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「あっ、ヤバイ……」
日用品の残りをチェックしていた晃成が声を上げると、雪華が視線だけで何事かと問う。
「あの、ろ、ローションがなくなります」
「え、マジで? あんなにたくさん買い置きしてたのに」
ひょこっとストック倉庫を覗いた雪華が真面目な顔で頷いた。
「それは結構まずい問題だな」
雪に閉ざされて時間を持て余した二人は盛んに盛り上がっていた。
多分この吹雪を作るためにエネルギーを消費していたのだろう。雪華の貪欲な求めに晃成は喜んで応えた。
細が見たら顔色を無くしそうなほど乱れる雪華を腕の中で啼かせるのは晃成にとっても至福な時だ。
その結果、ローションの減りが異常に早い。
「よし、細に勝ってきてもらうか」
「それだけは! ダメです!!」
平気で恐ろしいことを口にした雪華を必死に止めた。
そんな事を頼んだら虫けらのような視線を向けられるだけでは絶対に済まない。
2人の関係に勘づいてはいるだろうけど、露わにするには抵抗がある。ものすごく居たたまれない。というか今度こそ本当に消されるかもしれない。
「絶対人ダメです!」
「なんで? 食材と一緒に届けてもらえばいいじゃん」
姿を隠すことにした晃成はあれから買い物にも出かけていない。
雪華の為にと配下の者たちがいつの間にか補充しておいてくれるのだ。だからといって、性的グッズまで届けて欲しいとは言いたくない。
「俺が行ってきます」
今度は全身白ずくめで雪に同化していくから、行かせてほしいと頼んだ。
「ネギとか買いません」
色で見つかることはしないと誓う。
雪華は少しだけ考え込み、「わかった」と返した。
「そうだな。たまには俺も行こう」
さすがの雪華も毎日家の中だけで飽きていたのだろう。ウキウキと軽めのコートを羽織ると一足先に外へと出ていった。鼻歌まで出ているから楽しみなんだろう。
慌てて真っ白なダウンコートに白い帽子をかぶった晃成が後に続くと、外は一面の雪景色で、見たことのないほどの雪山があちこちにできていた。
家を覆う積雪が2階の窓にも届いている。
雪華がふっと息をふきかけるとみるみる雪が両サイドにはけて道を拓く。玄関から真っすぐに白い道が通った。
「いつ見てもすごいですね……」
初めて見た時は驚いた。
雪華が足を進めるたび雪は自ら進んで道をあける。まるで下々の者たちがひれ伏し、キングのための白絨毯を敷き詰めたようだ。
数歩後ろをついていきながら晃成はこの光景に目を輝かせた。
昔見た映画のようだ。あれは杖をさすと道が開いたんだったか。目の前がパーッと拓けていく光景は気持ちがいい。
どんな場所でも雪華がいれば移動に苦労しないと言うと、雪華は不満げに振り返った。
「人を便利な道具扱いすんなよー」
そう言いながらも雪華も気持ちよさそうに雪と戯れている。自分の眷属だから可愛いのだろうか。甘えるように落ちてくる結晶を眺めては愛おし気に瞳を細めている。
「しばらく触れてなかったなあ」
降る雪の一片でも雪華にとっては大事な身内なのだろう。触れては消えていくはかない命を大切そうに慈しむ。優し気な目元に晃成も思わず微笑んだ。
人間に畏れられる雪の王だって、雪の眷属にとっては仰ぎ見る偉大な王なのだ。そしてそれを大切にしている雪華の優しさも今ならわかる。
「気持ちがいいですね」
後をついていきながら話しかけると雪華はニコリと笑みを浮かべ、晃成の手を取った。
繋いで並んで歩く。雪はそれを隠すようにいつまでも降り続いた。
日用品の残りをチェックしていた晃成が声を上げると、雪華が視線だけで何事かと問う。
「あの、ろ、ローションがなくなります」
「え、マジで? あんなにたくさん買い置きしてたのに」
ひょこっとストック倉庫を覗いた雪華が真面目な顔で頷いた。
「それは結構まずい問題だな」
雪に閉ざされて時間を持て余した二人は盛んに盛り上がっていた。
多分この吹雪を作るためにエネルギーを消費していたのだろう。雪華の貪欲な求めに晃成は喜んで応えた。
細が見たら顔色を無くしそうなほど乱れる雪華を腕の中で啼かせるのは晃成にとっても至福な時だ。
その結果、ローションの減りが異常に早い。
「よし、細に勝ってきてもらうか」
「それだけは! ダメです!!」
平気で恐ろしいことを口にした雪華を必死に止めた。
そんな事を頼んだら虫けらのような視線を向けられるだけでは絶対に済まない。
2人の関係に勘づいてはいるだろうけど、露わにするには抵抗がある。ものすごく居たたまれない。というか今度こそ本当に消されるかもしれない。
「絶対人ダメです!」
「なんで? 食材と一緒に届けてもらえばいいじゃん」
姿を隠すことにした晃成はあれから買い物にも出かけていない。
雪華の為にと配下の者たちがいつの間にか補充しておいてくれるのだ。だからといって、性的グッズまで届けて欲しいとは言いたくない。
「俺が行ってきます」
今度は全身白ずくめで雪に同化していくから、行かせてほしいと頼んだ。
「ネギとか買いません」
色で見つかることはしないと誓う。
雪華は少しだけ考え込み、「わかった」と返した。
「そうだな。たまには俺も行こう」
さすがの雪華も毎日家の中だけで飽きていたのだろう。ウキウキと軽めのコートを羽織ると一足先に外へと出ていった。鼻歌まで出ているから楽しみなんだろう。
慌てて真っ白なダウンコートに白い帽子をかぶった晃成が後に続くと、外は一面の雪景色で、見たことのないほどの雪山があちこちにできていた。
家を覆う積雪が2階の窓にも届いている。
雪華がふっと息をふきかけるとみるみる雪が両サイドにはけて道を拓く。玄関から真っすぐに白い道が通った。
「いつ見てもすごいですね……」
初めて見た時は驚いた。
雪華が足を進めるたび雪は自ら進んで道をあける。まるで下々の者たちがひれ伏し、キングのための白絨毯を敷き詰めたようだ。
数歩後ろをついていきながら晃成はこの光景に目を輝かせた。
昔見た映画のようだ。あれは杖をさすと道が開いたんだったか。目の前がパーッと拓けていく光景は気持ちがいい。
どんな場所でも雪華がいれば移動に苦労しないと言うと、雪華は不満げに振り返った。
「人を便利な道具扱いすんなよー」
そう言いながらも雪華も気持ちよさそうに雪と戯れている。自分の眷属だから可愛いのだろうか。甘えるように落ちてくる結晶を眺めては愛おし気に瞳を細めている。
「しばらく触れてなかったなあ」
降る雪の一片でも雪華にとっては大事な身内なのだろう。触れては消えていくはかない命を大切そうに慈しむ。優し気な目元に晃成も思わず微笑んだ。
人間に畏れられる雪の王だって、雪の眷属にとっては仰ぎ見る偉大な王なのだ。そしてそれを大切にしている雪華の優しさも今ならわかる。
「気持ちがいいですね」
後をついていきながら話しかけると雪華はニコリと笑みを浮かべ、晃成の手を取った。
繋いで並んで歩く。雪はそれを隠すようにいつまでも降り続いた。
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