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居間でのんびりテレビを見ていると、突然何かが俺の前の床を転がってきた。
見ればそれは綱。
どう見ても綱としか言い様のない代物だった。
それが今、目の前の床に伸びているのだ。
――なんだ、これは?
俺は綱を目で追った。
床に横たわる綱は、途中から宙へと上がって行き、最終的には壁を突き破って俺の家の中に入ってきていることがわかった。
壁を突き破ってと言っても、壁に穴が開いているわけではない。
いくら目を凝らして見ても、そんなものは何処にもない。
なのにこの綱は、壁から侵入して来ているのだ。
――これは、いったい……
俺はその綱を手に取ってみた。
すると何故だかは皆目わからないのだが、その綱を強く引っ張らないといけないような気がしてきたのだ。
俺は立ち上がり、腰を落としてその綱を力をこめて引いた。
すると何かが聞こえてきた。
しかしそれは小さく短いものだったので、何の音かはわからなかった。
俺は力を抜き、耳をそばだてたが何も聞こえてはこなかった。
俺はもう一度全体重を乗せて綱を引いた。
するとまた何かが聞こえてきたが、やはりそれが何であるかはわからなかった。
はっきりと聞こえるのはテレビの音だけだ。
数人の芸人が、入れ替わり立ち代り間を空けることなく、高いテンションでしゃべり続けている。
俺はテレビを消した。
すると一瞬にして静寂が訪れた。
その思いがけないほどのあまりの変わりように、一瞬現実世界から異世界に転送してきたのかと思ったほどだ。
見ればそれは綱。
どう見ても綱としか言い様のない代物だった。
それが今、目の前の床に伸びているのだ。
――なんだ、これは?
俺は綱を目で追った。
床に横たわる綱は、途中から宙へと上がって行き、最終的には壁を突き破って俺の家の中に入ってきていることがわかった。
壁を突き破ってと言っても、壁に穴が開いているわけではない。
いくら目を凝らして見ても、そんなものは何処にもない。
なのにこの綱は、壁から侵入して来ているのだ。
――これは、いったい……
俺はその綱を手に取ってみた。
すると何故だかは皆目わからないのだが、その綱を強く引っ張らないといけないような気がしてきたのだ。
俺は立ち上がり、腰を落としてその綱を力をこめて引いた。
すると何かが聞こえてきた。
しかしそれは小さく短いものだったので、何の音かはわからなかった。
俺は力を抜き、耳をそばだてたが何も聞こえてはこなかった。
俺はもう一度全体重を乗せて綱を引いた。
するとまた何かが聞こえてきたが、やはりそれが何であるかはわからなかった。
はっきりと聞こえるのはテレビの音だけだ。
数人の芸人が、入れ替わり立ち代り間を空けることなく、高いテンションでしゃべり続けている。
俺はテレビを消した。
すると一瞬にして静寂が訪れた。
その思いがけないほどのあまりの変わりように、一瞬現実世界から異世界に転送してきたのかと思ったほどだ。
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