5 / 5
chapter5
しおりを挟む
コウの運転で近くのショッピングモールに向かう。とはいえ私は運転出来ないから、運転手はいつもコウなのだけれど。
座って足を少し動かせば動く車。自分が運転している感覚が余りにも少なく、自分の感覚と移動スピードの違いに慣れる事が出来なくて教習所を辞めてしまった。
そんな話を昔した。変なのってコウは笑っていたけど、風も何も感じない部屋が動いているように思えて、本当は助手席でも少し落ち着かない。
「ミミ、着いたよ。」
昔のことを思い出しているうちに到着してしまった。
「ごめん。ぼーっとしてた。」
「昔みたいな顔してたけど、どうした?」
どういう顔なんだろうか。わからなくてコウの瞳を見つめた。コウの中に映る姿を見たかった。
「歌を作ってる時と同じ顔だったよ。」
どうしてコウは嬉しそうにしているのだろう。わからない。
だって私はその嬉しそうに話すことを全て捨てて逃げたのに。
黙ったままコウの瞳の中の自分に何が見えるのか探していたら、後ろから声が聞こえてきた。
『コウはミミが大好きなんだね。』
忘れていた。彼女も連れてきていたんだった。
『行こう。』
笑顔を向けてドアを開けた。
歩きながら何を買うかを話す。
パジャマもいるし、服だっている。
気になるお店に片っ端から入り、気に入ったものを買う。新しい事を始めるのは楽しい。変化があるから。
彼女はそんなにいらない。と殆どを拒否した。でも私が買いたかったし、買ってあげたかった。
何でそう思ったのかはわからない。妹みたいに思えたからかもしれないし、私が買ったものを身につけて欲しいっていう独占欲に近い感情だったのかもしれないし、着せ替え人形のようだったかもしれない。もしかしたら見た目が違う彼女に何か私の願望を押し付けていたのかもしれない。
ああだこうだ言いながら一通りの物は何とか揃った。足りなければまた買いに行けばいい。
「女の子の買い物パワーって底なしだね本当に。休憩して帰ろう?お願い。」
疲れ切った様子のコウを見て、申し訳ないけれど彼女と2人で少し笑ってしまった。
「『男の子はダメね。』」
同じことを言ってしまい、また私は笑いが止められなかった。
「ごめんねコウ。付き合ってくれてありがとう。あそこで休憩しよう?」
コウが好きなクロワッサンが置いてあるパン屋さんに行こうと誘う。
コウと彼女がパンとコーヒーを頼む。私はどうしても食べる気にはなれず、紅茶だけを頼んだ。さっきから頭痛が治らないからだ。楽しい時間を壊したくないから、お腹は空いてないと嘘をついた。
座って足を少し動かせば動く車。自分が運転している感覚が余りにも少なく、自分の感覚と移動スピードの違いに慣れる事が出来なくて教習所を辞めてしまった。
そんな話を昔した。変なのってコウは笑っていたけど、風も何も感じない部屋が動いているように思えて、本当は助手席でも少し落ち着かない。
「ミミ、着いたよ。」
昔のことを思い出しているうちに到着してしまった。
「ごめん。ぼーっとしてた。」
「昔みたいな顔してたけど、どうした?」
どういう顔なんだろうか。わからなくてコウの瞳を見つめた。コウの中に映る姿を見たかった。
「歌を作ってる時と同じ顔だったよ。」
どうしてコウは嬉しそうにしているのだろう。わからない。
だって私はその嬉しそうに話すことを全て捨てて逃げたのに。
黙ったままコウの瞳の中の自分に何が見えるのか探していたら、後ろから声が聞こえてきた。
『コウはミミが大好きなんだね。』
忘れていた。彼女も連れてきていたんだった。
『行こう。』
笑顔を向けてドアを開けた。
歩きながら何を買うかを話す。
パジャマもいるし、服だっている。
気になるお店に片っ端から入り、気に入ったものを買う。新しい事を始めるのは楽しい。変化があるから。
彼女はそんなにいらない。と殆どを拒否した。でも私が買いたかったし、買ってあげたかった。
何でそう思ったのかはわからない。妹みたいに思えたからかもしれないし、私が買ったものを身につけて欲しいっていう独占欲に近い感情だったのかもしれないし、着せ替え人形のようだったかもしれない。もしかしたら見た目が違う彼女に何か私の願望を押し付けていたのかもしれない。
ああだこうだ言いながら一通りの物は何とか揃った。足りなければまた買いに行けばいい。
「女の子の買い物パワーって底なしだね本当に。休憩して帰ろう?お願い。」
疲れ切った様子のコウを見て、申し訳ないけれど彼女と2人で少し笑ってしまった。
「『男の子はダメね。』」
同じことを言ってしまい、また私は笑いが止められなかった。
「ごめんねコウ。付き合ってくれてありがとう。あそこで休憩しよう?」
コウが好きなクロワッサンが置いてあるパン屋さんに行こうと誘う。
コウと彼女がパンとコーヒーを頼む。私はどうしても食べる気にはなれず、紅茶だけを頼んだ。さっきから頭痛が治らないからだ。楽しい時間を壊したくないから、お腹は空いてないと嘘をついた。
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
「やはり鍛えることは、大切だな」
イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」
その日、一つのお見合いがあった。
ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。
クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。
そして互いに挨拶を交わすその場にて。
ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。
けれども……――。
「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる