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2章
近衛昴
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「難波は見つかったか?」
「いえ、どこにも居ません」
何人かの隊員から返事が返ってきた。
僕と難波がエレベータに乗って地下に下り、保管庫前で話をしていたその時、機動隊隊長の松尾重五郎は苛立っていた。
「あの野郎、どこに行きやがった。そうだ、あいつは見つかったか?」
「あいつとは、俺たちが尾行してきた奴ですか?」
向日葵が言った。
「そう、あいつだ。で、いたのか」
フロア全体に行き届くほどの声で叫んだ。
「その人もどこにもいないですよ」
その声に応えるように隊員の一人が大きな声で叫んだ。
「向日葵。今思ったんだが、一人で難波の探索に行ったあいつはどこに行ったんだ、連絡がないぞ、というよりか俺はあいつのことを知らんぞ」
「あ、言い忘れていました。隊長は余り人の顔を覚えないと思ったんで、言い忘れに気付いても言いませんでした。あいつが、今日アメリカから配属された近衛昴です」
「日本人か? その前に、近衛って向日葵と同じ苗字じゃないか?」
アメリカから配属される隊員がいるとアメリカの大統領から直々に書類が届いていた。しかし、俺はその資料には目を通していなかった。見る余裕がなかった。ちょうど、その頃は国防省から電話がきて、今までにない難波の情報を持った人間が現れたことを知ったからだ。その後は今の有様だ。難波を捕まえるため、その情報を持っている人間をつけてきたのだが、この会館に来てとうとう見失った。
「そうですよ。苗字が同じというか、俺の息子ですから。あいつは、アメリカに留学してて今日帰ってきたばかりです。俺が国に頼んで機動隊に入れて貰ったんです」
今度は自分の息子のことを自慢しだした。
「昴は戦闘員としてはそこそこですが、情報収集からの独自捜査で犯人の手がかりを見つけたり、説得したりと頭脳では世界でもトップクラスの実力だと思います。何しろ世界で集められた人間の中で、副隊長という役職を任された俺でも昴の頭脳には勝てません。しかも、昴は戦闘員としてはそこそこと言いましたけど、護身術や応急処置、いつ現場に出ても対応できるだけの力はあります」
「それはすごいな。それで向日葵、自慢の息子はまだ帰ってきてないぞ」
「そうですね。でも、昴ならそろそろ何かの情報を持って帰ってくると思いますよ」
近衛昴が会館を自由に探索しだしてから三十分が過ぎていた。
昴は会館の二階全ての探索が終わり、三階へと続く階段に足をかけた。
「おかしいな、二階と三階、まるで同じ状態じゃないか。これじゃまるで、僕たちに此処には俺が居るぞとアピールし、探させようとしているようだな。ということは時間稼ぎをしているのかな、難波は。三階もこの有様じゃ何も探せないな、僕一人だし」
二階と同じ状況になっている三階は、昴一人で探すには荷が重かった。
此処は後から来るであろう隊員に任せようと考え、さらに上の階へ行くため四階へと続く階段に足をかけた。
四階に着いた昴の目に映し出された光景は、あまりにも残虐なものだった。難波は此処を拠点とする際に、この会館に残っていた人を全員殺していたのだ。どの死体にも見て取れることは、兵器によって殺されたのではなく格闘技的な技がかけられていたことだった。
「酷い有様だな……このフロアは……」
昴は慣れているのか、目の前にあるたくさんの死体を目にしても動じていなかった。それどころか死体の一つ一つを詳しく探索しだした。
「首の骨から折られているのか、これじゃあ抵抗のしようもないよな。可哀想だけど少し体を触らして貰うよ」
全ての探索が終わった昴は何かにふと気が付いた。
「この格闘技は難波のものではないな。難波なら兵器を使って殺せばいい、わざわざ抵抗される恐れのある格闘技をかける必要が分からない。もしかして、難波とは他にこの事件を利用して人を殺している奴がいるのか。もしそうなら、そいつが難波の味方でなければいいけど」
難波と俺の父向日葵は、高校の時の同級生だ。
なぜか父は気付いていないようだが、俺の推理が正しければそうである。或るいは、父は気付いているが隠しているだけかもしれない。高校の時の同級生と言っても、父は一年間しかその高校にいなかった。
