32 / 36
2
32
しおりを挟む
「好奇心で調べたわけじゃない。お前が何か勘違いしてるかもって、悪い人たちじゃないはずだって思って」
「でも俺を置いて勝手に死んだ人だよ」
「更織さんは……お母さんは仕方ないだろ。絶対お前を残して死にたくなかったはずだ。悔しかったと思うよ」
「でも父は勝手に死んだ」
沈黙が落ちる。
遊里は彰仁の目を見つめたまま続けた。
「俺はまだ小さかった。小学生の頃だったかな。母がいなくなって毎日大変で……なのにあいつは一人で酒を飲んで酔っ払って暴れた。更織が死んだのはお前のせいだって殴るんだ。そして母に似てる俺を抱きしめて愛してるって言う。その繰り返し。悲しいのはあいつだけじゃないのに俺はあいつの悲しみさえ引き受けなきゃいけなかった」
まだ小さな遊里はそれでも懸命に父を守ろうとした。
友達とも遊ばずまっすぐに学校から帰ってきて家事をした。食事を作って掃除をして、母がいなくても生活ができるように必死だったのに突然いなくなった。
何日も帰ってこなくて、ある日警察が来た。
母の四十九日が過ぎたころのことだった。
雨が続いていた季節のことだ。
母の墓石の前で倒れているのを発見されたそうだ。深酒の後に大量の薬を飲んだという。手元には空っぽの薬瓶が転がっていて、冷たい雨は体温を奪い父の命はそこで尽きた。
「幸せだった時間は俺が生まれたことで壊してしまった。俺がいなければ母は死ななかった。父も死ななくて済んだ。生まれなきゃよかったくせに一人生き残ったんだよ? 俺がいなければよかっただけなのに」
顔色を無くした遊里の独白に彰仁はたまらなくなってしがみついた。
違う、お前は生まれてきてよかったんだ、望まれていたはずだ。そう言いたいのに言葉に重さがない。
何も知ずのうのうと暮らしていた彰仁にはわからない地獄。
「一人になって施設に囲われた。でも俺だけ生き残った罪の意識は膨れるだけで早く死にたいって思ってた。そのうちこんな気持ちにさせるあいつらが悪いんだって、勝手に俺を捨てたろくでもない親のせいでこんなに不幸になったんだって考えるようになって……少しだけ……自分のせいじゃないって思えるのは気が楽だった」
「遊里」
「知りたかったんでしょ? こんなしょうもない話、お涙ちょうだいじゃあるまいし」
「違うよ」
どういえばいいのかわからない。
だから彰仁は遊里を抱きしめた。広い胸に頭をこすりつけて「違うよ」と繰り返す。
「愛されてた。お前はちゃんと愛されてたんだよ!」
「それは綺麗事だ……愛してたら俺を置いていかないだろ。連れて行けばよかったんだ」
「違う、遊里、違うよ。お前を残してくれたことに感謝してる。だって、お前が生きてるから出会えた。あの日だってそうだろ。お前があの施設にいて、来てくれたから俺たちは出会った。お前に会って、おれは幸せを知ったんだ。お前に愛されてどれだけ救われたかわかってる? お前がいなかったら今のおれもいないんだ」
遊里の絶望を知らなかった。
無表情で彰仁の手を繋いでいた子供にこんな闇があったなんて考えたこともなかった。あの頃の自分に教えたい。ここにいる子供たちはみんな傷ついているんだって。それも彰仁がわからないくらい深く絶望的な溝。
だけどみんな笑って過ごしている。
「遊里が好きだよ。どんな過去があっても好きだよ。お前がおれを救ってくれたように何かできたらって思ったんだ。好奇心とかじゃなくて、ほんとに、こんなに優しい男が愛情を知らないなんてないって思った。でも勝手に傷を広げてごめんな」
何をすれば遊里を救えるのか全く分からない。
ただ好きだと言うしかできない。なんて無力なんだろう。
「好きだよ、遊里。心から愛してる」
「彰仁さん……」
ほんの少しだけ遊里の瞳に光がはいる。
彰仁をじっと見つめながら、ふ、と力が抜けるのが分かった。
「こんな俺でも愛してくれるんだ?」
「当たり前だろ。お前しかいないよ」
「本当に?」
遊里は口元を上げると自虐的な笑みを浮かべた。そんな顔をして欲しかったわけじゃないのに。うまく伝わらなくてもどかしい。
「本当に」
遊里の手をとって自分の胸に這わせた。大きなてのひらの下で脈打つ鼓動は遊里を想っている。遊里を好きだと叫ぶようにドクドクと動いている。
「じゃあもう一回言って」
遊里は頭を落として耳たぶを食んだ。湿った音と共に「愛してるって言って」と囁く。
直接響く声に震える声で返した。
「遊里愛してる」
「俺も愛してる。彰仁さんあなただけだ」
そのまま首筋に落ちてきた唇が強く吸いつき痕を残した。熱い舌が這って顎の下を擦る。
「……んっ」
「可愛い声。もっと聞かせて?」
「許してくれる?」
「わかんない。彰仁さん次第かな」
鎖骨を噛む遊里の頭を抱えながら「どうすればいい」と聞いた。どうしたら遊里を喜ばせることが出来る?
