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ダンジョン・コア
暗闇に灯りが灯った。
いつこの世に生を享けたのか、物心ついてどれほどの時間が過ぎたのか、私は知らない。
私は外界の者達からダンジョンと呼ばれ、数えきれぬほど多くの者達が私の中へと入っては消えていった。
その長い時間をかけて私は外界の個体が使う言葉を学び、彼らの話から外界での彼らの暮らしや様子を想像して半ば永遠とも呼べる永い時を過ごした。
永い私の生の中で、私は時々お気に入りの個体に出会い、そして離別した。あるものは私から去り、あるものは老いて力尽き私の糧となり、そしてあるものは同族に殺された。
それでも、いまだかつて私の本体の許にたどり着いた者は、一個体として無かった。
今、この時までは。
私の周りには、魔法の炎を灯した松明を手に、部屋の宙に浮かぶ私を見上げるもの達が数個体あった。
「ひょっとしてこれがこのダンジョンのコアって奴か?」
「あ、ああ、そうだな」
「こんな巨大なのは初めて見る」
「過去の記録で一番大きなものとも比べ物にならないくらいデカいなこれは」
「じゃあ俺たちは最下層到達って事か」
「うぉーっ!ついにやったぞーっ!」
彼らはいつだって賑やかで無遠慮だ。彼らは喜びを全身で表現した。
しばらくして落ち着くと、彼らの一個体が体格に似合わない大降りな剣をひょいと振り上げ、私を見ながら言った。
「よーし、あとはこいつを破壊するだけだな!せーのっ」
「馬鹿、待て、早まるな!」
そして私は無造作に振り下ろされた剣より放たれた魔法の斬戟によって、真っ二つに割れ、あっけなく死を迎えたのだった。
~
「馬鹿、なんでダンジョンコアを壊すんだよ!」
「ええっ!ダンジョンの最下層でダンジョンコアを壊すのは〈ラノベ〉の定番だろ?」
「らの…何だって?」
「〈ラノベ〉だよ」
「なんか良く分からんが…、はぁー…、折角苦労してダンジョンコアまでたどり着いたというのに…」
「ん?破壊したら駄目だったのか?」
「はぁ…ダンジョンコアに集積した魔力じゃなければ使えない属性魔法があるんだ。」
「ダンジョンコアの欠片じゃだめなのか?」
「生きたダンジョンコアを通さないと生まれない魔法属性でな、核属性って言うんだが」
周囲からゴゴゴという地鳴りが響いてきた。
「どうやらダンジョンが崩壊するようだな」
「よし、ここでできる事はもう何もない。各自、転移スクロールで脱出しろ」
パーティメンバーが次々と転移して姿を消すなか、一人だけ転移しないものがいた。ダンジョンコアを破壊した剣士だった。
「やべ、これ転移スクロールじゃねぇっ!?うわーっ!」
土圧に耐えられなくなった壁や天井が迫るなか、虚しい悲鳴が部屋のなかに響き渡った。
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