深き水の底に沈む

ツヨシ

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二人で洞窟に入り、座る。
みまは泣いていた。
正也はみまを優しく抱きしめた。
みまは正也に抱かれながらもずっと泣いていた。

目覚めた。
いつの間に眠っていたのだろう。
正也が目覚めた時、みまはもう起きていた。
目をはらしたままで。
二人、なにも言わない。
そこには重い事実だけがある。
はるみが化け物に喰われてしまったのだ。
正也が座っていると、みまがすぐ横に座った。
正也がみまの肩を抱くと、みまが頭を正也にゆだねた。
そのまま動かない。
時折、みまの目から涙が流れるのが見える。
二人は動くこともなく、口を開くこともなかった。
そしてそのうちにあたりが暗くなってきた。
二人して横になる。

今日も朝がやって来た。
正也が起きると、みまが先に起きていた。
やはりなにも語らない。
そして動かない。
その日は二人、向かい合って過ごした
。一言も口を開かないままに。
そして夜になる。

その後、数日間、二人で洞窟で過ごした。
なにもせず、何も語らないままに。
そして最初に口を開いたのはみまだった。
「お寺に行って、はるみさんをともらってもらいましょう」
「そうだな。それがいいな」
正也が答え、二人で寺に向かう。
はるみはどうしてもともらって欲しい人間だ。
異論はない。
なぜ今で思いつかなかったのか。
それだけはるみの死は、衝撃も悲しみも大きかったのだろう。
二人洞窟を出て歩いた。
寺について呼ぶと、住職が出てきた。
住職は二人を見た。
そしてその顔を。
住職が何も言わないでいると、みまが言った。
「はるみさんが化け物に喰われてしまいまして。どうかともらってやってください」
「そうですか。二人しかいないし、その表情。もしやと思ったのですが。まことに悲しいことです。わかりました。はるみさんをともらってやりましょう。私にできることと言えば、それくらいしかありませんから」
「よろしくお願いします」
「わかりました」
頭を下げ、二人で寺を後にする。
そして洞窟に帰る。
そのままなにもしない。
やがて夜が来た。

朝。
起きる。
二人。
静寂。
それ以外はなにもない。
その日は洞窟から出ることはなかった。

再び朝が来る。
目覚める。
二人の間に少しの会話があったが、それはあいさつに毛の生えた程度のもので終わった。
二人の会話は続かないし、無理に続けようと言う気もない。
そして夜。
眠りにつく時間だ。

また朝。
昨日よりは少しはしゃべった。
沈黙の間にたまにあるだけの、重く短い会話を数回。
それだけで夜になった。

起きた時、正也は思った。
もう何日洞窟にこもっているだろうか。
外は危険だ。
それは間違いない。
しかしここにこもっていても、事態はまるで進展しない。
それにこの洞窟に化け物が来ないと言う保証はないのだ。
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