「一生俺に愛されてて」
「一生?」
「そう。他の誰でもなく、俺に愛されていて。約束できる?」
「できる。あ、遊里、っ」
「彰仁さん、可愛い、好きだよ。一生俺のものだからね」
下に降りていく顔がTシャツをまくり上げて胸の先を食んだ。さっきの触れ方とは全然違う性的な動きで揉みながら歯の間でしごかれると、まるで電流が走ったように下半身へと結びついた。
「や、」
「やじゃないよね。俺の好きなように愛されて悶える彰仁さんが好きだよ」
スルリと伸びてきた手が下着の間に滑り込む。お尻の丸みを撫でると下着を下ろした。露わになった下半身は恥ずかしげもなく濡れて透明なしずくを零している。
「俺なしじゃいられない身体になったね」
「あ、っ、ゆう、り」
「そうやって俺の名前だけ呼んで」
「ああ、遊里。好き、ゆうり」
「うん。彰仁さん大好き」
「でも俺を置いて勝手に死んだ人だよ」
「更織さんは……お母さんは仕方ないだろ。絶対お前を残して死にたくなかったはずだ。悔しかったと思うよ」
「でも父は勝手に死んだ」
沈黙が落ちる。
遊里は彰仁の目を見つめたまま続けた。
「俺はまだ小さかった。小学生の頃だったかな。母がいなくなって毎日大変で……なのにあいつは一人で酒を飲んで酔っ払って暴れた。更織が死んだのはお前のせいだって殴るんだ。そして母に似てる俺を抱きしめて愛してるって言う。その繰り返し。悲しいのはあいつだけじゃないのに俺はあいつの悲しみさえ引き受けなきゃいけなかった」
まだ小さな遊里はそれでも懸命に父を守ろうとした。
友達とも遊ばずまっすぐに学校から帰ってきて家事をした。食事を作って掃除をして、母がいなくても生活ができるように必死だったのに突然いなくなった。
何日も帰ってこなくて、ある日警察が来た。
母の四十九日が過ぎたころのことだった。
雨が続いていた季節のことだ。
母の墓石の前で倒れているのを発見されたそうだ。深酒の後に大量の薬を飲んだという。手元には空っぽの薬瓶が転がっていて、冷たい雨は体温を奪い父の命はそこで尽きた。
「幸せだった時間は俺が生まれたことで壊してしまった。俺がいなければ母は死ななかった。父も死ななくて済んだ。生まれなきゃよかったくせに一人生き残ったんだよ? 俺がいなければよかっただけなのに」
顔色を無くした遊里の独白に彰仁はたまらなくなってしがみついた。
違う、お前は生まれてきてよかったんだ、望まれていたはずだ。そう言いたいのに言葉に重さがない。
何も知ずのうのうと暮らしていた彰仁にはわからない地獄。
「一人になって施設に囲われた。でも俺だけ生き残った罪の意識は膨れるだけで早く死にたいって思ってた。そのうちこんな気持ちにさせるあいつらが悪いんだって、勝手に俺を捨てたろくでもない親のせいでこんなに不幸になったんだって考えるようになって……少しだけ……自分のせいじゃないって思えるのは気が楽だった」
「遊里」
「知りたかったんでしょ? こんなしょうもない話、お涙ちょうだいじゃあるまいし」
「違うよ」
どういえばいいのかわからない。
だから彰仁は遊里を抱きしめた。広い胸に頭をこすりつけて「違うよ」と繰り返す。
「愛されてた。お前はちゃんと愛されてたんだよ!」
「それは綺麗事だ……愛してたら俺を置いていかないだろ。連れて行けばよかったんだ」