元々、たくさんの人を救うため自衛隊に入ることを幼少期から決めていた父は、高校を中退し、その道を歩みだした。
「とりあえず、これを報告しないとな」
そう呟いた昴は、一階に報告をするため戻った。
戻る途中で二階を探索しているほかの隊員にあったがそれは無視した。それよりも、昴が重要視していたのは、この事件には難波以上の凶悪犯がいるかも知れないということだった。
「お、向日葵。自慢の息子が戻ってきたぞ。何か情報を掴んだのか」
「隊長、昴のことです、何か情報は持って帰っているでしょう」
「ただいま戻りました」
何かを掴んだが、その情報が正しいのか悩んでいる表情をしていた昴に、向日葵は声をかけた。
「昴、どんな情報が手に入ったんだ。お前が言いにくそうにしているのは分かっている。俺は父親なんだからな」
そう言われて心の靄が晴れたのか、昴は自分がいま目にしてきた光景、自分の導いた推理について話を始めた。
「先ほど、四階まで見てきましたけど、二階と三階はこの階と同じ状態で、四階はこの会館に避難して来た人たちが全員殺されていました。それも、難波がしそうにない方法で。僕が思うにこの殺人を起こしたのは、難波ではないと思います。僕は他にこの事件をいいことに、これを利用して殺人を起こしている奴がいると考えています」
それを聞いた松尾は考えていた。
難波が人を殺すことは分かっていたが、逃げてきた人まで難波が殺すのか。
難波に対して松尾が思っているのは、難波は人を殺すのに躊躇いがないとは思っていないことだ。
実は難波は命乞いをして助けを請うた人まで殺しはしなかった。そのことから考えるに難波は此処へ逃げてきた人たちを殺すことはしないと思った。向日葵の息子から、難波以外にもこの事件をいいことに殺人をしている奴がいると聞いて、松尾は自分の考えはあながち間違っていなかったと思った。
もちろん、向日葵の息子の言うことを真に受け入れているというわけではない。松尾だって機動隊の長であると同時に一人の人間だ。難波がしそうなこと、しないであろうことを分かってあげられるつもりだった。
「昴、お前が単独で行動して、それだけの情報をもって帰ってきたことは評価に値する。でも、これからはなるべく俺と向日葵と一緒に行動しろ。分かったな」
松尾の声はドスが聞いていて耳に残る声だった。
「分かりました」
昴は渋々了解した。
「昴、お前のことは頼りにしている。だから、お前に死なれては困るんだよ」
松尾は昴に期待を寄せていた。
松尾は昴のことを守りたくなっていた。こんなに有能な人間を死なせるわけにはいかなかったからだ。
「大丈夫ですよ隊長。僕にだって護身術の一つぐらいあります」
「それは分かっている。でも、そのもう一人の殺人犯が、格闘技、護身術をお前より使いこなしていたらどうする?」
「……それも、あり得ますね」
昴は答えに困っていた。
「隊長、昴の言うもう一人の殺人犯がいるという考えを信じるんですか?」
今まで話を聞くだけだった向日葵がようやく口を開いた。
「信じるしかないだろう。難波は人殺しを好んでやっているわけではない。だとすれば、命乞いをした人まで殺さないだろう」
今まで難波がしてきたことと言っても、難波は殺人という殺人を起こしてない。だとすれば、この事件を利用して殺人を起こしている奴は、難波以上の悪ということになる。それも、難波のように幾人かをまとめて殺すのではなく、一人一人自分の手で殺さないと気が進まないタイプの人間だと考えられる。
「隊長、昴と一緒に行動するのは構わないですけど、他の隊員たちはどうします。このまま探索を続けさせますか?」
「そうだな……難波は不老不死という話だから、俺たち三人で行っても、隊員を連れて行っても変わらないだろう。しかし、昴が手に入れた情報もある。向日葵、隊員たちを全員このフロアに集めてくれ」
「分かりました」
そう言った向日葵は、自分の胸の内ポケットに入っていた無線機を取り出し、隊員たちに連絡を取り始めた。
すぐに、このフロアを探索していた隊員たちは集まってきたが、二階や昴が見てきた残虐な光景の四階のフロアにいた隊員たちが全員集まったのは、向日葵が連絡を取ってから十分後の事だった。
向日葵は全隊員がこの一階のフロアに集まったことを確認してから松尾に話しかけた。
「隊長、全隊員集まりました。それと探索途中に昴のように貴重な情報を見つけ、持って帰ってきた隊員はいませんでした」
「そうか……」
小さくため息を吐いた松尾は隊員たちにこれからの行動についての工程を話し始めた。
「いえ、どこにも居ません」
何人かの隊員から返事が返ってきた。
僕と難波がエレベータに乗って地下に下り、保管庫前で話をしていたその時、機動隊隊長の松尾重五郎は苛立っていた。
「あの野郎、どこに行きやがった。そうだ、あいつは見つかったか?」
「あいつとは、俺たちが尾行してきた奴ですか?」
向日葵が言った。
「そう、あいつだ。で、いたのか」
フロア全体に行き届くほどの声で叫んだ。
「その人もどこにもいないですよ」
その声に応えるように隊員の一人が大きな声で叫んだ。
「向日葵。今思ったんだが、一人で難波の探索に行ったあいつはどこに行ったんだ、連絡がないぞ、というよりか俺はあいつのことを知らんぞ」
「あ、言い忘れていました。隊長は余り人の顔を覚えないと思ったんで、言い忘れに気付いても言いませんでした。あいつが、今日アメリカから配属された近衛昴です」
「日本人か? その前に、近衛って向日葵と同じ苗字じゃないか?」
アメリカから配属される隊員がいるとアメリカの大統領から直々に書類が届いていた。しかし、俺はその資料には目を通していなかった。見る余裕がなかった。ちょうど、その頃は国防省から電話がきて、今までにない難波の情報を持った人間が現れたことを知ったからだ。その後は今の有様だ。難波を捕まえるため、その情報を持っている人間をつけてきたのだが、この会館に来てとうとう見失った。
「そうですよ。苗字が同じというか、俺の息子ですから。あいつは、アメリカに留学してて今日帰ってきたばかりです。俺が国に頼んで機動隊に入れて貰ったんです」
今度は自分の息子のことを自慢しだした。
「昴は戦闘員としてはそこそこですが、情報収集からの独自捜査で犯人の手がかりを見つけたり、説得したりと頭脳では世界でもトップクラスの実力だと思います。何しろ世界で集められた人間の中で、副隊長という役職を任された俺でも昴の頭脳には勝てません。しかも、昴は戦闘員としてはそこそこと言いましたけど、護身術や応急処置、いつ現場に出ても対応できるだけの力はあります」
「それはすごいな。それで向日葵、自慢の息子はまだ帰ってきてないぞ」
「そうですね。でも、昴ならそろそろ何かの情報を持って帰ってくると思いますよ」
近衛昴が会館を自由に探索しだしてから三十分が過ぎていた。
昴は会館の二階全ての探索が終わり、三階へと続く階段に足をかけた。
「おかしいな、二階と三階、まるで同じ状態じゃないか。これじゃまるで、僕たちに此処には俺が居るぞとアピールし、探させようとしているようだな。ということは時間稼ぎをしているのかな、難波は。三階もこの有様じゃ何も探せないな、僕一人だし」
二階と同じ状況になっている三階は、昴一人で探すには荷が重かった。
此処は後から来るであろう隊員に任せようと考え、さらに上の階へ行くため四階へと続く階段に足をかけた。
四階に着いた昴の目に映し出された光景は、あまりにも残虐なものだった。難波は此処を拠点とする際に、この会館に残っていた人を全員殺していたのだ。どの死体にも見て取れることは、兵器によって殺されたのではなく格闘技的な技がかけられていたことだった。
「酷い有様だな……このフロアは……」
昴は慣れているのか、目の前にあるたくさんの死体を目にしても動じていなかった。それどころか死体の一つ一つを詳しく探索しだした。
「首の骨から折られているのか、これじゃあ抵抗のしようもないよな。可哀想だけど少し体を触らして貰うよ」
全ての探索が終わった昴は何かにふと気が付いた。
「この格闘技は難波のものではないな。難波なら兵器を使って殺せばいい、わざわざ抵抗される恐れのある格闘技をかける必要が分からない。もしかして、難波とは他にこの事件を利用して人を殺している奴がいるのか。もしそうなら、そいつが難波の味方でなければいいけど」
難波と俺の父向日葵は、高校の時の同級生だ。
なぜか父は気付いていないようだが、俺の推理が正しければそうである。或るいは、父は気付いているが隠しているだけかもしれない。高校の時の同級生と言っても、父は一年間しかその高校にいなかった。
元々、たくさんの人を救うため自衛隊に入ることを幼少期から決めていた父は、高校を中退し、その道を歩みだした。
「とりあえず、これを報告しないとな」
