転生王女は諦めない 〜三度目の人生こそは破滅エンドを回避して幸せを掴んでやる〜

Adria

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番外編(ルクレツィオ視点)

おじ様の優しさ

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「2人とも、どうかしたのですか? 突然、転移してくるからには、急を要する何かがあるのでしょう?」
「お母様ぁ、ルクレツィオがね、ルクレツィオが……」
「ベレニーチェ!」



 おば様の言葉に、ベレニーチェが次はおば様に抱きつこうとしたので、私はベレニーチェを抑え、口を塞ごうとした。



「ルクレツィオ。其方、またやましい事でもしたのか? ベレニーチェに触るな!」
「おじ様! これは、違うのです!」
「お父様ぁ、お母様ぁ、ルクレツィオが変なオモチャ挿れたから、抜けなくなったの。このまま、抜けなかったら、どうしよう……」



 ベレニーチェから引き剥がされると、ベレニーチェがおじ様に抱きつき、あろう事か喋ってしまった。




「もう怖い。抜けなかったらどうしようって思うと、めちゃくちゃ不安だし……もうやだ、最悪」
「ベレニーチェ、すまぬ」
「愚か者! そのように、下卑た物を使うからだ!」



 ベレニーチェが半泣きになりながら、目を擦っている。私が、ベレニーチェに謝ると、おじ様の怒号が部屋に響いた。おば様は、とても信じられないという顔で私を見ている。




「話は後だ。まずは抜こうか……、ベレニーチェ」
「マッティア様、どうします? 侍医のオズヴァルド先生を呼びますか?」
「いや、ベレニーチェの気持ちを考えるなら内密に処置した方が良いだろう」




 おじ様はベレニーチェを抱き上げ、ベッドに乗せ、脚を開かせた。



「ベレニーチェ、大丈夫だから力を抜いていろ。すぐに終わる」
「はい……。レディースクリニックに行く心持ちで目を瞑っていますね」



 ベレニーチェは相変わらず、訳が分からない事を言っているが……そんな事よりも、おじ様が聞いた事もないような優しい声を出している事に驚きだ。



「もう大丈夫だ。抜けたぞ」



 おじ様は、私が驚いているうちに、いとも容易く抜いてしまった。目を瞬いているうちに、抜いてしまったので、私が驚いていると、ベレニーチェの感嘆の声が聞こえてきた。




「お父様、すごーい! 素早すぎて何かを感じる前に終わってた! あー、良かった! これで安心して眠れるよー」



 そう言いながら、おじ様のベッドで寝始めたベレニーチェに私が目を瞬いていると、おじ様はベレニーチェの頭を撫で、私のほうをゆっくりと向いた。



「ルクレツィオ、これは何だ?」
「これは……」
「この度は抜けたが、本当に抜けなくなったら、どうするつもりだったのだ!!」
「も、申し訳ありません!」



 私が頭を下げると、おじ様は私に向かって、オモチャを放り投げた。私が受け取ると、おじ様が私の前に立ったので、殴られるか蹴られるなと思い、目を瞑ると、おじ様は深い溜息を吐いた。




「今宵はもう帰れ」
「蹴らないのですか?」
「何だ? 蹴って欲しいのか?」
「そ、そういう訳では……」



 まるで突き放されたように感じてしまって、私はついおじ様のお召し物を掴み、変な事を聞いてしまっていた。



「そのような顔をするな。既に罰は受けているようだ。其方も抜けなくなって怖かったのだろう? ただ、これに懲りたら、二度とそのような物に頼るな」
「申し訳ありませんでした」


 私が頭を下げると、おじ様は私の頭を軽くポンと叩き、ベレニーチェにも同じように帰れと言ってくれた。




「ほら、ベレニーチェ。其方も寝るなら帰ってから寝なさい」
「此処は私のお家なのですよ」
「其方はもう嫁いだだろう。ワガママを言っていないで帰りなさい」



 それでも実家なのにと呟いているベレニーチェを、おじ様は膝に乗せ、宥めるように頭を撫でた。



「この度は不安だっただろうが、お互いちゃんと話し合いなさい。閨の事は、親が口を出す問題ではない。其方らでちゃんと話し合い、落としどころを見つけなさい」
「意外です。お父様は、絶対にルクレツィオを怒ると思ったのに」
「寝所で愛する女性を啼かせたいが故に、やり過ぎてしまう気持ちは分かる。なので、話し合いなさい」



 まさか、理解してもらえると思っていなかったから、私はとても驚いた。確かに、おば様は啼かせ甲斐がある顔や雰囲気をしている……。
 これを口にしたら確実に蹴られるので、口には出来ないが……。



「あ、2人とも。折角、来たのですから神殿で御子みこに会っていきなさい。それから、わたくし達にも早く会わせて下さいませ。孫の顔を見れるのを楽しみにしているのですよ」



 おば様の言葉に、おじ様も頷いたので、私たちは神殿へと赴くことにした。すると、おじ様が召喚の間まで、転移の魔術で送ってくれたので、私たちは礼を言い、御子みこに向き合った。



「お父様の転移の魔術は素晴らしいですね。魔法陣をえがかないから、素早いですし」
「母上も魔法陣を使わずに、同じように転移するが、恐らくとても難しいのだと思うぞ」
「まあ、そうでしょうね」



 御子みこを見つめながら、私たちは暫し、他愛ない話を繰り返した。


 すると、ベレニーチェが御子みこに一歩近づき、御子みこの前で跪き、右手の親指と人差し指と中指の先を合わせ、薬指と小指を曲げ、額・胸・右肩・左肩の順に指を動かして十字を切り、深く頭を垂れたので、私も同じように真似てみた。



「この祈り方はベレニーチェの世界の宗教か?」
「ええ。ロシア正教会のものです。私、生きる世界が変わってもイエス・キリストイイスス・ハリストス様への信仰心を捨てられないのです」
「そうか……。だが、捨てる必要はない。その神には、私もベレニーチェも沢山救われたように思う」



 すると、ベレニーチェがそうですねと嬉しそうに笑ったから、私はベレニーチェの頬に手を添え、口付けた。



「んっ……んんぅ、ちょ……待っ」



 私がベレニーチェを台座の上に押し倒すと、ベレニーチェが慌てて、私の胸を押し返そうとした。



「駄目か?」
「だけど、罰当たりじゃありませんか?」
「だが、此処でした方が帰ってきやすいかもしれぬぞ」



 私がベレニーチェの腹を撫でながら、そう言うと、ベレニーチェが「そういうものなのかな……」と首を傾げているので、私はまたベレニーチェに口付けた。



 ゆっくりと唇から顎をなぞり、首筋から鎖骨、胸へと全身に舌を這わせて行った。今宵は御子みこの前だという事もあり、ベレニーチェのナカにオモチャを残してしまったという後悔もあって、なるべく優しく抱くように努力しようと思う。




「あっ、待っ……んんっ、ふぅ、あっ」
「ベレニーチェ、愛している」
「んんっ、ふ……ぅっ、私もっ、愛してますっ」



 ベレニーチェの脚の間に体を滑り込ませ、足の指まで丹念に舐めると、ベレニーチェが戸惑うように私の頭を押そうとした。




「んんっ、足ダメっ、汚っ」
「ベレニーチェの体で汚いところなど何一つない」
「そっ、そんな事ないもんっ……んぅ、あんっ!」



 私は、足の指は嫌だと言うから、秘所を舐めることにした。舌で包み込むように秘所の蕾を舐めると、ベレニーチェはすぐにイクのだ。



「ひぁっ! 待っ、あ、んぅ……ルク、レツィ、オ……ッ、ああっ、んんっ」



 ベレニーチェが私の髪をギュッと掴みながら、快感に耐えようとしているのが愛おしく、更に絶頂を煽るように舐めてやると、次第に私の髪を掴む手に力が入り、内股がガクガクと震えだした。
 絶頂が近いと分かった私は、更にベレニーチェの秘所の蕾を丹念に責め、吸いついた瞬間、ベレニーチェは私の頭を押しながら、体を大きく震わせ達した。



「あああっ! あっ、ィ、ッちゃ、~ッ! あああぁぁっ!!!」



 そして、私はベレニーチェの秘所に己を擦り付けると、ベレニーチェが私を求めるように両手を伸ばしたので、私はそれに応えるようにベレニーチェをギュッと抱き締め、ゆっくりと己を挿入していった。



「あああっ!! これ、気持ち、良すぎっ……あああっ! んんっ、ひあっ……あああっ! イッちゃう、あああ!!!」
「またイッたのか?」
「ひぅっ、らって、むりぃ、奥、まで、犯さっ、れてるっ……みたひっ、あああぁぁぁぁ!! うそうそ、イクの止まらな、ひゃ……あひぃぃぃ!! あああぁぁぁ!!」



 荒々しく腰を振ると、ベレニーチェが何度もイキ続けているので、私もベレニーチェのナカに一度目の精を吐き出した。



 そして、抜かずに何度も繰り返し精を吐き出した頃、突然頭上が光り出した。



「ふえっ? にゃ、にゃに? へ?」



 呂律の回っていないベレニーチェに答えてやれず、私はずっと光っている御子みこを見つめていた。


 眩いばかりの光を放った後、御子みこはベレニーチェの腹に吸収されていった。



「へっ? こ、これってまさか……」
「懐妊した……のか?」



 私たちは顔を見合わせ、嬉しくなり、慌ててエトルリアの王宮へと転移し、ペガゾとおじ様たちに報告する事にした。
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