地方公務員のおっさん、異世界へ出張する?

白眉

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第七章

7-9 なんちゃって実験

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 ベリルとスピネルが両脇で寝ているところに、いつの間にかディートリヒとナズナも部屋に入って来て、5人で寝ている…。
キングサイズのベッドとはいえ、5人は狭い…。
寝返りがうてない…。

 皆起きたのだろうか…、4人が話をしている。
少し聞き耳をたてていると、ディートリヒがおはようのキスの事を話しているようだ。
確か、朝はディートリヒ、ナズナの順で、夜はその逆だったよな…。

 そんな事を思い出しながら、皆に「おはよう」と言うと、やはりディートリヒが近づいてくる。

「ディートリヒ、おはよう。chu」
「カズ様、おはようございます。覚えていてくださったのですか?」
「ははは、まぁね。」

 ディートリヒの瞳がウルウルとしているよ。

 続いてナズナにキスをし、その後、どうしようかと悩んでいると、スピネルが近づいてきた。
あ、俺と繋がった順か…。

 スピネルにキスし、最後にベリルにキスをする

「皆、おはよう。」
「おはようございます(((おはようございます)))。」

皆、笑顔だ。すごく幸せだ。

「みんな、良い笑顔だね。今日も一日踏ん張ろう。」
「はい(((はい)))。」

 着替えてリビングに行く。
今朝は昨日市場で新鮮な野菜を買って来たので、パンとサラダとオムレツにする。
オムレツにはケチャップだ。今回初登場させてみるけど、この世界にあることを望む。

「さぁ、出来たよ。では、いただきます。」
「いただきます(((いただきます)))。」

 皆、パクパクと食べているが、ケチャップには手を出していない。
「これ、ソースの一種なんだけど、トマトもどきから出来ているんだ。
 卵にかけると美味しいと思うよ。」

 俺は、自分のオムレツにケチャップをかけて食べる。
食べた後、頬をペシペシとタップする…、美味しいという合図だ。

 皆恐る恐るかけて食べてみる…。
その後はケチャップ争奪戦だった。
ナズナに至っては、パンにケチャップを付けて食べている。
そのうちハンバーガーも出してみよう。

「なぁ、みんな、何でパンがこんなに堅いんだ?」
「カズ様、パンとはこういうものです。」
「どうやって作っているんだ?」
「お館様、それはパン屋に聞かないと分かりませんね。」
「そうか…。よし、今日のみんなの仕事を決めたよ。
ディートリヒは、伯爵邸に行ってユーリ様にこれまでのソースの特許使用料の使い道を聞き、さらにケチャップを持って行って実際に食べてもらってくれ。そして、ケチャップを展開することは可能かを聞いてほしい。
それと、これは内密な話として進めてほしいが、馬車の改良を考えていることと、その改良した装置の特許の取得は可能かを聞いてほしい。
あ、それと焦らすのもいけないから、下着の開発と石鹸の開発にも着手したことを伝えて。
ナズナは、この街で一般市民が生活していく上でいくら使っているのかを調べて欲しい。その後、明日から一年間、アイナさんを家直属の鍛冶師として雇用する契約をするから、契約書を作って欲しい。報酬額は月大銀貨30枚だ。
 ベリルは、パン屋に行き、パンの作り方を教えてもらってくれ。
勿論、タダでとは言わないし、もし、俺の推測が正しければ、ひと手間加えるだけでおいしいパンができることも伝えてほしい。
 スピネルは俺と残って、石鹸を作る素材の調合と錬成、それに使う器材を買いに行こう。
そうだな…。ディートリヒは伯爵邸でランチに拉致られる可能性もあるから…、みんな昼食は各自で採るということでいいか?」
「はい(((はい)))。」

「カズ様、皆活き活きしていますね。」
「ディートリヒは嬉しいかい?」
「はい。でも伯爵邸へ行くということはその間、カズ様の傍に居ない事になりますので、少し寂しいです。」
「ありがとね。愛しているよ。」
「ナズナ、結構ヘビーな仕事となるけど大丈夫か?」
「はい。昔であれば“無理です”と泣き言を言っていたかもしれませんね。」
「できることをすればいいからね。それと出来ないことを恥じるのではなく、出来ないことは誰かに聞いて自分の知識とすることも忘れないでね。 愛してるよ。」
「ベリル、パン屋を尋ねることに戸惑いはないか?」
「少しありますが、知らない事を教えていただくことは自分のためにもなると思っています。」
「それを俺の世界では『無知の知』とか『汝自身を知れ』と言ったりするよ。
 踏ん張ってね。 愛しているよ。」
「スピネルは、これから俺とマンツーマンで魔法の特訓をする。
マナが少なくなったら言ってくれ。マナ不足で倒れてもいかんし、俺のようにマナ中毒になっても後々大変だからね。」
「はい、よろしくお願いします。ところでマナ中毒になるとどうなるのでしょうか。」
「それは…、ディートリヒとナズナに聞いてほしい…。 愛してるよ。」

