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愛してる
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「一生お前のそばにいてやるよ」
「桐生、お前よぉ…」
いくらなんでもお前は友情に人生を捧げすぎだ、と小山田は思った。
そんな小山田を見た桐生は、小山田にも理解できるように解説した。
「小山田、一応言っておくと、これはプロポーズだ。」
「ぷ・・・!!」
一度面倒を見たら最後まで責任を持て、なんて言っても犬猫とは違うのだ。
いくら何でもおまえの責任感の強さは異常だ…!!
桐生の情緒を心配しはじめた小山田。
そんな小山田を見た桐生は、小山田でも理解できるように解説した。
「ここまで言ってもお前には伝わらない可能性が捨てきれないからはっきり言っておく。
俺はお前を愛している。」
「え・・・!!!」
鳩が豆鉄砲を食らったかのような小山田の間抜けな顔をを見て、ああ、やっぱり伝わってなかったか…桐生はそう思った。
そして伝わらない男 小山田に、ようやく桐生の気持ちが届いたのだった。
「小山田、プロポーズの返事は今すぐでなくていい。
でもお前の今の気持ちを聞かせてくれ。」
桐生の正々堂々とした現状確認の要求に、小山田はしどろもどろになった。
小山田は未だ恋すらしたことがないお子様だった。
「うう…気持ち、気持ち!?
うぅんと、そうだな、い、いきなりお前とこんなことになって…
俺だれかとこんなんするのも実質初めてで。
愛してるとかって、俺よくわかんねぇよ…
結婚なんて、もっとわかるわけねぇし…
やっぱり、そういう重要そうなのは、お、親に聞いてみねぇと…」
困り果てたように声がしりすぼみに消えた。
それをだまって聞いていた桐生は、額に張り付いた小山田の前髪を優しく撫で上げながら言った。
「ふぅん・・・そうか。
小山田は危なっかしくて、俺だって うかうかしていられないみたいだ・・・。」
そして、グレーがかった美しい瞳に不穏な気配をひそませて、小山田を見つめて言った。
「小山田、数学と同じだ。答えは一つ。」
――― はじめてのラットで、桐生の名を呼んだのは小山田だった。
「お前が問題を考えている間はいくらでも待ってやるし、分からなければ何度でも解説してやる。これまで俺がお前にそうしてきたみたいに、同じようにしてやりたかったんだが。
今回はあまり待ってやれる時間は無さそうだ。」
――― それから小山田はずっと桐生の手に心を許し、守られてきた。
「要はお前が俺から離れられなくなればいい――そういうことだよな。」
――― だから、答えは初めから決まっている。
「・・・なぁ、小山田?」
そんな言葉とともに、桐生の唇に艶めくような男くさい笑みが刷かれた。
それは色恋にお未通い小山田には刺激が強すぎた。
中てられた小山田が視線をそろりと外したとき、小山田の腰をつかんだ桐生の大きな手に力が入った。
そうして小山田を貫いていた桐生の雄が、予告なくいきなりグッと突き上げられた。
野蛮なほどに激しくなった突き上げに、強烈な快感が駆け抜けていく。
かすむような意識の中で、小山田は頭の隅で呟いていた。
そういえば、俺は桐生に勉強を教わるのは嫌じゃなかった。
桐生は、終始穏やかで、俺のことを馬鹿にしなかった。
そしてその凪いだようなやわらかな瞳で、静かに俺を見守ってくれる男だった―――
「桐生、お前よぉ…」
いくらなんでもお前は友情に人生を捧げすぎだ、と小山田は思った。
そんな小山田を見た桐生は、小山田にも理解できるように解説した。
「小山田、一応言っておくと、これはプロポーズだ。」
「ぷ・・・!!」
一度面倒を見たら最後まで責任を持て、なんて言っても犬猫とは違うのだ。
いくら何でもおまえの責任感の強さは異常だ…!!
桐生の情緒を心配しはじめた小山田。
そんな小山田を見た桐生は、小山田でも理解できるように解説した。
「ここまで言ってもお前には伝わらない可能性が捨てきれないからはっきり言っておく。
俺はお前を愛している。」
「え・・・!!!」
鳩が豆鉄砲を食らったかのような小山田の間抜けな顔をを見て、ああ、やっぱり伝わってなかったか…桐生はそう思った。
そして伝わらない男 小山田に、ようやく桐生の気持ちが届いたのだった。
「小山田、プロポーズの返事は今すぐでなくていい。
でもお前の今の気持ちを聞かせてくれ。」
桐生の正々堂々とした現状確認の要求に、小山田はしどろもどろになった。
小山田は未だ恋すらしたことがないお子様だった。
「うう…気持ち、気持ち!?
うぅんと、そうだな、い、いきなりお前とこんなことになって…
俺だれかとこんなんするのも実質初めてで。
愛してるとかって、俺よくわかんねぇよ…
結婚なんて、もっとわかるわけねぇし…
やっぱり、そういう重要そうなのは、お、親に聞いてみねぇと…」
困り果てたように声がしりすぼみに消えた。
それをだまって聞いていた桐生は、額に張り付いた小山田の前髪を優しく撫で上げながら言った。
「ふぅん・・・そうか。
小山田は危なっかしくて、俺だって うかうかしていられないみたいだ・・・。」
そして、グレーがかった美しい瞳に不穏な気配をひそませて、小山田を見つめて言った。
「小山田、数学と同じだ。答えは一つ。」
――― はじめてのラットで、桐生の名を呼んだのは小山田だった。
「お前が問題を考えている間はいくらでも待ってやるし、分からなければ何度でも解説してやる。これまで俺がお前にそうしてきたみたいに、同じようにしてやりたかったんだが。
今回はあまり待ってやれる時間は無さそうだ。」
――― それから小山田はずっと桐生の手に心を許し、守られてきた。
「要はお前が俺から離れられなくなればいい――そういうことだよな。」
――― だから、答えは初めから決まっている。
「・・・なぁ、小山田?」
そんな言葉とともに、桐生の唇に艶めくような男くさい笑みが刷かれた。
それは色恋にお未通い小山田には刺激が強すぎた。
中てられた小山田が視線をそろりと外したとき、小山田の腰をつかんだ桐生の大きな手に力が入った。
そうして小山田を貫いていた桐生の雄が、予告なくいきなりグッと突き上げられた。
野蛮なほどに激しくなった突き上げに、強烈な快感が駆け抜けていく。
かすむような意識の中で、小山田は頭の隅で呟いていた。
そういえば、俺は桐生に勉強を教わるのは嫌じゃなかった。
桐生は、終始穏やかで、俺のことを馬鹿にしなかった。
そしてその凪いだようなやわらかな瞳で、静かに俺を見守ってくれる男だった―――
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