平穏なβ人生の終わりの始まりについて(完結)

ビスケット

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追い詰められる男2

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「こうして法律も整い、あなたがΩになったおかげで、薬の認可をようやく下ろすことができるようになりました。
製造ラインはとっくに組み終わって、あとは認可性転換待ちだった浦田製薬がすぐにでも製造を開始するはずです。ただし、今後はそういった使い方がされないように、使用対象を厳密にし 慎重な取り扱いのもとに運用されると思いますが。」

それを聞いたこの人ははっとした表情をした。浦田と聞いて気が付いたんだろう。
浦田涼介。浦田製薬の後継者にして、鶴水幼稚舎組だったαだ。そしてこの人の長年の友人。
先ほどまで、このホテルでこの人と二人で飲んでいたところに、たまたま居合わせた私に声を掛け、同席するきっかけを作った男。

「浦田涼介はこの件には関わらせていません・・・直接的には、ですが。
それが出来ていたらもっとやりやすかったとは思いますが、彼を通じてあなたに何か伝わってしまう可能性を捨てきれませんでした。

先ほど私は彼に、酔いが醒めるまでホテルの部屋であなたを休ませると言ったんです。ここのホテルは身内がオーナーをしているので、私がその手配をするとも。
彼はあなたの不自然な酔い方に疑問を持ったようでしたよ。家が製薬ですからね、何か感づいていたかもしれない。
でも結局彼はあなたをわたしにゆだねて、後ろ髪を引かれながらもこの場を後にした。」

この人の瞳から しおが引くように光が消えていってしまったので。
「まあ、なんだかんだと立ち去ろうとしない彼を、最終的に威嚇してしまったのは否定しませんがね。」
そう補足して 友人に裏切られて傷ついたこの人の 髪に指を差し入れて あやすように優しくき上げた。
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