「よし、それじゃ行きますか!」

 全員にバフがかかってしまった…。

 スピネル以外が家から飛び出していった。
皆生き生きしている。

 ジョスさんが家に来て、倉庫の改修を始める。
俺とスピネルは家に残り、昨晩ディートリヒと愛し合った研究室に入る。
勿論クリーンをかけてあるので問題ない。

「さて、スピネル。ご覧のとおりここには何もない。だから錬成に必要な器材を買いに魔道具を扱っている店に行こう。」
「はい。では器材を買った後、私がマナ中毒になるという事ですね!」
「いえ、マナ中毒にはさせません…。」
「そうですか…残念です。」

 少しキャラが出てきたかな。
でも残念なキャラにはならないで欲しい…。

 家を出て、魔導師通りにやって来た。
レルネさんの店を覗くが、まだ帰ってきていない。店のドアに『旅行中!』と書いてある…。
あれは旅行だったんだ…。と思うが、まぁしょうがない…。他の店で見繕うことにする。

 魔道具屋は数軒しかなかったが、調合に使うビーカーやフラスコ、上皿天秤など、理科室の実験器材がたくさんある。懐かしい…。
科学や物理という専門になる前は結構実験が好きで、理科の授業で石鹸も作ったくらいだ。
ただ、先生の説明時間が長くて固まらなかったが、今回はしっかりと時間をかけることができる。
ただ、この世界で残念なのは人体模型がない事だ。
そう言えば、病気などもポーションや薬草で治しているし、石化と言ったこれまでの世界にないものもある…。何が正解なのかは分からないが、科学の知識がない俺にとってはウィルスを撲滅させるといった事は難しいかもしれない。





 それ相応の器材を購入できたと思う…。
せっかくだから、スピネルと一緒にランチをしようと提案すると、スピネルがクネクネし始める。

「主様と初デートですぅ…。それもランチを一緒に…、むふぅ…。幸せです…。」

 やめた方が良かったのか…。
食事処に入り、お勧めのランチを2つとお勧めプレートを一つ、飲み物を2つ頼む。

「主様、プレートを追加で頼んだのは何故ですか…。」

 普通の食事量ではスピネルさんが足りなくなるからです。とは言えないよな。

「ここのプレートはおいしいって聞いたからね。シェアして食べよう。」
「はい!」

 いえ、スピネル一人でいけると思いますよ。

 料理が来るまでに、これから錬成をする内容と初めてする調合魔法の話をする。
スピネルも初めてなので、瞳を輝かせながら聞いている。
 食事が来た。
うぉ!凄い量だ。俺、こんなに食えるだろうか…。

「じゃぁ食べようか。」
「はい。」



 うん。杞憂に終わったよ。
スピネルは自分のランチを平らげプレートに…、そして俺が食べきれなかった料理も平らげてくれた。
終始スピネルは「主様と間接キッス…むふぅ…。」と言っていたが、それはキスしてない青春している若者が妄想する事だから。
俺たちは既に大人の階段を上っているんだよ…と言いたい。

お腹がいっぱいになり、家に帰ると何もしたくなくなる…。
俺はダメダメなヒトだな、と思っている傍でスピネルがワクワクしている。
あぁ、スピネルは魔法を習いたかった事を思い出し、しぶしぶ錬成を始める。

「スピネル、この岩塩と灰を煮詰めていくからね。」
「はい。」
「と言うんだけど、煮詰める時間が勿体ないから、出来上がったものを見て。」

 俺は岩塩と灰を水に入れた状態のものを煮詰めた結果をイメージし錬成魔法をかける。

「はい。これが煮詰めた結果がこれです。下に沈殿している部分が石鹸の素材となるからね。」

 スピネルさん、眼を丸くしてる。
そりゃそうだよな。煮詰めるという作業なしでこんな沈殿はできない。しかし結果をイメージできることは良いことだ。

「主様、この白いどろどろとしたものは何ですか?」
「あ、これ?これを乾燥させたものを重曹って言うんだ。石鹸もそうだけど、食べ物や掃除にも使えるからね。
 じゃぁ、やってみて。出来上がったものをイメージすることが肝心だよ。」
「はい。」

 適当に岩塩と灰を混ぜ錬成魔法をかけていく。

「主様、岩塩と灰をいれる量によって、重曹の量は変わるんですか。」
「うん。俺には分からんよ。適当に作ってるから、塩梅の良い量で…。」

 すまん、スピネル。俺文系だから…。
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