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第一部
3.逃亡失敗※
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逃げる機会がない……。
「はぁ、まったく……」
だが、最近は忙しいのかルキウスも1日に数分顔を見せにくる程度だ。毎晩、凌辱しにやってくるのかと思ったが、あれは脅しだったようだ。
そうなると三食昼寝付き、マルクスのように無理難題も押し付けられない……思ったより居心地が良いのが困りものだな。
魔法のレッスンや礼儀作法といったものは鬱陶しいが、それだけを適当にこなせば、豪華な食事にフカフカのベッド……悪くはない。
ハッ! 危ない危ない。元来、怠け者な気質なので、気をつけぬと流されてしまいそうだ。
だが、あのような血生臭い男の奴隷として生きるのは御免だ……。
さて、ルキウスが忙しいうちに、そろそろ逃げるか……。
私は例の如くバルコニーから飛び降り、次は下女に身を窶した。
今回は部屋を抜け出した事がバレていないようだ。城内は至って静かだ。
私は、裏門へと向かい、建物の陰に息を潜めた。魔力で剣を具現化出来るかどうかも確認済みなので、万が一、門を守る衛兵と争いになっても大丈夫だ。
この体には体力や腕力がないのは考えものだが、あの程度の衛兵ならば、私の剣技のほうが勝る。それに、城さえ出れば転移魔法が使えるのだ。他国に逃げる事も可能だ。
私は、外に水汲みをしに行く下女のふりをしながら、門を通ろうとした。
「殿下が、泉の水を御所望との事ですので、外に汲みに行く事をお許し下さい」
「通れ」
おお! いとも容易いな。突然、泉の水が欲しいなどと、普通なら不自然だが、あの男が突拍子もなく意味不明な命令を出す事は珍しくないのだろう。
「待て!」
私がほくそ笑みながら通ろうとした瞬間、ルキウスの声が私を呼び止めた。私はドキリとしたが、今此処で捕まるわけにはいかぬので、走って門を抜ける事にした。
門さえ抜けてしまえば、こちらのものだ。
「っ!」
そう思ったが、ルキウスのほうが一枚上手なようだ。動きがとても早い……もう私の前へと回ってきたというのか……。
この様子だと、私がルイーザだという事はバレていそうなので、何としてでも捕まるわけにはいかぬ。
私は魔力を具現化し、剣を出した。一瞬、ルキウスは驚いた顔をしたが、すぐに面白いオモチャを見つけた顔をして、剣を構えた私に斬りかかってきた。
身のこなしが尋常じゃなく速い。それなのに、打ち込んでくる剣の一筋一筋はとても重い。迷いのない太刀筋に、私を殺す事を厭わないのだという事が、ひしひしと伝わってくる。
「くっ!」
この体の腕力で、まともに受け続けていたら、確実に負ける。私は次にルキウスの一手を受けた瞬間、後ろに飛び退き、それから身を大きく回転させ、ルキウスの頭上を飛び、そのまま門を出ようとした。
「っ!」
出ようとしたが、ルキウスは容赦なく、私の足に向かって短剣を投げた。着地した瞬間、痛みで体が大きく揺れ、私は着地に失敗してしまった。
「っう」
先程の短剣の攻撃で、どうやら片足の腱を切られてしまったようだ。この足の腱を切られてしまうと、腓腹筋の収縮が強く、傷口が離れてしまうので、長時間に渡り回復しないと、治癒に対して良好な状態ではなくなる。
私は何とか立ち上がろうとしたが、少しずつ近づいて来るルキウスから目を離せなかった。
逃げなければ……逃げなければいけないのに、何故動けないのだ……私の愚か者……。
まるで蛇に睨まれた蛙のようだ。あやつが捕食者で、私が獲物だとでも言うのか……。このルドヴィカ様が……手も足も出ないとは……。
結果、私はルキウスに捕まってしまった。当たり前だ、逃げる事もせずに、動く事も出来なかったのだから……。
「ぐっ! ゔぅっ」
「では、続きは部屋でしようか」
ルキウスは私の両手と両足を縛り、私の髪を引っ張ったまま歩き出した。足の傷を一切考慮しない縛り方に、激痛が走り、眩暈がしそうだ。
いっそ、殺せ。何故、殺さぬのだ?
私の事をルイーザだと気付いているからと言って、此処まで己をコケにした者を生かしておいてやる程、寛大ではないだろう……。
一体、何故ここまで容易くバレるのだ?
一体、この体の何処に "シルシ" が付けられているというのだ?
