16 / 41
16
しおりを挟む
アパートに着くと早速語りかけた。
――おかえりなさい。寂しかったわ。
――俺もだよ。それより大事な話がある。
――なに、大事な話って?
――もうすぐ熊田というやつがここにやって来る。自称霊感があると言うやつだ。本当かどうかは知らないが、もし本当だったとしたら、ミキがここに居ることがわかってしまうんだ。
――ええっ、そうなの?
――そう。そうなると間違いなく騒ぎになるし、その上除霊とかお祓いなんて話になったら、ミキがここにいられなくなってしまうんだ。
――そんなのいやだわ。せっかく二人で楽しくやっているのに。
――俺もそれはいやだ。だから今からしばらくの間、どこかに隠れていてくれないか。
――そうねえ。そうなると元居たところかしら。
――あの廃病院だね。
――そう。あそこに戻ることはもうないと思っていたけど、少しくらいならいいわね。
――そうしてくれる。
――わかったわ。それじゃあ夜には戻ってくるから。
――うん、待ってるよ、ミキ。
――待っててね、まさと。
それから言葉は入ってこなくなった。
どうやら行ったようだ。
そのまま何もしないでいると、玄関のチャイムが鳴った。
出ると熊田だ。
――おかえりなさい。寂しかったわ。
――俺もだよ。それより大事な話がある。
――なに、大事な話って?
――もうすぐ熊田というやつがここにやって来る。自称霊感があると言うやつだ。本当かどうかは知らないが、もし本当だったとしたら、ミキがここに居ることがわかってしまうんだ。
――ええっ、そうなの?
――そう。そうなると間違いなく騒ぎになるし、その上除霊とかお祓いなんて話になったら、ミキがここにいられなくなってしまうんだ。
――そんなのいやだわ。せっかく二人で楽しくやっているのに。
――俺もそれはいやだ。だから今からしばらくの間、どこかに隠れていてくれないか。
――そうねえ。そうなると元居たところかしら。
――あの廃病院だね。
――そう。あそこに戻ることはもうないと思っていたけど、少しくらいならいいわね。
――そうしてくれる。
――わかったわ。それじゃあ夜には戻ってくるから。
――うん、待ってるよ、ミキ。
――待っててね、まさと。
それから言葉は入ってこなくなった。
どうやら行ったようだ。
そのまま何もしないでいると、玄関のチャイムが鳴った。
出ると熊田だ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる