主が指を弾く。
すると、周囲の星図が赤く染まり、人工惑星『ティル・ナ・ノーグ』全体が不気味な重低音を響かせ始めた。
「惑星破壊砲、充填開始。
……この星ごと、お前たちを原子レベルで消去する。
私の『完全なる秩序』に、汚点は不要だ」
圧倒的な宣告。
神による死刑執行だ。
だが、俺の隣で、イヴがクスクスと笑い声を漏らした。
「……笑えるわね」
「何がおかしい、E-001」
「貴方は『完全』と言ったわね。
でも、貴方の作った『守護者』たちは、私の夫に触れられただけで、貴方の命令よりも『快楽』を選んだわ。
……それが答えよ。貴方の秩序なんて、私たちの『愛』の前では砂上の楼閣なのよ」
イヴの挑発に、創造主の顔が初めて怒りで歪んだ。
「黙れ、欠陥品が……ッ!
愛だと? そんな非合理なデータになんの価値がある!」
「価値ならあるぜ。……パチンコ玉一発で、お前の店を潰せるくらいの価値がな」
俺は一歩前に出た。
全身の筋肉が、最終決戦の予感に打ち震えている。
「店長さんよ。お前の管理は完璧すぎて息が詰まるんだよ。
生命ってのはな、無駄で、汚くて、どうしようもねえ欲があるから面白いんだ。
……お前の『リセットボタン』と、俺の『確変』。
どっちが強いか、今ここで決めようじゃねえか」
俺の言葉に応えるように、シオンが眼鏡を光らせた。
「父上、解析完了しました。
あいつの本体は、この空間そのものです。あの人型はただの端末。
……この塔のメインコアを破壊すれば、奴の意識ごとシステムをダウンさせられます」
「でかした、シオン」
創造主が立ち上がる。
その背後から、神々しくも禍々しい、数千の光の触手が出現した。
「増長するなよ、猿ども。
私が直接手を下す意味を……その身に刻んで消えろッ!!」
「行くぞ、イヴ! シオン!
これが最後の『国盗り』だ! 宇宙最強の座は、俺たちがいただく!」
俺は大地を蹴った。
神と魔王。
秩序と混沌。
宇宙の命運をかけた、最後の喧嘩が始まった。
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