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「えっ、もう帰るのか。愛想ないぜ」

私は返事をすることもなく、道場を出た。

車に乗り込むと、思った。

戦鎚も基礎を覚えるだけで常人なら少なくともニ、三年はかかるが、あいつならもっと早く覚えられるだろう。


一人でやれる仕事をこなしていると、青柳から連絡があった。

「会って欲しい人材がいる」

「またスカウトか?」

「いや、スカウトの必要はない。向こうからやって来たし、本人はやる気満々だ」

「向こうからやって来た? 一般人は我々のことを知らないはずだが。一般人ではないのか」

「一般人ではない。茜(あかね)の妹だ」

「茜……かあ」

「どうだ。会うか?」

「会う。それで青柳の見立てだと、どれほどの才があると思う?」

「姉以上だ」

姉以上。それは凄い。

「そうか、それなら是非会ってみたいな」
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