15 / 40
追い詰められる男2
しおりを挟む
「こうして法律も整い、あなたがΩになったおかげで、薬の認可をようやく下ろすことができるようになりました。
製造ラインはとっくに組み終わって、あとは認可待ちだった浦田製薬がすぐにでも製造を開始するはずです。ただし、今後はそういった使い方がされないように、使用対象を厳密にし 慎重な取り扱いのもとに運用されると思いますが。」
それを聞いたこの人ははっとした表情をした。浦田と聞いて気が付いたんだろう。
浦田涼介。浦田製薬の後継者にして、鶴水幼稚舎組だったαだ。そしてこの人の長年の友人。
先ほどまで、このホテルでこの人と二人で飲んでいたところに、たまたま居合わせた私に声を掛け、同席するきっかけを作った男。
「浦田涼介はこの件には関わらせていません・・・直接的には、ですが。
それが出来ていたらもっとやりやすかったとは思いますが、彼を通じてあなたに何か伝わってしまう可能性を捨てきれませんでした。
先ほど私は彼に、酔いが醒めるまでホテルの部屋であなたを休ませると言ったんです。ここのホテルは身内がオーナーをしているので、私がその手配をするとも。
彼はあなたの不自然な酔い方に疑問を持ったようでしたよ。家が製薬ですからね、何か感づいていたかもしれない。
でも結局彼はあなたをわたしに委ねて、後ろ髪を引かれながらもこの場を後にした。」
この人の瞳から 潮が引くように光が消えていってしまったので。
「まあ、なんだかんだと立ち去ろうとしない彼を、最終的に威嚇してしまったのは否定しませんがね。」
そう補足して 友人に裏切られて傷ついたこの人の 髪に指を差し入れて あやすように優しく漉き上げた。
製造ラインはとっくに組み終わって、あとは認可待ちだった浦田製薬がすぐにでも製造を開始するはずです。ただし、今後はそういった使い方がされないように、使用対象を厳密にし 慎重な取り扱いのもとに運用されると思いますが。」
それを聞いたこの人ははっとした表情をした。浦田と聞いて気が付いたんだろう。
浦田涼介。浦田製薬の後継者にして、鶴水幼稚舎組だったαだ。そしてこの人の長年の友人。
先ほどまで、このホテルでこの人と二人で飲んでいたところに、たまたま居合わせた私に声を掛け、同席するきっかけを作った男。
「浦田涼介はこの件には関わらせていません・・・直接的には、ですが。
それが出来ていたらもっとやりやすかったとは思いますが、彼を通じてあなたに何か伝わってしまう可能性を捨てきれませんでした。
先ほど私は彼に、酔いが醒めるまでホテルの部屋であなたを休ませると言ったんです。ここのホテルは身内がオーナーをしているので、私がその手配をするとも。
彼はあなたの不自然な酔い方に疑問を持ったようでしたよ。家が製薬ですからね、何か感づいていたかもしれない。
でも結局彼はあなたをわたしに委ねて、後ろ髪を引かれながらもこの場を後にした。」
この人の瞳から 潮が引くように光が消えていってしまったので。
「まあ、なんだかんだと立ち去ろうとしない彼を、最終的に威嚇してしまったのは否定しませんがね。」
そう補足して 友人に裏切られて傷ついたこの人の 髪に指を差し入れて あやすように優しく漉き上げた。
66
あなたにおすすめの小説
クローゼットは宝箱
織緒こん
BL
てんつぶさん主催、オメガの巣作りアンソロジー参加作品です。
初めてのオメガバースです。
前後編8000文字強のSS。
◇ ◇ ◇
番であるオメガの穣太郎のヒートに合わせて休暇をもぎ取ったアルファの将臣。ほんの少し帰宅が遅れた彼を出迎えたのは、溢れかえるフェロモンの香気とクローゼットに籠城する番だった。狭いクローゼットに隠れるように巣作りする穣太郎を見つけて、出会ってから想いを通じ合わせるまでの数年間を思い出す。
美しく有能で、努力によってアルファと同等の能力を得た穣太郎。正気のときは決して甘えない彼が、ヒート期間中は将臣だけにぐずぐずに溺れる……。
年下わんこアルファ×年上美人オメガ。
大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った
こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。
変異型Ωは鉄壁の貞操
田中 乃那加
BL
変異型――それは初めての性行為相手によってバースが決まってしまう突然変異種のこと。
男子大学生の金城 奏汰(かなしろ かなた)は変異型。
もしαに抱かれたら【Ω】に、βやΩを抱けば【β】に定着する。
奏汰はαが大嫌い、そして絶対にΩにはなりたくない。夢はもちろん、βの可愛いカノジョをつくり幸せな家庭を築くこと。
だから護身術を身につけ、さらに防犯グッズを持ち歩いていた。
ある日の歓楽街にて、β女性にからんでいたタチの悪い酔っ払いを次から次へとやっつける。
それを見た高校生、名張 龍也(なばり たつや)に一目惚れされることに。
当然突っぱねる奏汰と引かない龍也。
抱かれたくない男は貞操を守りきり、βのカノジョが出来るのか!?