それにしても、城内を下女が引きずられていても、誰もルキウスを注意したりせぬのか……。廊下が血塗れなのだが……。
運び方というものがあるだろう。これでは、あとで掃除する者が大変ではないか。
私は引きずられている内に己の傷を回復しようと思い、縛られた手で足の傷に触れた。
髪を引っ張られ、やや気が散るがそうも言っていられないので、私はさっさと回復してしまう事にした。
「勝手な事をするな」
「ぐぇっ! っ……ハ……ッ、ゲホッ、ゲホッ」
回復魔法を己にかけようとした瞬間、ルキウスに思いっきり背中を蹴られてしまったせいで、私の体は宙を飛び、息が一瞬止まってしまった。
その途端、未熟ながらも変化の魔法が解け、私の見た目はルイーザに戻ってしまった。
「では、行くぞ」
そう言ってルキウスは、またもや私の髪を引っ張り、ルイーザの部屋へと連れて行った。その冷たい声音と扱いに、ルイーザへの愛など微塵もないのだという事が良く分かった。元々、分かってはいたが、更に良く分かった。
「次、部屋から無断で出れば、啼かせるだけでは、すませぬと言った言葉を、其方はもう忘れたのか?」
「忘れ……ては……いません」
今更、言葉を取り繕っても仕方がない。私は此奴に剣を向け、ひと暴れしてしまったのだから……。
だが、何故だろう。つい敬語を使ってしまう。平伏さずにはいられないような雰囲気に私は息をのんだ。
「ならば、まずは罰を与えよう。二度と私から逃げる気を起こさぬまで、犯し続けてやるから覚悟をしろ、ルイーザ」
「っ! わ、分かりました! わたくしの負けです! 負けを認めるので、足の傷を回復させて下さい! これ以上時間が経てば、回復が出来ても円滑な歩行が難しくなる可能性が……うぐっ!」
言い終わる前に、ルキウスが私の足の傷を、思いっきり踏みつけた。部屋に私の悲痛な声がこだましても容赦なく踏みつけている。私がルキウスの足をどかせようとしても、ビクともしなかった。
「ルイーザ、私の愛を裏切ったのだ。その報いとして、足の回復は許さぬ」
私はその言葉に絶望した。私が、痛みに耐えながら、ルキウスを見上げると、ルキウスは私の口の中に何かを流し込んだ。
「うぐっ」
「吐くな。飲め。ただの鎮痛剤だ。余りにも痛みが強いと、快楽を与えても痛みに掻き消されるのでな」
何を言っているのだろうか、この男は……。
ルキウスは容赦なく私の髪を掴みながら、ベッドへと組み敷き、縛りつけ、着ているものを切り裂いた。
「で、殿下!? やめて! やめて下さい!」
「もう遅い。私を怒らせた其方が悪いのだ」
そう言って、ルキウスは私の首筋に舌を這わせた。ゆっくりと体を舐められ、その手が胸に触れた瞬間、私の体は跳ねてしまった。
「っ……あっ、なっ……んんっ」
何だ、この感覚は?
ルイーザの感覚か?
ルキウスの口振りでは、ルイーザとの交わりは何度もあるようだ。そのせいか、ルキウスから与えられる刺激に反応するように、体が慣れているとでも言うのか?
ルキウスは、冷たい目で笑いながら、私の乳首を指でピンと弾いた。
「んんっ!」
「ルイーザ、其方は私のものだ。生まれた頃より、そう教えて来た筈だ。なのに、近頃の其方は変だ。まるで、他の者が乗り移ってしまったかのようだ」
…………当たり前だ。あのように裏門で大立ち回りを演じたのだ。バレて当然だな。
「ルイーザ、言え。全て吐けば、足の回復をさせてやっても良いぞ」
「本当……ですか?」
「ああ、私の満足いく答えならな」
そう言いながら、ルキウスは私の胸を弄び始めた。話を真面目に聞いてくれる気はなさそうだ……。
「あっ、こんなの……話せなっ、話すからっ、やめっ、ああっ……吸わないでっ、んんぅ」
「では、早く話せ」
「ひぅ、待って……話せなっ、ああっ!」
ルキウスに乳首を舐められ、吸われ、時には焦らされるように乳輪を、ねっとりと舐められ、私はその快感に翻弄され、とてもじゃないが話せなかった。
「あっ、ああっ、ルキウ、スッ……やめっ、ああ!」
「話さないのか? クッ、良いのか? 回復が出来なくなるぞ」
ルキウスは嘲笑を浮かべながら、私の胸をまた舐め、私の体に手を這わせた。ゆっくりと体中に這わされる手と胸の刺激で、私は体をしならせ、与えられる刺激に抗う事が出来なかった。
