24 / 37
24
しおりを挟む
気合を入れなおしたからと言って、結果が出るとは限らない。
暗くなるまで探したのだが、なに一つ見つからなかった。
そもそも、一体なにをさがせばいいのかもわからないのだから。
帰る。
洞窟。
夜。
いつもの無言。
いつもの疲れ。
肉艇的なものはとうぜんだが、それ以上に精神的のものの方が強かった。
そろそろ寝ようかと考えていると、はるみが言った。
「もう一度、村の人に聞いてみたら、どうかしら。お寺のお坊さんのように、まともに話ができる人もいるかもしれないわ」
正也もみまも同意はした。
ただいつものように消極的な同意だった。
村人と全員話したとしても、なにか得るものがあるとはとても思えない。
可能性はゼロではないのだろうが、限りなくゼロに近いだろう。
しかし他にやるべきことが思いつかない。
可能性がゼロではないのなら、
それに賭けるしかないのだろう。
そういった希望の極めて薄い同意だった。
「それじゃあ明日やることは決まったわね。もう寝ましょうか」
はるみがそう言い、横になる。
正也とみまも横になった。
横になったからと言ってすぐに眠れるわけではない。
しかし今は休むこと以外することがないのだ。
そして正也はいつの間にか眠りについた。
その夜、正也は夢を見た。
真っ暗な空間でひたすらもがいている夢だ。
夢の中で正也は思った。
これはまるで今の現状じゃないのか。
どこかで自分は夢を見ていると意識をしていたのだ。
その夢は随分長く続いたと感じられたが、やがて終わった。
また朝がやってきた。
そして目覚める。
朝は毎日必ずやってくる。
もしかしたら、この村で唯一確実なものなのかもしれない。
三人が別々に目覚めた。
早く起きた者が誰かを起こすと言うことはしない。
最後に目覚めたのはみまだった。
「おはよう」
「おはよう」
「おはよう」
いつものあいさつ。
いつもの声。
今日は村人に話を聞きに行く予定だ。
しかしいま一つ気が乗らない。
動く気になれない。
ただじっと座っていると、
そのうちにはるみが言った。
「今日は村人に話を聞くんだったわね。それじゃあそろそろ行きましょうか」
すっと立って歩き出す。
二人はその後をついて行った。
村に着いた。
一番近くの民家から始める。
「ごめんください」
出てきたのは初老の男性だった。
まるで生きた人間に見える幽霊だ。
この村を作り上げた四十八人の亡霊の一人。
はるみが聞く。
「すみません。この村から出たいんですけど、いったいどうしたらいいんですか?」
「この村から出たいんですか。この道は一本道だから、東か西へ行けば出られますよ」
相変わらず感情のない能面の顔で男が言った。
「いえでも、どちらに行っても一瞬で村に戻されるんですが」
「もし車がないのなら、一日一本バスが来ますよ。それに乗れば登りでも下りでも、村から出られますよ」
「バスですか。ここに来てからバスなんて見たことがないんですが」
「ここから少し歩けば、二体のお地蔵さんが並んでいるところがあります。そこのバス停の時刻表があるはずですが」
二体の地蔵。
いつも車が戻されるところだ。
しかし何度もそこに行く羽目になっているが、バス停の時刻表など、見たことがない。
暗くなるまで探したのだが、なに一つ見つからなかった。
そもそも、一体なにをさがせばいいのかもわからないのだから。
帰る。
洞窟。
夜。
いつもの無言。
いつもの疲れ。
肉艇的なものはとうぜんだが、それ以上に精神的のものの方が強かった。
そろそろ寝ようかと考えていると、はるみが言った。
「もう一度、村の人に聞いてみたら、どうかしら。お寺のお坊さんのように、まともに話ができる人もいるかもしれないわ」
正也もみまも同意はした。
ただいつものように消極的な同意だった。
村人と全員話したとしても、なにか得るものがあるとはとても思えない。
可能性はゼロではないのだろうが、限りなくゼロに近いだろう。
しかし他にやるべきことが思いつかない。
可能性がゼロではないのなら、
それに賭けるしかないのだろう。
そういった希望の極めて薄い同意だった。
「それじゃあ明日やることは決まったわね。もう寝ましょうか」
はるみがそう言い、横になる。
正也とみまも横になった。
横になったからと言ってすぐに眠れるわけではない。
しかし今は休むこと以外することがないのだ。
そして正也はいつの間にか眠りについた。
その夜、正也は夢を見た。
真っ暗な空間でひたすらもがいている夢だ。
夢の中で正也は思った。
これはまるで今の現状じゃないのか。
どこかで自分は夢を見ていると意識をしていたのだ。
その夢は随分長く続いたと感じられたが、やがて終わった。
また朝がやってきた。
そして目覚める。
朝は毎日必ずやってくる。
もしかしたら、この村で唯一確実なものなのかもしれない。
三人が別々に目覚めた。
早く起きた者が誰かを起こすと言うことはしない。
最後に目覚めたのはみまだった。
「おはよう」
「おはよう」
「おはよう」
いつものあいさつ。
いつもの声。
今日は村人に話を聞きに行く予定だ。
しかしいま一つ気が乗らない。
動く気になれない。
ただじっと座っていると、
そのうちにはるみが言った。
「今日は村人に話を聞くんだったわね。それじゃあそろそろ行きましょうか」
すっと立って歩き出す。
二人はその後をついて行った。
村に着いた。
一番近くの民家から始める。
「ごめんください」
出てきたのは初老の男性だった。
まるで生きた人間に見える幽霊だ。
この村を作り上げた四十八人の亡霊の一人。
はるみが聞く。
「すみません。この村から出たいんですけど、いったいどうしたらいいんですか?」
「この村から出たいんですか。この道は一本道だから、東か西へ行けば出られますよ」
相変わらず感情のない能面の顔で男が言った。
「いえでも、どちらに行っても一瞬で村に戻されるんですが」
「もし車がないのなら、一日一本バスが来ますよ。それに乗れば登りでも下りでも、村から出られますよ」
「バスですか。ここに来てからバスなんて見たことがないんですが」
「ここから少し歩けば、二体のお地蔵さんが並んでいるところがあります。そこのバス停の時刻表があるはずですが」
二体の地蔵。
いつも車が戻されるところだ。
しかし何度もそこに行く羽目になっているが、バス停の時刻表など、見たことがない。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
怪蒐師
糸世朔
ホラー
第8回ホラー•ミステリー大賞で優秀賞を受賞しました。ありがとうございました!
●あらすじ
『階段をのぼるだけで一万円』
大学二年生の間宮は、同じ学部にも関わらず一度も話したことすらない三ツ橋に怪しげなアルバイトを紹介される。
三ツ橋に連れて行かれたテナントビルの事務所で出迎えたのは、イスルギと名乗る男だった。
男は言った。
ーー君の「階段をのぼるという体験」を買いたいんだ。
ーーもちろん、ただの階段じゃない。
イスルギは怪異の体験を売り買いする奇妙な男だった。
《目次》
第一話「十三階段」
第二話「忌み地」
第三話「凶宅」
第四話「呪詛箱」
第五話「肉人さん」
第六話「悪夢」
最終話「触穢」
※他サイトでも公開しています。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる