someday,somewhere

蔓花忍

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chapter5

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コウの運転で近くのショッピングモールに向かう。とはいえ私は運転出来ないから、運転手はいつもコウなのだけれど。

座って足を少し動かせば動く車。自分が運転している感覚が余りにも少なく、自分の感覚と移動スピードの違いに慣れる事が出来なくて教習所を辞めてしまった。
そんな話を昔した。変なのってコウは笑っていたけど、風も何も感じない部屋が動いているように思えて、本当は助手席でも少し落ち着かない。

「ミミ、着いたよ。」
昔のことを思い出しているうちに到着してしまった。
「ごめん。ぼーっとしてた。」
「昔みたいな顔してたけど、どうした?」
どういう顔なんだろうか。わからなくてコウの瞳を見つめた。コウの中に映る姿を見たかった。
「歌を作ってる時と同じ顔だったよ。」
どうしてコウは嬉しそうにしているのだろう。わからない。
だって私はその嬉しそうに話すことを全て捨てて逃げたのに。

黙ったままコウの瞳の中の自分に何が見えるのか探していたら、後ろから声が聞こえてきた。
『コウはミミが大好きなんだね。』
忘れていた。彼女も連れてきていたんだった。
『行こう。』
笑顔を向けてドアを開けた。

歩きながら何を買うかを話す。
パジャマもいるし、服だっている。
気になるお店に片っ端から入り、気に入ったものを買う。新しい事を始めるのは楽しい。変化があるから。
彼女はそんなにいらない。と殆どを拒否した。でも私が買いたかったし、買ってあげたかった。
何でそう思ったのかはわからない。妹みたいに思えたからかもしれないし、私が買ったものを身につけて欲しいっていう独占欲に近い感情だったのかもしれないし、着せ替え人形のようだったかもしれない。もしかしたら見た目が違う彼女に何か私の願望を押し付けていたのかもしれない。

ああだこうだ言いながら一通りの物は何とか揃った。足りなければまた買いに行けばいい。

「女の子の買い物パワーって底なしだね本当に。休憩して帰ろう?お願い。」

疲れ切った様子のコウを見て、申し訳ないけれど彼女と2人で少し笑ってしまった。
「『男の子はダメね。』」
同じことを言ってしまい、また私は笑いが止められなかった。
「ごめんねコウ。付き合ってくれてありがとう。あそこで休憩しよう?」
コウが好きなクロワッサンが置いてあるパン屋さんに行こうと誘う。
コウと彼女がパンとコーヒーを頼む。私はどうしても食べる気にはなれず、紅茶だけを頼んだ。さっきから頭痛が治らないからだ。楽しい時間を壊したくないから、お腹は空いてないと嘘をついた。
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