「はぁ、まったく……」
だが、最近は忙しいのかルキウスも1日に数分顔を見せにくる程度だ。毎晩、凌辱しにやってくるのかと思ったが、あれは脅しだったようだ。
そうなると三食昼寝付き、マルクスのように無理難題も押し付けられない……思ったより居心地が良いのが困りものだな。
魔法のレッスンや礼儀作法といったものは鬱陶しいが、それだけを適当にこなせば、豪華な食事にフカフカのベッド……悪くはない。
ハッ! 危ない危ない。元来、怠け者な気質なので、気をつけぬと流されてしまいそうだ。
だが、あのような血生臭い男の奴隷として生きるのは御免だ……。
さて、ルキウスが忙しいうちに、そろそろ逃げるか……。
私は例の如くバルコニーから飛び降り、次は下女に身を窶した。
今回は部屋を抜け出した事がバレていないようだ。城内は至って静かだ。
私は、裏門へと向かい、建物の陰に息を潜めた。魔力で剣を具現化出来るかどうかも確認済みなので、万が一、門を守る衛兵と争いになっても大丈夫だ。
この体には体力や腕力がないのは考えものだが、あの程度の衛兵ならば、私の剣技のほうが勝る。それに、城さえ出れば転移魔法が使えるのだ。他国に逃げる事も可能だ。
私は、外に水汲みをしに行く下女のふりをしながら、門を通ろうとした。
「殿下が、泉の水を御所望との事ですので、外に汲みに行く事をお許し下さい」
「通れ」
おお! いとも容易いな。突然、泉の水が欲しいなどと、普通なら不自然だが、あの男が突拍子もなく意味不明な命令を出す事は珍しくないのだろう。
「待て!」
私がほくそ笑みながら通ろうとした瞬間、ルキウスの声が私を呼び止めた。私はドキリとしたが、今此処で捕まるわけにはいかぬので、走って門を抜ける事にした。
門さえ抜けてしまえば、こちらのものだ。
「っ!」
そう思ったが、ルキウスのほうが一枚上手なようだ。動きがとても早い……もう私の前へと回ってきたというのか……。
この様子だと、私がルイーザだという事はバレていそうなので、何としてでも捕まるわけにはいかぬ。
私は魔力を具現化し、剣を出した。一瞬、ルキウスは驚いた顔をしたが、すぐに面白いオモチャを見つけた顔をして、剣を構えた私に斬りかかってきた。
身のこなしが尋常じゃなく速い。それなのに、打ち込んでくる剣の一筋一筋はとても重い。迷いのない太刀筋に、私を殺す事を厭わないのだという事が、ひしひしと伝わってくる。
「くっ!」
この体の腕力で、まともに受け続けていたら、確実に負ける。私は次にルキウスの一手を受けた瞬間、後ろに飛び退き、それから身を大きく回転させ、ルキウスの頭上を飛び、そのまま門を出ようとした。
「っ!」
出ようとしたが、ルキウスは容赦なく、私の足に向かって短剣を投げた。着地した瞬間、痛みで体が大きく揺れ、私は着地に失敗してしまった。
「っう」
先程の短剣の攻撃で、どうやら片足の腱を切られてしまったようだ。この足の腱を切られてしまうと、腓腹筋の収縮が強く、傷口が離れてしまうので、長時間に渡り回復しないと、治癒に対して良好な状態ではなくなる。
私は何とか立ち上がろうとしたが、少しずつ近づいて来るルキウスから目を離せなかった。
逃げなければ……逃げなければいけないのに、何故動けないのだ……私の愚か者……。
まるで蛇に睨まれた蛙のようだ。あやつが捕食者で、私が獲物だとでも言うのか……。このルドヴィカ様が……手も足も出ないとは……。
結果、私はルキウスに捕まってしまった。当たり前だ、逃げる事もせずに、動く事も出来なかったのだから……。
「ぐっ! ゔぅっ」
「では、続きは部屋でしようか」
ルキウスは私の両手と両足を縛り、私の髪を引っ張ったまま歩き出した。足の傷を一切考慮しない縛り方に、激痛が走り、眩暈がしそうだ。
いっそ、殺せ。何故、殺さぬのだ?
私の事をルイーザだと気付いているからと言って、此処まで己をコケにした者を生かしておいてやる程、寛大ではないだろう……。
一体、何故ここまで容易くバレるのだ?
一体、この体の何処に "シルシ" が付けられているというのだ?
それにしても、城内を下女が引きずられていても、誰もルキウスを注意したりせぬのか……。廊下が血塗れなのだが……。
運び方というものがあるだろう。これでは、あとで掃除する者が大変ではないか。
私は引きずられている内に己の傷を回復しようと思い、縛られた手で足の傷に触れた。
髪を引っ張られ、やや気が散るがそうも言っていられないので、私はさっさと回復してしまう事にした。
「勝手な事をするな」
「ぐぇっ! っ……ハ……ッ、ゲホッ、ゲホッ」
回復魔法を己にかけようとした瞬間、ルキウスに思いっきり背中を蹴られてしまったせいで、私の体は宙を飛び、息が一瞬止まってしまった。
その途端、未熟ながらも変化の魔法が解け、私の見た目はルイーザに戻ってしまった。
「では、行くぞ」
そう言ってルキウスは、またもや私の髪を引っ張り、ルイーザの部屋へと連れて行った。その冷たい声音と扱いに、ルイーザへの愛など微塵もないのだという事が良く分かった。元々、分かってはいたが、更に良く分かった。
「次、部屋から無断で出れば、啼かせるだけでは、すませぬと言った言葉を、其方はもう忘れたのか?」
「忘れ……ては……いません」
今更、言葉を取り繕っても仕方がない。私は此奴に剣を向け、ひと暴れしてしまったのだから……。
だが、何故だろう。つい敬語を使ってしまう。平伏さずにはいられないような雰囲気に私は息をのんだ。
「ならば、まずは罰を与えよう。二度と私から逃げる気を起こさぬまで、犯し続けてやるから覚悟をしろ、ルイーザ」
「っ! わ、分かりました! わたくしの負けです! 負けを認めるので、足の傷を回復させて下さい! これ以上時間が経てば、回復が出来ても円滑な歩行が難しくなる可能性が……うぐっ!」
言い終わる前に、ルキウスが私の足の傷を、思いっきり踏みつけた。部屋に私の悲痛な声がこだましても容赦なく踏みつけている。私がルキウスの足をどかせようとしても、ビクともしなかった。
「ルイーザ、私の愛を裏切ったのだ。その報いとして、足の回復は許さぬ」
私はその言葉に絶望した。私が、痛みに耐えながら、ルキウスを見上げると、ルキウスは私の口の中に何かを流し込んだ。
「うぐっ」
「吐くな。飲め。ただの鎮痛剤だ。余りにも痛みが強いと、快楽を与えても痛みに掻き消されるのでな」
何を言っているのだろうか、この男は……。
ルキウスは容赦なく私の髪を掴みながら、ベッドへと組み敷き、縛りつけ、着ているものを切り裂いた。
「で、殿下!? やめて! やめて下さい!」
「もう遅い。私を怒らせた其方が悪いのだ」
そう言って、ルキウスは私の首筋に舌を這わせた。ゆっくりと体を舐められ、その手が胸に触れた瞬間、私の体は跳ねてしまった。
「っ……あっ、なっ……んんっ」
何だ、この感覚は?
ルイーザの感覚か?
ルキウスの口振りでは、ルイーザとの交わりは何度もあるようだ。そのせいか、ルキウスから与えられる刺激に反応するように、体が慣れているとでも言うのか?
ルキウスは、冷たい目で笑いながら、私の乳首を指でピンと弾いた。
「んんっ!」
「ルイーザ、其方は私のものだ。生まれた頃より、そう教えて来た筈だ。なのに、近頃の其方は変だ。まるで、他の者が乗り移ってしまったかのようだ」
…………当たり前だ。あのように裏門で大立ち回りを演じたのだ。バレて当然だな。
「ルイーザ、言え。全て吐けば、足の回復をさせてやっても良いぞ」
「本当……ですか?」
「ああ、私の満足いく答えならな」
そう言いながら、ルキウスは私の胸を弄び始めた。話を真面目に聞いてくれる気はなさそうだ……。
「あっ、こんなの……話せなっ、話すからっ、やめっ、ああっ……吸わないでっ、んんぅ」
「では、早く話せ」
「ひぅ、待って……話せなっ、ああっ!」
ルキウスに乳首を舐められ、吸われ、時には焦らされるように乳輪を、ねっとりと舐められ、私はその快感に翻弄され、とてもじゃないが話せなかった。
「あっ、ああっ、ルキウ、スッ……やめっ、ああ!」
「話さないのか? クッ、良いのか? 回復が出来なくなるぞ」
ルキウスは嘲笑を浮かべながら、私の胸をまた舐め、私の体に手を這わせた。ゆっくりと体中に這わされる手と胸の刺激で、私は体をしならせ、与えられる刺激に抗う事が出来なかった。
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