そう呟いた昴は、一階に報告をするため戻った。
戻る途中で二階を探索しているほかの隊員にあったがそれは無視した。それよりも、昴が重要視していたのは、この事件には難波以上の凶悪犯がいるかも知れないということだった。
「お、向日葵。自慢の息子が戻ってきたぞ。何か情報を掴んだのか」
「隊長、昴のことです、何か情報は持って帰っているでしょう」
「ただいま戻りました」
何かを掴んだが、その情報が正しいのか悩んでいる表情をしていた昴に、向日葵は声をかけた。
「昴、どんな情報が手に入ったんだ。お前が言いにくそうにしているのは分かっている。俺は父親なんだからな」
そう言われて心の靄が晴れたのか、昴は自分がいま目にしてきた光景、自分の導いた推理について話を始めた。
「先ほど、四階まで見てきましたけど、二階と三階はこの階と同じ状態で、四階はこの会館に避難して来た人たちが全員殺されていました。それも、難波がしそうにない方法で。僕が思うにこの殺人を起こしたのは、難波ではないと思います。僕は他にこの事件をいいことに、これを利用して殺人を起こしている奴がいると考えています」
それを聞いた松尾は考えていた。
難波が人を殺すことは分かっていたが、逃げてきた人まで難波が殺すのか。
難波に対して松尾が思っているのは、難波は人を殺すのに躊躇いがないとは思っていないことだ。
実は難波は命乞いをして助けを請うた人まで殺しはしなかった。そのことから考えるに難波は此処へ逃げてきた人たちを殺すことはしないと思った。向日葵の息子から、難波以外にもこの事件をいいことに殺人をしている奴がいると聞いて、松尾は自分の考えはあながち間違っていなかったと思った。
もちろん、向日葵の息子の言うことを真に受け入れているというわけではない。松尾だって機動隊の長であると同時に一人の人間だ。難波がしそうなこと、しないであろうことを分かってあげられるつもりだった。
「昴、お前が単独で行動して、それだけの情報をもって帰ってきたことは評価に値する。でも、これからはなるべく俺と向日葵と一緒に行動しろ。分かったな」
松尾の声はドスが聞いていて耳に残る声だった。
「分かりました」
昴は渋々了解した。
「昴、お前のことは頼りにしている。だから、お前に死なれては困るんだよ」
松尾は昴に期待を寄せていた。
松尾は昴のことを守りたくなっていた。こんなに有能な人間を死なせるわけにはいかなかったからだ。
「大丈夫ですよ隊長。僕にだって護身術の一つぐらいあります」
「それは分かっている。でも、そのもう一人の殺人犯が、格闘技、護身術をお前より使いこなしていたらどうする?」
「……それも、あり得ますね」
昴は答えに困っていた。
「隊長、昴の言うもう一人の殺人犯がいるという考えを信じるんですか?」
今まで話を聞くだけだった向日葵がようやく口を開いた。
「信じるしかないだろう。難波は人殺しを好んでやっているわけではない。だとすれば、命乞いをした人まで殺さないだろう」
今まで難波がしてきたことと言っても、難波は殺人という殺人を起こしてない。だとすれば、この事件を利用して殺人を起こしている奴は、難波以上の悪ということになる。それも、難波のように幾人かをまとめて殺すのではなく、一人一人自分の手で殺さないと気が進まないタイプの人間だと考えられる。
「隊長、昴と一緒に行動するのは構わないですけど、他の隊員たちはどうします。このまま探索を続けさせますか?」
「そうだな……難波は不老不死という話だから、俺たち三人で行っても、隊員を連れて行っても変わらないだろう。しかし、昴が手に入れた情報もある。向日葵、隊員たちを全員このフロアに集めてくれ」
「分かりました」
そう言った向日葵は、自分の胸の内ポケットに入っていた無線機を取り出し、隊員たちに連絡を取り始めた。
すぐに、このフロアを探索していた隊員たちは集まってきたが、二階や昴が見てきた残虐な光景の四階のフロアにいた隊員たちが全員集まったのは、向日葵が連絡を取ってから十分後の事だった。
向日葵は全隊員がこの一階のフロアに集まったことを確認してから松尾に話しかけた。
「隊長、全隊員集まりました。それと探索途中に昴のように貴重な情報を見つけ、持って帰ってきた隊員はいませんでした」
「そうか……」
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