「違う、遊里、違うよ。お前を残してくれたことに感謝してる。だって、お前が生きてるから出会えた。あの日だってそうだろ。お前があの施設にいて、来てくれたから俺たちは出会った。お前に会って、おれは幸せを知ったんだ。お前に愛されてどれだけ救われたかわかってる? お前がいなかったら今のおれもいないんだ」
遊里の絶望を知らなかった。
無表情で彰仁の手を繋いでいた子供にこんな闇があったなんて考えたこともなかった。あの頃の自分に教えたい。ここにいる子供たちはみんな傷ついているんだって。それも彰仁がわからないくらい深く絶望的な溝。
だけどみんな笑って過ごしている。
「遊里が好きだよ。どんな過去があっても好きだよ。お前がおれを救ってくれたように何かできたらって思ったんだ。好奇心とかじゃなくて、ほんとに、こんなに優しい男が愛情を知らないなんてないって思った。でも勝手に傷を広げてごめんな」
何をすれば遊里を救えるのか全く分からない。
ただ好きだと言うしかできない。なんて無力なんだろう。
「好きだよ、遊里。心から愛してる」
「彰仁さん……」
ほんの少しだけ遊里の瞳に光がはいる。
彰仁をじっと見つめながら、ふ、と力が抜けるのが分かった。
「こんな俺でも愛してくれるんだ?」
「当たり前だろ。お前しかいないよ」
「本当に?」
遊里は口元を上げると自虐的な笑みを浮かべた。そんな顔をして欲しかったわけじゃないのに。うまく伝わらなくてもどかしい。
「本当に」
遊里の手をとって自分の胸に這わせた。大きなてのひらの下で脈打つ鼓動は遊里を想っている。遊里を好きだと叫ぶようにドクドクと動いている。
「じゃあもう一回言って」
遊里は頭を落として耳たぶを食んだ。湿った音と共に「愛してるって言って」と囁く。
直接響く声に震える声で返した。
「遊里愛してる」
「俺も愛してる。彰仁さんあなただけだ」
そのまま首筋に落ちてきた唇が強く吸いつき痕を残した。熱い舌が這って顎の下を擦る。
「……んっ」
「可愛い声。もっと聞かせて?」
「許してくれる?」
「わかんない。彰仁さん次第かな」
鎖骨を噛む遊里の頭を抱えながら「どうすればいい」と聞いた。どうしたら遊里を喜ばせることが出来る?
「一生俺に愛されてて」
「一生?」
「そう。他の誰でもなく、俺に愛されていて。約束できる?」
「できる。あ、遊里、っ」
「彰仁さん、可愛い、好きだよ。一生俺のものだからね」
下に降りていく顔がTシャツをまくり上げて胸の先を食んだ。さっきの触れ方とは全然違う性的な動きで揉みながら歯の間でしごかれると、まるで電流が走ったように下半身へと結びついた。
「や、」
「やじゃないよね。俺の好きなように愛されて悶える彰仁さんが好きだよ」
スルリと伸びてきた手が下着の間に滑り込む。お尻の丸みを撫でると下着を下ろした。露わになった下半身は恥ずかしげもなく濡れて透明なしずくを零している。
「俺なしじゃいられない身体になったね」
「あ、っ、ゆう、り」
「そうやって俺の名前だけ呼んで」
「ああ、遊里。好き、ゆうり」
「うん。彰仁さん大好き」
0
あなたにおすすめの小説
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる