一人暮らしだけど一人暮らしじゃない

ツヨシ

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「たとえば、とは?」

「さっき言った、生きた人間にはできないことができるって」

「肉体を持たないから、とんでもない速さで移動したり。あるいは壁をすり抜けたり。なかでも一番やっかいなのが呪いだな」

「呪いなんてあるのか?」

「ある。しかも幽霊は人を呪っても殺しても、警察に捕まる心配が全くない。むこうが本気ならやりたい放題だな」

俺は思い始めた。

心霊スポットって、やっぱりやばいところなんじゃないかと。

黙っていると熊田が聞いてきた。

「いきなりなんでそんなことを聞くんだ?」

「いや、河本が心霊スポットに行こうと言ってきたもんだから。ちょっと聞いておこうと思って」

「ふうん。それで霊感のある俺に聞いてきたわけだ。一つ言っておくと、霊感のある人間は、心霊スポットなんてまず行かないよ」

「そうか」

「そうだ。一応忠告はしたぞ」

「わかった。ありがとう。参考になったわ」

「いやいや。こんなんでよければ」


そして俺は結局、心霊スポットに行った。

断ったのだが河本に押し切られたのだ。

河本は押しが強く、俺は押しに弱いのだ。

せっかく熊田に事前に聞いたというのに、無駄になってしまった。

心霊スポットと言われている場所は、大学からわりと近くにある廃墟だ。
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