【完結済】キズモノオメガの幸せの見つけ方~番のいる俺がアイツを愛することなんて許されない~
つきよの
BL
●ハッピーエンド●
「勇利先輩……?」
俺、勇利渉は、真冬に照明と暖房も消されたオフィスで、コートを着たままノートパソコンに向かっていた。
だが、突然背後から名前を呼ばれて後ろを振り向くと、声の主である人物の存在に思わず驚き、心臓が跳ね上がった。
(どうして……)
声が出ないほど驚いたのは、今日はまだ、そこにいるはずのない人物が立っていたからだった。
「東谷……」
俺の目に映し出されたのは、俺が初めて新人研修を担当した後輩、東谷晧だった。
背が高く、ネイビーより少し明るい色の細身スーツ。
落ち着いたブラウンカラーの髪色は、目鼻立ちの整った顔を引き立たせる。
誰もが目を惹くルックスは、最後に会った三年前となんら変わっていなかった。
そう、最後に過ごしたあの夜から、空白の三年間なんてなかったかのように。
番になればラット化を抑えられる
そんな一方的な理由で番にさせられたオメガ
しかし、アルファだと偽って生きていくには
関係を続けることが必要で……
そんな中、心から愛する人と出会うも
自分には噛み痕が……
愛したいのに愛することは許されない
社会人オメガバース
あの日から三年ぶりに会うアイツは…
敬語後輩α × 首元に噛み痕が残るΩ
僕が死んだあと、あなたは悲しんでくれる?
いちみやりょう
BL
死神 × 不憫なオメガ
僕を大切にしてくれる青砥と、ずっと一緒に居られると思ってた。
誰も感じない僕のオメガのフェロモンを青砥だけはいい匂いと言ってくれた。
だけど。
「千景、ごめん。ごめんね」
「青砥……どうしたの?」
青砥は困った顔で笑って、もう一度僕に“ごめん”と謝った。
「俺、和樹と付き合うことにした。だから、ごめん」
「そんな……。もう僕のことは好きじゃないってこと?」
「……ごめん」
「……そっか。分かった。幸せにね」
「ありがとう、千景」
分かったと言うしか僕にはできなかった。
※主人公は辛い目に遭いますし、病気で死んでしまいますが、最終的に死神に愛されます。
βな俺は王太子に愛されてΩとなる
ふき
BL
王太子ユリウスの“運命”として幼い時から共にいるルカ。
けれど彼は、Ωではなくβだった。
それを知るのは、ユリウスただ一人。
真実を知りながら二人は、穏やかで、誰にも触れられない日々を過ごす。
だが、王太子としての責務が二人の運命を軋ませていく。
偽りとも言える関係の中で、それでも手を離さなかったのは――
愛か、執着か。
※性描写あり
※独自オメガバース設定あり
※ビッチングあり
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
かわいい王子の残像
芽吹鹿
BL
王子の家庭教師を務めるアリア・マキュベリー男爵の思い出語り。天使のようにかわいい幼い王子が成長するにつれて立派な男になっていく。その育成に10年間を尽くして貢献した家庭教師が、最終的に主に押し倒されちゃう話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる