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壁ドンする女
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「はい、終わりましたわ!お袖の方もとれかけているようでしたのでついでに直させていただきましたわ。」
控えめに微笑んで、ボタン付けを担当した佐和子が、ワイシャツを小山田に渡した。
小山田は早速それに袖を通して、ふと気が付いた。
いつの間にか桜花生全員が立ち上がって小山田に向き合っていた。
そして小山田に綺麗に頭を下げてきて言ったのだった。
「…小山田さま、改めてお詫びを言わせてくださいませ。大変申し訳ございませんでした。」
役員だけでなく、ボタン付けをした佐和子も、氷を届けた鞠花も頭を下げていた。
「いや、気にしないで下さい。皆さんは何も悪いことしてないんだし。
・・・とにかく誤解が解けてよかったっす。俺ももう気にしてないっすから。」
それを聞いた雅也がふんわりと微笑んで言った。
「小山田様はお優しいのですね。」
うなずきながら、蝶子も口を開いた。
「真実が明らかになったのは筑葉の皆様のお陰ですわね。
特に重明さまのフェロモンは怖いくらいでしたわ。
考えたらあたりまえですわよね。愛するお方のピンチだったのですもの。
小山田様を見つめる重明さまの眼差しのお優しいことといったら。
小山田さま、愛されてますわね。」
「愛…そ、そうっすかね」
第三者から見てそう映るのかと、照れ臭くてソワソワする小山田だった。
「ときに、小山田さま。重明さまとは今どんな感じか、わたくし共とっても興味がありますの。ぜひお聞きしたいわ!」
この時、桜花生徒会役員たちの目が鋭く光ったのに、小山田は気が付かなかった。
「えっ。ど、どんな感じかっすか?」
小山田は、恋ばなは初めてだった。
照れ隠しに努めて淡々と答えた。
「そうっすね~。まぁ、とりあえず普通に付き合ってるって感じっすかねー。」
「「「 えっ!! 」」」
するとなぜか桜花生徒会の面々から一斉に声が上がった。
「・・・えっ?」
っと小山田。
風紀の吉野聖良が、ゴゴゴ・・・と地を這うような声で小山田に問うた。
「とりあえず、付き合ってる…と。そうおっしゃいましたか?」
「え、ええと、はい・・・。」
会計の清水月乃が、小山田に噛んで含めるように問いかけた。
「小山田さま、わたくしたち、先ほど重明さまからお話を伺ってましたのよ。
愛し合っていると思ってプロポーズしたのに保留にされた挙句、婚約さえしてもらえないと。
それなのに小山田さま、あなた重明さまに登下校の送迎をしていただいているのですって?それは婚約者の権利だと分かっておられるのかしら?」
「いやでも、それは・・・。
そんなことは・・・あるな。」
「・・・それはあんまりですわ、小山田様・・・」
ボタン付けをした佐和子が、思わずと言ったように小さくつぶやいた。
副会長の三輪祥子も、黙っていられないとばかりに口を出してきた。
「重明さま、こうもおっしゃっていたわ。
たとえ体が目的だとしてもそれでもいいって。
振り向いて貰えるまで頑張るしかないって…とてもお寂しそうで、わたくし涙が出そうになりましたもの。」
「アイツが?
いやでも、それは・・・。
そんなことは・・・あるのか?」
小山田は桐生に抱いてもらわないと自分が クソ医者の言う所の発情死することを思い出した。
そうすると、桐生の体目的と言われれば、違うとは言えない小山田だった。
「重明様、お可哀想…。」
小山田の首を冷やした鞠花が悲しげに呟いた。
やがて、真打の登場とばかりに、黒須蝶子が口を開いた。
「とにかく。小山田様にはぜひご理解していただきたいことがありますの。
小山田さまの婚約は、もはやあなた様だけの問題ではないということですわ。
いつまでも重明様を蛇の生殺し状態に置いて婚約を受けてくださらないとなると、桜花生全員が困りますの。」
あとは、桜花生が口々に小山田に訴えてきた。
「――― 夜会。」
「そうよ、やっぱり夜会ですわ!」
「わたくしたちの夢の舞台を返してくださいまし!」
「「「 お願いです!小山田様!!! 」」」
「や、夜会!?」
「そうですわ!!
貴方様が桐生様と婚約すればあなたの会費も服も何とかしてくださるわ。」
「いや、そんなわけにはいかないっすよ。」
「小山田様、勘違いなさってはいけませんわ。それは施しではないの。」
「ええ!大切な方のお世話をするという婚約者の権利でもありますのよ?」
「小山田様、貴方様はその権利を桐生様から取り上げてはなりませんわ。」
「そのとおりですわ!それは殿方の楽しみでもあるのですから。」
怒涛の説得に小山田はたじたじとしながらなんとか抵抗を試みた。
「いや俺、婚約とかしたらもう、たぶん結婚まっしぐら・・。」
それを聞いた黒須蝶子が、勝ち誇ったように嫣然と微笑んで言い放った。
「 なおさら結構ですこと!
小山田様の一切合切、重明様が良きように差配してくれましてよ。ほほほ、そうなればその後の夜会の開催は確約されたようなものですわね!!」
小山田の周りを取り巻く、桜花の妖精たちが、ダークエルフに変身して恐ろしい圧をかけながらじりじりと詰め寄ってくる。
やがて追い詰められた小山田に向かって蝶子の腕が伸びてきた。
「ひっ!!」
椅子の背にへばりつくように縮こまる小山田の 後ろの壁にドンッ!と片手を突く蝶子。
そして、もう一方の手がひらりと優雅に上がったかと思うと、小山田の顎を掬いあげた。
「わたくしの目をみて。」
華麗なる壁ドンからの顎クイを繰り出した美貌の令嬢がうっそりと笑っていた。
「ちょ、蝶子…さま…」
蛇に睨まれた蛙のように震える小山田。
「ご理解いただけましたかしら・・・?
小山田様、どうかわたくしたちを助けると思って、さっさと桐生様とくっついてくださいませ!」
控えめに微笑んで、ボタン付けを担当した佐和子が、ワイシャツを小山田に渡した。
小山田は早速それに袖を通して、ふと気が付いた。
いつの間にか桜花生全員が立ち上がって小山田に向き合っていた。
そして小山田に綺麗に頭を下げてきて言ったのだった。
「…小山田さま、改めてお詫びを言わせてくださいませ。大変申し訳ございませんでした。」
役員だけでなく、ボタン付けをした佐和子も、氷を届けた鞠花も頭を下げていた。
「いや、気にしないで下さい。皆さんは何も悪いことしてないんだし。
・・・とにかく誤解が解けてよかったっす。俺ももう気にしてないっすから。」
それを聞いた雅也がふんわりと微笑んで言った。
「小山田様はお優しいのですね。」
うなずきながら、蝶子も口を開いた。
「真実が明らかになったのは筑葉の皆様のお陰ですわね。
特に重明さまのフェロモンは怖いくらいでしたわ。
考えたらあたりまえですわよね。愛するお方のピンチだったのですもの。
小山田様を見つめる重明さまの眼差しのお優しいことといったら。
小山田さま、愛されてますわね。」
「愛…そ、そうっすかね」
第三者から見てそう映るのかと、照れ臭くてソワソワする小山田だった。
「ときに、小山田さま。重明さまとは今どんな感じか、わたくし共とっても興味がありますの。ぜひお聞きしたいわ!」
この時、桜花生徒会役員たちの目が鋭く光ったのに、小山田は気が付かなかった。
「えっ。ど、どんな感じかっすか?」
小山田は、恋ばなは初めてだった。
照れ隠しに努めて淡々と答えた。
「そうっすね~。まぁ、とりあえず普通に付き合ってるって感じっすかねー。」
「「「 えっ!! 」」」
するとなぜか桜花生徒会の面々から一斉に声が上がった。
「・・・えっ?」
っと小山田。
風紀の吉野聖良が、ゴゴゴ・・・と地を這うような声で小山田に問うた。
「とりあえず、付き合ってる…と。そうおっしゃいましたか?」
「え、ええと、はい・・・。」
会計の清水月乃が、小山田に噛んで含めるように問いかけた。
「小山田さま、わたくしたち、先ほど重明さまからお話を伺ってましたのよ。
愛し合っていると思ってプロポーズしたのに保留にされた挙句、婚約さえしてもらえないと。
それなのに小山田さま、あなた重明さまに登下校の送迎をしていただいているのですって?それは婚約者の権利だと分かっておられるのかしら?」
「いやでも、それは・・・。
そんなことは・・・あるな。」
「・・・それはあんまりですわ、小山田様・・・」
ボタン付けをした佐和子が、思わずと言ったように小さくつぶやいた。
副会長の三輪祥子も、黙っていられないとばかりに口を出してきた。
「重明さま、こうもおっしゃっていたわ。
たとえ体が目的だとしてもそれでもいいって。
振り向いて貰えるまで頑張るしかないって…とてもお寂しそうで、わたくし涙が出そうになりましたもの。」
「アイツが?
いやでも、それは・・・。
そんなことは・・・あるのか?」
小山田は桐生に抱いてもらわないと自分が クソ医者の言う所の発情死することを思い出した。
そうすると、桐生の体目的と言われれば、違うとは言えない小山田だった。
「重明様、お可哀想…。」
小山田の首を冷やした鞠花が悲しげに呟いた。
やがて、真打の登場とばかりに、黒須蝶子が口を開いた。
「とにかく。小山田様にはぜひご理解していただきたいことがありますの。
小山田さまの婚約は、もはやあなた様だけの問題ではないということですわ。
いつまでも重明様を蛇の生殺し状態に置いて婚約を受けてくださらないとなると、桜花生全員が困りますの。」
あとは、桜花生が口々に小山田に訴えてきた。
「――― 夜会。」
「そうよ、やっぱり夜会ですわ!」
「わたくしたちの夢の舞台を返してくださいまし!」
「「「 お願いです!小山田様!!! 」」」
「や、夜会!?」
「そうですわ!!
貴方様が桐生様と婚約すればあなたの会費も服も何とかしてくださるわ。」
「いや、そんなわけにはいかないっすよ。」
「小山田様、勘違いなさってはいけませんわ。それは施しではないの。」
「ええ!大切な方のお世話をするという婚約者の権利でもありますのよ?」
「小山田様、貴方様はその権利を桐生様から取り上げてはなりませんわ。」
「そのとおりですわ!それは殿方の楽しみでもあるのですから。」
怒涛の説得に小山田はたじたじとしながらなんとか抵抗を試みた。
「いや俺、婚約とかしたらもう、たぶん結婚まっしぐら・・。」
それを聞いた黒須蝶子が、勝ち誇ったように嫣然と微笑んで言い放った。
「 なおさら結構ですこと!
小山田様の一切合切、重明様が良きように差配してくれましてよ。ほほほ、そうなればその後の夜会の開催は確約されたようなものですわね!!」
小山田の周りを取り巻く、桜花の妖精たちが、ダークエルフに変身して恐ろしい圧をかけながらじりじりと詰め寄ってくる。
やがて追い詰められた小山田に向かって蝶子の腕が伸びてきた。
「ひっ!!」
椅子の背にへばりつくように縮こまる小山田の 後ろの壁にドンッ!と片手を突く蝶子。
そして、もう一方の手がひらりと優雅に上がったかと思うと、小山田の顎を掬いあげた。
「わたくしの目をみて。」
華麗なる壁ドンからの顎クイを繰り出した美貌の令嬢がうっそりと笑っていた。
「ちょ、蝶子…さま…」
蛇に睨まれた蛙のように震える小山田。
「ご理解いただけましたかしら・・・?
小山田様、どうかわたくしたちを助けると思って、さっさと桐生様とくっついてくださいませ!」
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